【感想・ネタバレ】「子供を殺してください」という親たちのレビュー

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Posted by ブクログ 2017年12月12日

これは表紙がずるい。ミスリードさせようとしている。こんな幼い子供の丸まった小さな背中を見たら、「子どもを殺したいとはなんて非情だ!鬼!悪魔!」という怒りが瞬時に湧いてくるに決まっている。想像するのはネグレクトとか児童虐待とか、暴力に抑圧されている非力な存在の子どもの姿だ。

 でも読み始めると内容が...続きを読む全く違う。成長した子どもの暴力と殺意に怯える親や兄弟の姿がそこにはあった。

 不謹慎にも、殺してあげられるなら殺して差し上げたい、という気持ちすら芽生えてくる。もちろんそんな犯罪行為は許されるわけはないのだが、我が子や肉親に命を狙われるという救いがたい状況下におかれたことがない者には、彼らの切迫感は想像もできないことだろう。

 命を狙われているから助けて欲しいと訴えているのに、肉親なんだから家族内で解決してよ、という論理。子どもがそんな状況になったのは親の育て方が悪かったんじゃないの、という突き放した態度。あぁ、なんとも冷たい。非行少年少女の家庭内暴力と勘違いしているんじゃないのか?

 読めばわかるが全く違う。親子の絆、兄弟の絆なんてもうない。あるのは近親憎悪からくる殺意だけだ。殺意をもったストーカーが肉親だったと考えればイメージとしては近い。

 精神を病んだ理由は様々だろう。確かに親の育て方に問題がある面も多少はうかがえる。失恋やいじめ、進学、就職の失敗など。しかし、そんな状況になっても、ほとんどの人は親兄弟に殺意を抱くようにはならない。たぶんほんの一部なのだ。

 自分には壮絶な甘えのように見えるが、専門的にはどうなんだろう? 著者は精神科医ではないので、その辺には突っこんでいない。

 逮捕や入院とという事態になっても、粗暴なのは家族の前だけで、警官や医者の前だと大人しくなる患者もいるため、その先の切迫した事態が理解できない警察や病院もある。

 それにも関わらず、病院は長くて3か月の入院で追い出す。それ以上入院させていても医療点数が稼げないので儲からないからだ。設備の整った、新しくきれいな病院ほどそうすると言う。患者や家族のことなんて考えない。優先されるのは利益のみ。そんな制度になってしまっているのは行政にも責任がある。
 

 そして家族を殺したいと思っている患者が、家族のもとに帰される。
 具体的な事件名は伏せられているが、実際に何件かこのような状況になって殺人事件となった事例も紹介されている。
 

 どうしたらいいのだろう。なんのアイデアも浮かばない。途方に暮れるばかりだ。

 続編も刊行されているので読もうと思う。

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Posted by ブクログ 2017年11月11日

借りたもの。
病識のない精神疾患患者を、医療機関に繋げる支援をしている著者が見た、当事者家族の姿と現在の精神医療の問題点を垣間見る本。
子が精神疾患を患う患者の原因は親にあると明言する。何故なら親子関係――それは人間関係の根本である――が原因だからだ。
しかし、親にその自覚などあるわけが(そして認め...続きを読むるわけも)無いし、親が原因であっても、それを自覚した上で改善しようとする本人の努力が大事でもある。

とはいえ、この本に挙げられる家庭は往々にしてそれを妨げる傾向がある気がする。
大抵は世間体を気にしたり、肉体的・精神的暴力などで辟易して関わりたくない(←この気持ちはわかるけど…)という理由から。

また、現在の精神疾患への医療機関が、本来治療を必要とする重度の患者を受け入れる体制が整っていないこと、「儲からない」「手がかかる」という理由、更には法律・制度から早期の退院を促していること等、問題を指摘している。

p.267から記載されている行政機関、医療機関などの専門機関へ相談に行く際にまとめておくべき要項はきちんと解説されていて、とても大切なことだと思う。

児童の後ろ姿の表紙から児童虐待問題の本かと思っていたら、違った……
しかし、これは一種の虐待が潜んでいる。それを暗示しているのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2021年05月31日

