あらすじ
謎の電話に呼び出された直人と棗の前に現れたのは、《夢神》の女性・ツグミだった。 今までの夢神と異なり敵意を感じないツグミに戸惑う直人に、ツグミは自らが “王国” から来た夢神であること、そして 「赤い目」 に感染していることを告げ、自分が正気を保っているうちに殺して欲しいと懇願する――。 一方、一人別行動を取っていた綾乃は見知らぬ少年の襲撃を受ける。 その少年の手には―― もう一つの《黒い鍵》パンタソスが! 今回も口絵は、椎名優描き下ろしによるフルカラー・プレビュー・コミック仕様!
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Posted by ブクログ
二巻から続いて面白い。安定している。
地の文が三人称で、にもかかわらず主客の入れ替わりが激しい(この辺りがひとつの妙だ)のに、決して薄味になることなく、なのに状況が分からず混乱することがない、というのは素直に凄い。
言い過ぎに聞こえるかもしれないが、「いかに物語に山場を持たせつつ」、「破綻なく」、「読みやすく構成する」か、という技法の教科書のようだ。それくらい、客観的に文章を書くというのは、読む側が思うよりもずっと難しい。
思い返してみると、シリーズを通して、どのエピソードも決してハッピーエンドにはなっていない。ひょっとすると、と思わせながら、やはり最も望まれる(であろう)形には終わらない。そしてきちんと「引き」を置いていく。
読後にもう一度プロローグを読むと切ない。書き方としては紋切り型なのに、その切なさが決して押し付けがましくなく涼やかであるのは、やはり技巧のなせる業か。