【感想・ネタバレ】みんなの戦争証言のレビュー

あらすじ

「平和を願うなら。知ろう、経験者が語る戦争の真実を」(カンニング竹山) いつのまにか戦争が始まり、いつのまにか敵を倒したニュースに高揚し、いつのまにか家族は兵隊さんになって戦場に行き、いつのまにかわたしたちの住む街は焼き尽くされた。70年前、日本中の誰しもが経験した「日常生活の中の戦争」、それが本書のテーマです。“悲しい”や、“辛い”ことばかりにスポットを当て、センセーショナルな戦争のエピソードだけを際立たせるのではなく、昭和16年の真珠湾攻撃よりも前から、時間軸に沿って細かく証言をお聞きすることで、日常生活のいたる所に入り込む戦争の影を見つけることができる。そして、今 を生きる私たちにも、“戦争の始まり”を感じることができる、と考え、太平洋戦争を経験された方々へのインタビューを行ない、本書にまとめました。教科書には書いていない、哀しみ、苦しみ、小さな喜び、沢山の思い出……。自分の国がどんな歴史の上に成り立っているのか、先人たちは何を感じ、どのように考えていたのか? 日本の未来を創る若者たちに必ず伝えなければならない、70年前の太平洋戦争のリアルが詰まった証言集です。◆証言者 宝田明(俳優)、田原総一朗(ジャーナリスト)、清水千壽子(山の手大空襲罹災者)、岩井フサ(元陸軍病院看護婦)、加藤武(俳優)、尾崎健一(元少年通信兵)、赤木春恵(女優)、吉本淳一(元特攻隊員/「零戦」「秋水」パイロット)、石田アヤ(東京大空襲罹災者)、岩井忠正(元 特攻兵器「回天」「伏龍」乗組員)、谷川清澄(元 駆逐艦「嵐」水雷長)、波多江たま(「二二六事件」将校の妹)、笹本恒子(日本初の女性報道写真家)、むのたけじ(元朝日新聞記者)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

14名の戦争体験談。読んで感じたことを大事にしたい。

極限状態に陥るとコントロールは効かないし引き戻れない。極力極限状態を回避するように事前に考え行動しなければ、一度流れができてしまうと情報は遮断され、反対を言えない空気の中でそのまま突き進んでしまう。


P.S.戦争と戦争の間の「平和」ではなく、物(資源)から知識ベースの経済に移りつつ現在、領土を取り合う戦争が起こりそうもない「平和」になればとも思う。

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2021年08月14日

Posted by ブクログ

有名無名、敗戦当時11〜 31歳の男女14人の「戦争証言」。10年前、戦後70年を記念した冊子です。結果的には今や鬼籍に入られた方が殆どなのではないか。貴重な証言集である。

【宝田明(11歳・満州ハルピンにて敗戦)】
ゴジラ俳優。父親は満鉄社員。満州開拓団のソ連侵攻後の生命からがら逃避行は聞いたことはあるが、この家族は侵攻後も暫く在満して「正式な引き揚げ」をしている。それでも、生命の危険はあったし、兄は取り残され、生命からがら帰ってきた。明でさえ、戦後ロシア映画を見ると途中で吐気を催して退席するほどのトラウマがある。インタビュー映像を文字起こししているが、一つ一つがとても具体的で、ハッキリしている(81歳)。証言当時、明確に安倍政権を批判している。本来俳優は左右の観客を取り込まなくてはならないから、そこまで突っ込んだ話をするのはタブーとされる世代だけど、彼は敢えてやった。ひとえに二度と戦争を起こさない為に。

【加藤武(16歳山の手空襲を経験)】
築地の生まれ育ち。俳優。話はあちこちするし、戦後の意識と戦中意識が混濁している。火の手の中を、病人のお婆さんを大八車に載せて逃げ回り、歌舞伎座か燃え落ちるのを見るのは映画みたい。お婆さんは朝には死んでいた。wikiを見ると、このインタビューの数カ月後に亡くなっている(86歳)。

【清水千尋子(14歳 山の手空襲を経験)】有名人以外も多く参加。アーカイブにちゃんと入っている。
山の手空襲の時、母とも離れ、倒れた父親を千駄ヶ谷鳩森八幡宮に置いて逃げざるを得なかった。母と姉は慰めたが、その後暫く失語症になる。八幡宮に行けたのは、孫に言い残す決心がついた68年後だった。「日本はね、平和でね、品のいい国でこぢんまりと生きられたら良かったのに」

【赤木春恵(21歳満州で俳優として慰問団に来ているときに終戦)】
戦争を避けて、20年2月に満州に渡っている。宝田明はすぐに日本に渡ったが、彼女は何も知らないまま、1年以上満州をウロウロしている。正に九死に一生。藤山寛美と一緒に動いていたとは知らなかった。インタビュー当時91歳。かなり詳細な記憶。

【吉本淳一(21歳 元特攻隊員 海軍の指揮官)】
91歳。頭は非常にクリア。海軍は愛国心教育はなかった。特攻隊員に強制はなかった。集団的自衛権は必要だ、等々の持論を展開。立場によって、此処迄思想に違いがあるのか。

昭和20年において、どのような立場であったか、何処にいたか、で全然「戦争に対する想い」が違うのも興味深い。そしてそれは、戦後70年当時、つまり2015年、集団的自衛権の是非が問われる日本に対しての意見も大きく二つに割れる事になる。わたしは、このときに、支配者に近い所にいる人物の意見に反感を覚え、支配される側にいた人間の言葉に共感を覚える。わたしはずっと、これからもそういう視点で歴史を見ることにするだろう。何故ならば、支配される側から見た方が、その反対からよりも確実に世界の全体が見えるからである(←参考文献、本多勝一「事実とは何か」)。

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2025年08月17日

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