親子との関係は望む望まないに関わらず、人の人格形成に大きな影響を与えるものだと思う。

この本に出てくる親子は経済的には恵まれているのだが、どこか関係性が一方的で歪な感じが否めない。

必要以上に自分の思い通りの子育てを強いる親、長年抑圧された鬱積が爆発して暴君と化してしまう子供。

どのモデルケー...続きを読むスの親子関係の結末も、改善の兆しも希望的観測も見えることなく終わるため、どんよりとした思いだけが残り、修復不可能な現実を思い知ることになる。

崩壊した家庭を放置し続けた結果、殺人などの大きな事件につながるケースもあると著者は述べており、わずかでも解決の糸口があればと思うが、方法を誤ると更に状況は悪くなる可能性もあり、むしろそうなる可能性の方が高い。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年04月26日

精神障害を抱えたまま長年引きこもりを続けると、症状が悪化し、やがて固定化してせん妄、薬物・アルコール依存などから抜けられなくなる。男の場合は特に暴力・威嚇によって家族をコントロール下においてしまう。家族はそれを恥として隠そうとしたり、社会も本人の意思を尊重するというのが大原則なので、問題はますます悪...続きを読む化する。パーソナリティ障害のような、認知も治療法も進んでいない病を医療につなげるために尽力してきた著者が、現状を豊富な実例と共に伝える。

後半には2013年の精神保健福祉法の法改正について触れている。精神病者を家族ではなく社会で広く受け入れる体制へ変更されたが、現場の態勢が脆弱なまま、家族という堤防の決壊を招いている。この現状では、いつ犯罪行動へと患者が向かうか分からない、という危機感も書かれている。対応困難な患者の背景には、必ずといっていいほど親子関係の問題も隠れているという話も示唆的だ。

自分も青年期までは依存症の患者を家族に抱えていたし、最近ではたまたま仕事で精神障害を抱えていると思われる人の対応に追われることとなった。家族の困難は理解できるし、そうした困難に真正面から立ち向かう著者の仕事は、かけがえのないものだと感じる。

障碍者のインクルージョンはひと昔前に比べればずいぶん進んでいるが、同時にそこから零れ落ちる闇もますます深くなっているのだろう。他者に対する寛容さを失った社会で、制度や法が人権保護という名の下にそうした人たちの居場所をかろうじて作っている。しかしそれも万能では、もちろんない。他者への不寛容なまなざしは、巡り巡って自分にもかえって来るはずだ。問題についてオープンに話していく土壌を作っていくことが必要だと思う。

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ネタバレ

実話ですね。

2017年08月11日

わが家も、一昔前までは、ここに出てくる家族と同じような生活でした。
境界性人格障害とされた家族が、他の家族に暴力をふるう。私には、直接暴力はありませんでしたが、枕元に護身用のナイフを置いて寝てました。
家族みんなで(本人も含めて)、精神科やカウンセラー、警察などとも相談しながら治療を進めていまし...続きを読むたが、結局、彼は自殺することを選びました。
話の中で、「つながってない」患者の話がでてきますが、うちは、けしてつながってない家族でも、患者でもありませんでした。
精神疾患や人格障害者は、知らない人からすれば、恐ろしく感じるかもしれませんが、この本を読むことで、その存在を恐れることなく知って欲しいと思います。

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Posted by ブクログ 2017年05月14日

30~40代になって"異常"行動があるのは、やはり子どもの頃からの生育環境が原因なんでしょうね。ただ、行政や医療に繋げるのは重要ですが、こころの病をどうやってカンカイさせていくか、家族の関係をどうしていくかですね。精神医療のサポートと警察等の行政の連携が重要になってくるのでしょう...続きを読むね。

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Posted by ブクログ 2023年04月30日

閉じ込めることしか対策を思いつかない。攻撃性のある知恵のある人間。家族任せにできない放置できない問題であることは明確。

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Posted by ブクログ 2022年12月30日

精神科病院で働く前には「なんだこの本!!」と憤りに近い感想を抱いたものでしたが、勤務後は「わからなくもない」に変わりました。
ただ病院はいつも満床満杯。午前中1人退院しても午後には新たな患者が入院してきます。受け入れたくても受け入れられない現実もまた事実。保護室が空かないってのもざらだし。

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Posted by ブクログ 2022年07月12日

個人の尊重や平等を謳う時代で世間から取り残されている人たちの話。ノンフィクションだからこそ、本に書かれている人達の完全なる社会復帰も今の現象では難しいのもよく分かる。手を差し出し命を救っている押川さんだからこそ帰る一冊だと感じた。

