あらすじ
世界を震撼させたVWのディーゼル排ガス不正事件を発見したのは米国カリフォルニア州の環境NGOでした。世界販売台数でトヨタと首位を争う巨大企業が、なぜ不正に走ったのか。
本書ではVW事件の詳細と、VWを不正に追い込んだ、カリフォルニア州の環境規制の内実に迫ります。VWを告発した「カリフォルニア大気資源ボード」のメンバーの素顔や、その意思決定の現場も詳しくレポートされています。
また、このカリフォルニア大気資源ボードによって2018年から始められる「次期ZEV規制」と呼ばれる環境規制は、世界の自動車メーカーを「エコカー戦争」と呼ばれる苛酷な競争に追い込んでいます。次世代エコカーであるEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)、PHEV(プラグイン・ハイブリッド車)の開発は、各社とも生き残りを賭けて、待ったなしの状況です。
果たして日本の自動車メーカーは生き残ることができるのでしょうか。本書では、日本の自動車メーカー7社の最新の中期計画をもとに、各社の生き残り策も検討していきます。
本書の構成
第一章 VWの落ちた陥穽
第二章 カリフォルニア州発「エコカー戦争」
第三章 日本の自動車産業一極依存の現状
第四章 自動車メーカーの分析と次世代エコカー戦略
第五章 未来の自動車産業地図
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タイトルからVWの排ガス規制を主題にしていると想像していたが、それは前半のみでカリフォルニア州のZEV規制の衝撃、日本の各自動車メーカーの特徴、課題など様々なテーマが盛り込まれており良い意味で裏切られた。
本書の発行後にアメリカで共和党政権が誕生し、特に環境に対する姿勢は大きく変わる可能性がある。自動車業界のこれから、各メーカーについて学ぶには非常に良い一冊と思う。
Posted by ブクログ
VW の不正事件をフックに、背景にある環境規制強化の潮流、特に米国カリフォルニア州の次期 ZEV 規制を解説している。
ZEV 規制については最新かつ分かりやすい概説で、とても質が高く価値ある情報になっている。これを知っているとトヨタが FCV 関連特許をオープンにしたりマツダと提携する理由など、クルマ業界ニュースの背景が想像しやすくなる。
本の後半は国内メーカーの特徴や P/L 比較分析しており、普段クルマに関心あるヒトにとっては新情報はなくページ稼ぎ感があるものの、クルマや環境規制に関心あるヒトには絶対オススメの一冊と思う。