あらすじ
銀座の文壇バー『ミューズ』に夜な夜な現われる、大御所ミステリー作家・サンゴ先生こと辻堂珊瑚朗。普段はホステスにちょっかいを出し、葉巻をくゆらせ、バーボンをたしなむサンゴ先生だが、一度不思議な謎に遭遇すると、さりげなく推理を披露する。『ミューズ』でアルバイトする「僕」の視点から、ライバル作家との推理ゲームを繰り広げる「シチュエーションパズルの攻防」、銀座一のホステスの伝説を追う「ダブルヘッダーの伝説」など、五つの謎を描く。男女の駆け引きに絡む謎を軽やかに解き明かす、遊び心あふれる安楽椅子探偵ミステリー。
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渋い!
随分、渋い探偵役を、持ってきたなぁ(笑)
一応、語り手は、20歳の大学生の男の子だが、彼が、叔母さん(お店では、従弟という設定)の経営するバーで、アルバイトをしながら、大人の中で、人間関係ー男女間の機微ーを、学ぶ?知っていく?という話。探偵役、辻堂先生の謎解きも、面白かった。軽すぎず、重すぎず、ちょうど良い感じだった。
Posted by ブクログ
ライとなパズル。
探偵役である珊瑚朗先生が粋。単なる謎解きではなく、そこに誰もが素敵に見えるような、そんなオチをつけてくれる。
銀座のバーを舞台にしているだけに、男女の話も出てくるが、あくまでも軽やかで、珊瑚朗先生が女性を立てる姿が良い。
それに比べると真実にこだわる主人公のボーイはまだまだ青い。
続編があるようだが、取り敢えずお腹いっぱいになった。
Posted by ブクログ
竹内真という名前は聞いたことがなかったが,本屋さんでたまたま見つけて,裏表紙に載っている解説を見て購入した作品。5つの収録作品からなる短編集。登場人物などは共通だが,北森鴻の共犯マジックや,若竹七海のぼくのミステリな日常のように,全ての短編を通した謎が存在するわけではない。いわゆる,日常の謎系のミステリであり,探偵役は,辻堂珊瑚朗というミステリ作家である。銀座に辻堂珊瑚朗やライバル作家である藤沢敬五が訪れるバーが存在し,主人公は,そのバーのママである佐貴ミーコの甥である大学生。バーに務めるホステスが目撃する拉致事件の真相を辻堂珊瑚朗が推理する話(1話:クロロホルムの厩火事),銀座の伝説となっているホステスの話(3話:ダブルヘッダーの伝説),佐貴ミーコと辻堂珊瑚朗が出会ったときの絵画消失事件の話(4話:クリスマスカードの舞台裏)などがあるが,表題作となっているシチュエーションパズルの真相が白眉。叙述トリックなどを利用したトリッキーな話の方が好みだが,こういうシンプルで軽い謎解き作品も面白い。主人公も含めて,佐貴ミーコ,辻堂珊瑚朗,藤沢敬五と,どの登場人物もややキャラクターが弱い気がするのが残念。しっかりキャラクターが描けていれば,設定は面白いので,もっと面白い作品になったと思う。★3つで。