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Posted by ブクログ 2022年01月23日

題名に衝撃を受けて、ずっと気になっていた本。現実にあるんだろうけど、実感が湧かないくらいの家族間の問題。
でも、他人事ではなく 親の育て方、子供への関わり方によって誰にでも起こりうる事なんだと知り、本当に怖くなった。
家族のサポートで回復した人の話は、薬や病院だけでは治らない心の支えは信頼できる人な...続きを読むんだと改めて実感。

愛情を伝える育児を心がけていこうと、違う角度から子育てを見直させてくれる本でした。

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Posted by ブクログ 2021年11月24日

こんなに大変な思いをしてる家族を助けることも出来ず、家族が子に殺されてしまう、というのを見るとどうやって助けることが出来るのか、を考えないとなと思った。

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Posted by ブクログ 2018年04月26日

世の中、こんな崩壊した家族もたくさんいるのかと。当事者だったら迷いなく死んでくれって思うだろうな。若い人は治療?もできそうだけど、年取ってもうまわりの迷惑や驚異にしかならず家族も近隣も怯えながら暮らすとかそうなると、もう閉じ込めるかするしかない。著者はそういった人もそうなった原因があり被害者でもある...続きを読むと言ってて正論なんだが、でもそこを人権人権って言うとまわりに不幸になる人量産されるしなーって。問題起こすだろうってわかってて、普通のバイトに就職させて世間に馴染ませるって話があるけど、結局同僚ともめたり喧嘩したり急に休んだり、お店に迷惑かけるんだけど、もう1度チャンスをあげよう!って続けさせたり。で、警察沙汰。雇う側からしたら迷惑しかないしな。。。あまり共感はできなかった
が、こういった人は本当に必要で救われている人も事実多いわけで尊敬する。

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Posted by ブクログ 2017年09月18日

内容(「BOOK」データベースより)
自らは病気の自覚のない、精神を病んだ人を説得して医療につなげてきた著者の許には、万策尽きて疲れ果てた親がやってくる。過度の教育圧力に潰れたエリートの息子、酒に溺れて親に刃物を向ける男、母親を奴隷扱いし、ゴミに埋もれて生活する娘…。究極の育児・教育の失敗ともいえる...続きを読む事例から見えてくることを分析し、その対策を検討する。現代人必読、衝撃のノンフィクション。

題名と表紙から、駄目な親が幼い子供を放棄する事に対する本かと思いきや、そうでは無く精神を病んだ人々の家族の痛切な思いを受け止めて来たノンフィクションでした。こればかりは誰がそういう風な状況になるのかは最後まで分からないと思うのですが、人の人命に関わるような激しい精神疾患についても事件になるまでは割と放置になる事が分かって、とてもとてもびっくりしました。症状が悪くなればなるほど受け皿が無く途方に暮れる現状が分かりやすく書かれています。筆者は疾患のある人々を医療機関へ繋ぐのが仕事なのですが、完全にそこから逸脱して頑張っておられます。是非色々な人に読んでいただきたい本であります。

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Posted by ブクログ 2017年09月17日

強烈なタイトルのこの著書。
自傷行為や家庭内暴力、他人への誹謗中傷やストーカーを繰り返してしまうなどの精神疾患のある子供と対峙していくにつれ疲れ果てた親が、実際に口にする言葉なのだそうです。
こういった後天的な精神疾患のある患者を医療機関に移送する民間サービスを営む著者押川氏は、
自治体や警察に相談...続きを読むしたにもかかわらず適切な治療行為を受けられなかった精神疾患を持つ患者が、その直後に無差別殺人などの重大な犯罪をおかしてしまう光景を目の当たりするにつれ、
対象患者に対する日本の法制度や医療制度、そして何より子供に対する親の意識の低さに警鐘を鳴らしています。
まず著書が作中で、こういった後天的な精神疾患の回復や治癒がうまくいかない原因が親にあると痛烈に断言している点が印象的でした。
親が見栄や外聞を気にしてわが子の現状から目を背けようとしたり、治療や保護を病院や警察や保健所や著者のような民間サービスなどに「人任せ」にする現状を、
子供を持つ全ての親が正しく認識しないとこの問題は解決しないと述べられている点は、子供を持つ一人の親として非常に心に刺さる指摘でした。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年08月27日

