あらすじ
押し寄せる難民、繰り返されるテロ、そして甦る国境……。日本人がいま絶対に知らなければならないことは何か? ドイツ在住30年のベストセラー作家による現地レポート! かつてEUが誕生したとき、ギリシャに「国境なき医師団」が入り、「ドイツ帝国」の復活が危ぶまれ、テロの嵐が吹き荒れることを誰が想像しただろうか。第二次世界大戦の反省を経て、「ヨーロッパは一つ」という理想を掲げたはずのEUは、どこかで道を踏み外した。それも取り返しがつかないほどに。それどころか著者が現地で目にしたのは、ますます右傾化し、国境線を高くして内部に閉じこもる、理念と乖離した加盟国の姿だった……。難民とテロによってギリシャで生まれ、フランス革命を経てヨーロッパの自負となった民主主義は終焉を迎えるのか? その先にあるのはナショナリズムの膨張? それとも戦争? そしてこの惨状は、日本にとって決して「対岸の火事」ではない。そこで学ぶべきはグローバル化の止まらない世界で、TPPなど「国境を超える枠組み」とどう向き合えばいいのか、ということだ。テロ、難民、ギリシャ問題、EUと世界情勢の行方、日本の選択までが一挙にわかる著者渾身の一冊が緊急発刊。内容例:ワイマール共和国の制度を逆手にとったヒトラー/離脱をほのめかしてEUをつくり変えたいイギリス/選挙を経ない人たちが政治を司る不思議/40パーセントも削減されたギリシャの医療費/「チプラスは無能」と書き立てたドイツメディア/ドイツ経済圏に自主的隷属するフランス/フォルクスワーゲン不正ソフト事件が与える衝撃/難民にとっていちばんの魅力は医療/日本海が現在の地中海のようになる……ほか
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Posted by ブクログ
著者の手になる書物を初めて拝読しました。
正直、己の不明を恥じました。文章が上手い。行間より教養の高さをひしひしと感じます。すごいもんだと。流石に音大生美大生達で功なり名なりを挙げてひとかどに成られる才媛たちの英気を覚えるというのか。普通に「教養人」というものでしょう。活計の足し以上の世界があるのだとこちらが頭を足れる。憧れというものです。
著書の内容的には非常に重たいです。
日本人でよかったという安堵感とやるせなさを感じます。
欧州発祥・欧州が世界分割により持ち込んだ擾乱を、現代以降において、こころの呵責と引き換えに受け容れざるを得ない理想主義「人権」という方便、この理想は祭壇に祭られたまま現実の庶民は我慢のかぎりを超えてしまっていた。
救いようもない悲劇・・・