あらすじ
中学の屋上から飛び降りる寸前、私は「小人の巣」というサイトを教えられた。そこでは、シャーマンと名乗る人物が安楽死の方法を伝授してくれるらしい。いったい誰が、何のために? 教室で虐げられていた私は、シャーマンの提示する条件を満たし、指定された病室を訪ねる。だがそこには……。「死」に引き寄せられる人々の運命を変えていく連作五篇。
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Posted by ブクログ
期待を裏切らない白河小説。
自殺ほう助サイト「小人の巣」
ポリシーは,どうせ自殺するなら無駄死にせず、病魔と闘いつつ生きたいと思ってる人に臓器提供をしなさい。ドナーカードを作ってきたら安楽死の薬をあげます、ってもの。このサイトの狙いとは?
…ってこんな舞台で短編5編も、それもそれぞれに個性的なきっちりオチつけた物語をかけるなぁ、と感心した。特に「アリとキリギリス」の自殺したい理由がかなり変化球でオモロい。この1冊の中で一番気に入った短編。
オーラスの仕掛けにはびっくり。Zガンダム戦闘シーンのごとき哲学的言い争いの果てに見えた地平は生者のものか死者のものか…。作者のことだから、なんか仕掛けてるだろうとは思ったが、伏線を同じ正方形に畳むにしてもなんとも言えない畳み方(笑
Posted by ブクログ
自殺願望がある人たちを呼び寄せる、自殺幇助のサイト、小人の巣。
いじめを苦に自殺しようと思い、小人の巣の管理人「シャーマン」に会いに行った女子中学生の沙菜。
シャーマンは臓器移植をしないと治る見込みのない難病患者の10歳の女の子だった。
彼女がくれた死の薬は、ただのビタミン剤で、シャーマンこと明は、自殺幇助ではなく自殺願望者たちを救う活動をしていた。
一度は人生に絶望して、それから命の大切さを知る人たち。
大切な人とずっと一緒にいたくて死のうとする人。
就活がうまくいかなくて死のうとする人。
恋人に振り向いて欲しくて死のうとする人。
病気を抱えた明の父の思い。
ツイッターで自殺願望者探して9人殺害した事件思い出すわ。
現実はこんなに簡単じゃないとは思うけどな。。。。
今日だけでも、とりあえず頑張って生きてみよう、明日のことはそれから、の積み重ねで、いつしか死にたいっていう気持ちも薄れていくのかな。