精神障害者移送をしている著者の活動記録のようなもの。
移送だけじゃなくて面会やら環境調整やら宿泊施設経営やら、とにかく手広くやっている。
物々しい言葉使いやパターナリスティックな態度などで敵意を持たれやすいと思うが、内容に批判を加えるのは簡単ではなさそうというくらい実情をよく見ている印象。
本人の問...続きを読む題、家族の問題、病院から制度まで、どれか一つに帰責しないで多角的に分析している。
別に医療化や入院が最適なソリューションじゃないことを著者自身はわかりつつ現実に対応して支援しているようだ。
そのうえで敢えて書くけど、ちょっとナイーブ過ぎて被害的。文章のトーンが。そのあたり「頑張っている」と自認する関係者は腹立つかも。
各種メディアで見る姿と本で読んだ印象はだいぶ違うので、興味のある人は読んでみるといいと思う。

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購入済み

無責任と現実逃避の産物

匿名 2016年02月14日

 この本を読んで痛感するのは、日本人や社会の多くが、現実逃避や無責任な行動や態度をし、その結果が、殺してくれと叫びたくなるような子供の問題を作ってしまった現実。
 
 子供本人にも問題はあるのだが、その現実に向き合わない、あるいは、妄想や偏見ともいうべき理想を押し付けた家族、特に親の罪は重いと言...続きを読むえる。

 また、もがき苦しむ子供本人や家族を、予算を食う、怖い、面倒だと、関りを拒む日本の精神福祉のずさんさや、その仕組みを作り出した官僚や政治家、それを支持する国民の一人だと思うとゾっとしてしまいます。

 カウンセラーや精神福祉や政治の道に進む方、ぜひ、読んでください。

 あなた達がずさんなことをすれば、悪夢は、いくらでも量産できるという実態を知るために…… 

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Posted by ブクログ 2023年12月21日

本人に病識が無く、通院や服薬を拒む患者を家族や保護者に代わり医療の現場に繋げる「精神障害者移送サービス」という特殊事業を営む筆者による著作。

お恥ずかしながら、このような事業があることを今回初めて知った。私事だが、ここ数年のコロナ禍による生活環境の変化をきっかけに我が家も不安定な状況が続いている。...続きを読む先日は家庭内トラブルが原因で、急遽警察の方に来ていただいたりもした。派遣された生活安全課の刑事の方はとても優しく、動揺する自分に利用できそうな支援制度を丁寧に教えて下さった。とても感謝している。

本の前半部分はこれまでに著者である押川氏が遭遇した「精神障害者の移送依頼」にまつわるエピソードが語られており、後半部分は精神障害者を取り巻く医療・福祉の現場のリアルな状況と、それに対する問題提起が行われている。
現在の日本の精神医学は薬物療法に偏りがちなところがあり、自ら通院せず服薬も拒む扱いにくい患者は現場において煙たがられているという話は正直耳が痛いものがあった。(なぜならわたしの家族の場合も本人に病識がなく、心療内科から処方された薬に抵抗を示すからだ。身に覚えがありすぎる……)

押川氏によると、現状こうした扱いにくい患者の相談窓口や受け皿になっているのは警察だという。警察関係者は職務上ハイレベルな対人能力と危機管理スキルを有しているので、精神錯乱状態で暴力を振るい、自傷他害リスクのある患者に対しても適切な対応が出来るのだそうだ。これに関しては、実際に対応していただいた側の立場として納得するものがあった。しかしそれと同時に、わたし自身も著者同様に警察の現機能だけではこうしたトラブルへの受け皿としては不足していると感じる。今表沙汰となっているケースはほんの一握りで、水面下ではもっと「精神障害をもつ家族と向き合うこと」に悩み苦しんでいる人々がいると思うからだ。押川氏の活動に改めて感謝と敬意を示しつつ、今後は国や行政が主体となり、十分な支援体制が整えられることを願っている。

