【感想・ネタバレ】トーニオ・クレーガー 他一篇のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

機会があって少し触れたところ、想像以上の面白さに一気にすべて読み切ってしまった。繰り返し読みたいと感じさせる作品で、今後愛読書になりそうである。
「マーリオと魔術師」についてもその巧みな描写力に圧倒され、まるで自分もその場で催眠術にかかっているかのように空気にのまれながら、マーリオの登場と結末に向かうピンと張り詰めた空気に触れさせられたが、何よりも「トーニオ・クレーガー」が秀逸だった。言葉によるソナタと言う表現は的確で、完璧に構築された全体のなかでモチーフが美しく用いられ、心に迫った。貴重な作品である。
この作品から我々が受け取るものは数多くあるだろうが、その中で「若きウェルテルの悩み」と通じるものが挙げられているのは非常に妥当だと感じる。この作品が「若きウェルテルの悩み」であり、また「人間失格」であると私には感じられた。
文学に通ずる人からは批判されてしまうかもしれないが、おそらく当時の若者が「新世紀エヴァンゲリオン」を通して碇シンジから受け取ったものも、これと同種のものであったのだと私は考える。そしてまた、そのような受容の仕方が現代の世代(ハルヒ以降)の事後的なエヴァンゲリオンの受容の中には見られず、単純に碇シンジを軟弱な他者、旧エヴァを難解で未完成の作品ととらえる動きの中に、作品と人間の関係性について考えるべき問題点が潜んでいるように思われてならない。

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2015年01月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

トニオ・クレエゲルの新訳ということで興味を持ち読んだ。混乱を招きやすい箇所はなるほどあからさまに書かれており理解しやすい。表題作も素晴らしいが、同時収録作品が強く印象に残る。想像以上に挿絵が多かった。

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2014年03月17日

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