【感想・ネタバレ】白蝶記 3 ―どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか―のレビュー

あらすじ

会いたい、三人で、会いたい――。 市内で起こったテロ事件から約一年半が経ち、旭(あさひ)は朱理(しゅり)とともに中学校に通いながら、母と樹(いつき)の三人の普通の生活を取り戻していた。 しかし、陽咲(ひさき)は旭の父である室井(むろい)に連れ去られたまま。一切の手がかりもなくもどかしい日々を送る旭。 そんな旭の前に時任(ときとう)が現れ、室井の居場所をつきとめるため手を組むことになる。そして、謎の男から渡された携帯電話で室井と接触(せっしょく)する機会を得る旭だが、電話口で告げられたのは―― 「人を殺してもらう」 という非情な命令だった。室井が旭に課す【才能試験(さいのうしけん)】とは……。 旭、樹、陽咲の三人に本当の幸せは訪れるのか―― 『白蝶記』感動の最終巻!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

理不尽を戦い抜く少年少女の物語、完結。どんなに絶望的な教育を施されながらも「人は環境によって作られるのではない」と信じることは希望なのかもしれないが、同時にあまりに厳しい現実と向き合わざるを得なくなる絶望でもある。
それでも希望を信じ抜くということは、いったいどれほどまでに強くなければならないんだろう? 『白蝶記』には悪が満ちているが、本当にいい人たちもたくさん登場する。陽咲や樹、朱里をはじめとして、時任や金城……。人間は優しさに支えられ、救われているんだと思う。
無関心という暴力の種を打ち砕くように、憎しみと怒りの対象だったはずの残虐な父を知ろうとする旭。クライマックスは泣けた……
打ち切りなのだろうか、やや駆け足に感じたところが残念だったが、それでもむちゃくちゃ良かった。るーすぼーいまた何か書いてほしいな、小説でもゲームでもいい。

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2016年11月12日

Posted by ブクログ

離島に招聘された人間には辟易したが、時任や旭の自分を省みずに想う人を救おうという精神に心が救われた。1〜3巻にかけて、旭と時任はメインキャラであり続けたが、とりわけ、この巻では時任の魅力に焦点が当てられていたと思う。彼女の魅力は、明晰な頭脳を持ち、どこか近づきがたい雰囲気を醸す姿とその実弱く旭からもらったたった一輪の花に執着する姿とのギャップにあると思う。終わり方も心地がよく、読後感は良好である。

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2019年12月04日

Posted by ブクログ

るーすぼーいの作風からして、そして表紙やアオリからして、ハッピーエンド以外考えられないが、ともかく大団円でよかった。

でも作者の代名詞でもある大逆転劇は、ちょっとインパクトが弱かったように思う。
これまでのるーすの作品には、知的で優秀な主人公と、それを上回るかっこいい悪役との対決があった。
個人の能力にしろ、持っている手札の量と質にしろ、1枚も2枚も主人公を上回る悪役に対して、どう振舞うのか。
繰り返されるどんでん返し、そして最後の逆転劇が見どころだった。

2巻までは時任がその悪役として君臨していた。
彼女との戦いはハラハラしたし、主人公たちは芯の強さも見せてくれた。

ところが、2巻の最後で更なる強大な悪役として登場した室井がよくなかった。
いや、小物だったというわけではないのだが、肝心の対決があまり見られず、魅力的な悪役に映らないのだ。

それに、2巻まで敵対していた時任と手を組むのだから、もっと知的な戦いやどんでん返しの連続になるかと期待していた。
しかし、二人を上回る強敵が現れないので、その能力を発揮する機会がなかった。
室井は病気で動けないし、裏切るかと思われたあのヤクザも動かないし。

おなじみの芯の強いヒロインも、陽咲よりも朱理のほうが近かったかも。
あんまり陽咲の見せ場がなかった。
そのせいで、「無関心であれ」という室井と、「主人公のことだけを考えていた」陽咲の対比もうまく活きていなかったように思う。

「黒い蝶の章」のような、るーすらしいやり口が見れたし、普通に面白い。
でも、期待値が高かっただけに……という感想。

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2020年10月07日

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