この本では年老いた親が精神障害を持つ子どもにどう向き合うかということが主題になっており、子どもとの暮らしに行き詰まった絶望の果てに、表題の「子どもを殺してください」という台詞を紡ぐ家族が何パターンも出てくる。それがまた、個人的に胸が痛かった。親と子どもという関係性。置かれた立場は逆だが、以前にわたしも家族から敵意と攻撃的な言葉を浴びせられた際、同じようなことを考えたことがあるからだ。不謹慎なことだが、自分に関係のないところで、ひっそりといなくなってくれたら……なんて願ったこともある。

しかし、これはただの逃避に他ならない。押川氏は終章でこうした言葉を綴っている。
「子供は対応困難な問題を繰り返すことで、親に自分の心を突きつけている。こうなるまで気づかなかった、子供の心の痛みを受け止めてほしい。問題から目を逸らしたり、子供の心を縛るのでは無く、真摯に現実を受け止め、一人の人間として尊重する気持ちを持たれるように……」
わたしも家族ときちんと向き合わねばならないし、今も、その覚悟が足りていないのかもしれない。そうした自省の念を抱いたりもする。

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Posted by ブクログ 2023年03月19日

 感想を書くことがとても難しい。
 本書に登場する子供、彼らを保護する人、子供の親、警察、福祉関係者はそれぞれの立場、利害をもち行動する。私は心中でそれぞれの行動に対して直感的に肯定的または否定的な意見を持つ。しかし私自身が本書で取り上げられるような問題の当事者でないということからその意見はとても無...続きを読む意味なものに思えてしまう。当事者でないことは私がある問題に対して何らかの感想を持つことに対する自信を奪うときがある。
 一方で本書で取り上げられた問題はもっと社会で大きな議論をして、対策を講じなければいけない問題だ。私が当事者でなくても、まさにいま私が問題の渦中にいるのだという意識を持つべきだ。筆者も当事者でない我々に問題提起をするという意味で本書を書いた側面もあると思う。
 私が本書を読んでどの立場を取るにせよ、この問題に対して一定の立場と見解を持つことを恐れないようにしたい。
 最後に筆者に問いたい。
「当事者ではない私たちには何ができますか?」
 

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Posted by ブクログ 2023年02月08日

先日の相模原殺傷事件が起こり、とても興味深く読みました。精神保健福祉法が改正され、2014年4月に施行されてから、複雑かつ対応困難なケースほど、なかなか医療につながらず、入院できても半ば強制的に早期退院を促されるようになっているらしい。二度とこのような事件が起こらないよう取り組んでほしい。また子ども...続きを読むを持つ親は、子どもの顔色をうかがうような事なく、子どもを大切し、本気で子どもと対峙していかなければならないと思いました。

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Posted by ブクログ 2022年04月27日

幼少期から本音でぶつかり合ったこともなく、ガラス細工のような脆さで集ってきた、見せかけだけの家族が多いことを痛感させられます。(P.275)

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Posted by ブクログ 2021年04月10日

毒親の話と思いきや、精神疾患などを抱えた親の苦悩を紹介した一冊。
知り合いの紹介で出会った。本当に現実なのか信じがたいエピソードの数々は、救われない展開で読むのが苦しい。専門家とは言い難い著者による、結局親が悪いという論調も読むのが辛かった。

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Posted by ブクログ 2021年02月21日

子どもの本人の病気や気質だったり、または親の虐待の結果であったり、要因は様々だと思いますが、助けられない子どもがどこに行き着くのか勘付いてしまうと、虚しくなります。
命はどうして授かるのでしょうね。

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Posted by ブクログ 2020年02月11日

衝撃的な事実の数々。
もはや言葉の通じない「何モノか」としか思えないような
人たち・・・・が、現実に多数いるのだという。

心の病と一言で言うのは簡単だが、彼ら・彼女らの現状を正しく言い表すには不足する。

そして、著者が言うには・・・・(もちろん皆とは言わないが)彼ら・彼女らをそういう状況に追い込...続きを読むんだ要因の一因は両親の育て方にもある、という。

うん、一理あると思う。

さらに・・・ここで紹介される「身勝手な親」の存在にも頭が痛む。心も痛む。

そして、もちろん、、、、上記のような「ある意味自業自得な親」ではなくても子供が“そう”なって苦しんでいる親もいるであろうという現実。

去年だったか一昨年だったか、、、、某省庁だかの元エリート官僚が我が子を刺殺した事件が記憶に新しいが、そのため、よりリアリティをもって読むことになり、うすら寒い思いがした。

