あらすじ
人間はからだを責めて働かな嘘や――不撓不屈の精神で人力車引きをしながら孫娘を育てあげる男の、明治・大正・昭和にわたる波瀾万丈の生涯を描いた「わが町」。過剰な自意識に振り回される不器用な美貌の青年の成長を点綴した自伝的小説「青春の逆説」。織田作之助(1913-47)の代表的長篇二篇を収録。(解説=佐藤秀明)
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Posted by ブクログ
『わが町』
家族愛と男の浪漫がある良い話で終わっててほっこりの宿酔がのこる。なんでこれ書こうと思ったんだろってニコニコしちゃった。『夫婦善哉』の別視点もあるのもめちゃくちゃサービスじゃんって喜んだ。君枝の青春に対する謙虚さ頑なさみたいなところに『姉妹』の伊都子に通ずるものを感じた。
『青春の逆説』
『雨』が元になってるのがわくわくした。学生時代よりも社会に出てからのが周りの環境のせいもあってか生活への刺激が多くて、これが豹一の青春てことなのかな。作之助自身のことをなぞってるようで、実際にはなかった夢みたいなのを豹一に詰め込んでるようで、いいなと思った。どんなときでも母のことを思い出されるのが郷愁なのかな。豹一の性格、行動がなんか身につまされる思いで読んでた。
作之助はどのキャラのことも丁寧に扱ってて好き。それにやっぱりすごい「生」を感じる。どこまでもリアルに近いフィクションって言われてるけどその通りだと思う。
Posted by ブクログ
「青春の逆説」
「雨」を前に読んでいたので、あれ知ってるこれが多かったし、読み終わって何故か豹一が救われたような感覚になった。豹一にはずっとお君の苦労があって、それが唯一の女性像。激しい恋をしたのは多鶴子だけだったし、落ち着いたところが行きずりみたいな感じだったから、「ええー!」ってなった。
あと最後の方で自分の性格に少し気づけたところもよかったかな。土門はちょっとなー。
「わが町」
「婚期はずれ」と「夫婦善哉」のストーリーとクロスオーバーするところがあって、すごい嬉しい。おたかは側から見ると余計に異常だなあ。。。
<ベンケットの他あやん>を中心にした3つの時代にまたがる物語。今で言う熱血系の叩き上げ。無茶苦茶なんだけど、でもみんなほっとけない。
フィリピンのマニラにどこまでも縁があって逆にすごいなあ。辰さんに2円返せるといいね。