【感想・ネタバレ】不実な美女か貞淑な醜女かのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

英語ができないしもちろん他言語もできないわたしは、外国語を話せる、そして通訳ってだけで尊敬に値する。同時通訳さんなんて惚れ惚れする。そして通訳さんて、言語のコミュニケーションのプロ中のプロだけど、いかに相手に伝えることができるかなんだなと思った。そして雇われるっていう苦労もあり。あとやはり日本語のボキャブラリーが豊富で、そして美しい日本語を知っているからこそ、通訳ができるんだなと感動した。もっと勉強しよう。

0
2019年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 通訳から言語、国際関係まで自身の経験から面白くかつ、鋭く切り込んでいる。外国語を学んでいる人には是非読んでほしい。久しぶりに人に薦めたいと思う本に出会えた。
 通訳という職業について様々な苦労と失敗談が語られているが、エピソードの紹介に留まらず考察を深めているところが凄い。差別語から差別の実態についての意見には思わず納得。卑猥な会話が仲間の雰囲気を作り出すということが、国を超えてあることだということも面白かった。
 訳の仕事は大きく翻訳と通訳に分けられる。私のような素人は対象の言語を熟知していればどちらもできるのではないか、と思ってしまう。しかし両者の間には大きな隔絶がある。まず音声と文字では頭での認識の仕方が異なる。同音異義語などは音声から認識する場合、誤認識する可能性がある。また訳すまでの時間の違いも両者の決定的な違いだ。通訳は即時に変換しなければならないが、翻訳は納得のいく訳を考え吟味できる時間がある。
 なぜ通訳が機械にとって代わられないのか、という疑問にも説得力のある説明をされている。単語は言語間で一対一の関係ではないし、同じ言葉でも会話の流れ、前後の文脈でまったく異なる意味になる。さらに文化という大きな文脈が異なるために機械で自動的に翻訳しようとしてもうまくいかないのだ。
 通訳者が発言者の言葉を聞いて、正しく理解し、それを正確に表現する外国語の言葉を組み立てて、相手が正しく理解する。これは相当大変なことであることが分かった。通訳者は単に言語に堪能というだけでなく、集中力、知識、事前準備など様々な努力があって為し得ることなのだ。しかもどんなに通訳者がうまく訳そうにも、原発言がとんちんかんでは手の施しようがないという宿命を背負っている。
 最後に、外国語は母国語よりうまくならない、ということを肝に銘じておきたい。今盛んに英語力の向上が叫ばれているが、まず日本語が未熟では英語もそれ以上にはなりようがない。また自国のことを知らない人は尊敬の対象にはならず、国際力があるとは言えない。 

0
2015年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<通訳あるある。プロも日々勉強。>

一流のロシア語通訳者である著者のデビュー作。

・時間との戦いが、通訳の宿命である。
・掛けられる時間と、成果物が記録に残るか残らないか、という2点が通訳と本質の大きな違いであること。

ぐらいはある程度想像のつく事であるが、以下の様な事は読んでみて初めて知った

・通訳者は新しい分野、例えば軍事工学、医学、原子力etc...の通訳を依頼された際は関連する知識と専門用語を叩き込む。要はプロでも日々是勉強という事。更に、
◇現在ロシア語通訳協会に百六十名ほどの会員がいる。そのうち理工系出身者はわずか五名で、残りの圧倒的通は大学でロシア語かロシア文学を専攻した人たちだ。78
理科系の出身者が自分の専門分野の複雑さを知りすぎているからこそ、他の分野にはてをだしかねていて、逆に文科系出身者は怖いもの知らずで、難しげな仕事を請け負うのではないかと著者は分析する。そして、
◇どんな複雑な機器や装置であれ、所詮人間の作ったものである。その人間に対し飽くなき探究心を抱く者にとって、機械だけがどうして無縁で有り得よう。79
これは小町直美氏の引用であるが、熟練の通訳者が辿り着いた、非常に示唆に富んだ意見である。

◇通訳稼業に振り向ける時間を八とすると、少なくとも二は、翻訳の仕事を引き受けるように、私はつとめている。なぜか。時間の成約(中略)に甘えて絶え間ない妥協を続けていく通訳という営みには、訳が非常に粗雑に、まずしくなっていく危険がつきまとう。限られた時間の範囲内であれ、最良最適の訳を目指すという、翻訳者的性向を併せ持つためには、時々もう少し時間的余裕のある環境に身をおいて、じっくりと辞書や専門書に当たり、より的確な語彙、より含蓄のある表現を探索する機会がどうしても必要になってくるのである。139

0
2014年08月13日

「エッセイ・紀行」ランキング