★3つ、7ポイント半。
2020.02.11.新。

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Posted by ブクログ 2019年06月12日

子供の精神障害や暴力に苦しめられる親・家族の7ドキュメント事例。親たちの状況、頼りにならない専門機関や専門家、精神保健福祉法改正の影響、今後の取り組みに向けて。対話と説得で患者を医療につなげるサービス従事者として。

社会にとって重要な、事件防止には、親に対しても子に対しても、適切に介入することが必...続きを読む要だし、知見と、その能力をもった人を育てることも重要だと思います。

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Posted by ブクログ 2019年01月20日

・小説ではなく、ノンフィクション。精神疾患の子供を持つ親、兄弟の苦悩。
・統合失調症、パーソナル障害、うつ等であっても、本人が病気であるという意識、病識がないと入院も大変であること。
・また、入院できたとしても、3ヶ月で退院させられ、また元に戻ってしまうこと。
・家族、第三者に危険が及ぶことが予想さ...続きを読むれながら対応が難しいこと。
・警察は事件が起こってからでないと動けないこと。
・グレーゾーンが広く、診断が難しいこと。
・親も変な人が多い。自分のことしか考えていない。

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Posted by ブクログ 2018年06月19日

非常にきつい内容でした。身体の病気と違って心の病気、依存症、発達障害などに対する理解、知識がまず一般にない。多分家族にすらない。これは綺麗事ではすまされないし、これからもっと大きな問題になると思う。どの角度から見ても八方塞がりに思えて考えるのがしんどいです。
子供と言っても大人になってしまえば、親は...続きを読む歳をとるばかりで体力的にも経済的にも支えられない現実。
サポート窓口がはっきりしていなくて責任のなすり合いみたいになってしまうのが現状のようで苦しい。

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Posted by ブクログ 2018年04月21日

ケース例を見れば
そういう人たちが入院しつづけられず
シャバに出た時にどうなるのかって
やっぱり不安になってしまう。
ただこの人のいうようにやっぱり仕組みが
大事だから、でも難しいよな〜。
といろいろ考えさせられた。

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Posted by ブクログ 2017年11月29日

殺到、急増、一点張り。語彙多くなく推測の話し少なくない。しかしこれらの問題対応が簡単でないことも良くわかる。海外の対策や国内で良策を出している地域や機関の例があるともっと良い。

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Posted by ブクログ 2017年08月22日

家庭内暴力に疲れ果て、年老いた親が中年になった子供を殺害
する。先日もそんなやりきれないニュースがあった。

しばらく前に本書の著者・押川氏をテレビで見た。精神障害者移送
サービスなる業務を行っている押川氏の仕事に密着したドキュメント
だった。

自覚症状もないままにアルコール依存症に陥り...続きを読む、家族に暴力を振るう
男性や、暴君のように母親に自分の欲求を満たす為の要求を繰り返す
少年。彼らを説得し、いかに医療に結び付けるかの過程が紹介され
ていた。

本書では押川氏が実際に手掛けた事例の紹介と、精神科医療周辺の
問題点と対策を検討する書である。

なんともショッキングなタイトルだが、実際の事例はそれ以上に衝撃的
だ。我慢に我慢を重ねた家族が、藁にも縋る思いで押川氏に助けを
求めるのだろう。

殺すか、殺されるか。そんなギリギリの状態にまで追い込まれた家族。
そして病識もなく、荒れて行き、精神に異常を来して行く子供。双方が
やりきれない。

だが、そうなった結果は「親が悪い。教育が悪い」と結論してしまうの
はいかがなものか。確かに本書で扱われている事例はある程度の
資産があり、教育程度も高い家庭がほとんどで、幼いころから多大な
期待を背負わされたり、欲しい物はなんでも手に入る環境に置かれた
子供が多い。

しかし、同じような環境で育った子供のすべてが初めての挫折から
引きこもりになり、家族を振り回す存在になる訳でもないだろう。
それの証拠に、本書でも老いた親に変わって保護者の立場を
引き受けた弟や妹の、「その後」の苦悩も紹介されている。

心の問題は難しいよね。人間、程度の違いはあるもののストレスに
晒されて生きている。「こうでありたい」と描いた理想とは違った生活
を送っていることだって少なくない。

それでもどこかで折り合いをつけて生きているんだと思う。折り合いを
つける。そのことが出来なかった人たちが心を病んでしまい、鬱屈し
た気持ちが一番身近にいる家族に向かってしまうのではないかな。

著者が言うように、取りあえずは医療に繋げることは重要だと思う。
それでも、退院後の受け皿がなければ元の木阿弥なんだよね。

自傷他害の恐れがある人の受け皿のないことが、悲惨な事件を
招いているのは日々のニュースを見ていても分かるもの。

日本では殺人事件の発生件数は減少傾向にあるという。だが、事件
件数のうち、家族間の殺人発生率は増加しているそうだ。

遠くない昔のように鉄格子のはまった医療施設に閉じ込めておけば
いいとは思わない。それでも「3か月で退院」という現行の制度では
救えない家族がいるんだよね。難しいわ。

だって、私だっていつ・何が原因で精神を病んでしまうかも分からない
のだもの。

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Posted by ブクログ 2017年08月19日

救いのなさに驚くばかりでした。
人を傷つけたり殺す可能性があるような危険人物ほど
入院を拒まれるという現実。入院して問題を起こすとブラックリストに載るらしく、入院拒否って。本当に危険な人物ほど野放しにされるという現実。
でもだから医師や看護師さん、他の患者さんの命の危険云々があるだろうし
過酷な現場...続きを読むで耐えられる人が少なく経験者が育たないのもわかる…というか逆に精神を病んでしまうのでしょうね…。
入院出来ても治療の効果がみられなくとも3ヶ月で出されてしまったり、問題を起こせば3ヶ月をまたずに退院させられてしまったり。
長期入院させられそうだったとしてもその金額が…500万とか。
家族内に本当に危険な人物が出てしまった場合、治療が困難だったらもう逃げ場がないじゃないですか。
何かあったら警察に、で終わるのがお決まりのパターンのようで。
殺して下さいどころか親が殺すか、縁を切って本気で逃げ続けるか、耐えるか。…親が殺されるか。

「家族のために犠牲になれる人」という言葉が重かったです。

やはりというか何と言うか親の育て方が人格を破壊するという要因が多いようですが
結局は本人の資質というかそういうものも大きいと思いますが。
虐待されて育っても幸せになる人もいるし、人生を滅茶苦茶にされたと思っていても壊れきれず、暴力も振るえず、普通に生きられない苦しみを抱え、自殺も出来ずに生きている人もいる。
精神疾患の話ではないのですが「親がお金を持っているのを知っている」人間のタチの悪さは実例をいくつか聞いた事があるので→働かないで親のお金(もらって)で生活しようとする らしいですが
お金持ちの子供が壊れた場合→親からお金を巻き上げるようになる で、しかも親が普通に渡してしまうらしいのが凄い。結局あるとそうなるのか。ないものは出せないけどあるから出しちゃうのか。
親が裕福で立派な職業でその子供が挫折した時の壊れっぷりは哀れだったけど何もかも違いすぎて共感できない;両親が弁護士で自分が弁護士になれなかっただけで壊れるの?そういう家庭とか一族とかって小説の中くらいでしか知らないので次元が違いすぎるー。「一族の恥」とかいう台詞が実際出たりするんだろーか…。

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Posted by ブクログ 2017年06月04日

衝撃的な内容に惹かれて購入
追い詰められているにも関わらず、問題を先送りにする当事者たち
見たくないことを見ず、ちょっと治ったら楽観視する。ある意味人間らしいが、命を脅かす事に繋がる場合を想定すべき…
現実は厳しい

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Posted by ブクログ 2017年05月11日

最初に実例を列挙して、分かりやすく精神科領域に関わる犯罪を解説。その後、現状の問題点と今後の展望に関する筆者の見解を提示。頭に入ってきやすい構成だと思うし、実際、読みながら特に違和感を感じることもなかった。同時並行で隣に並んだ「家族狩り」を読んでいたこともあり、シンクロした内容に少し驚いたりもして。...続きを読む精神科診療と警察介入の微妙な関係性とか、そういう点でも見どころはあったけど、親子関係を見つめ直すきっかけにもなる内容。不幸な病気という側面もさることながら、向き合い方ひとつで変わってくるという、身体疾患とは一線を画す面にも留意が必要。身につまされました。

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