【感想・ネタバレ】化鳥・三尺角 他六篇のレビュー

あらすじ

「犬も猫も人間もおんなじだって。……いまに皆分るんだね」(「化鳥」)。思いや痛みが境界を溶かし、草木鳥獣、死者と人とが結びあう――鮮やかに目の前の世界を読み換える鏡花の物語たち。表題作の他「清心庵」「木霊」「朱日記」「第二菎蒻本」「皮鞄の怪」「茸の舞姫」を収録、詳細な注を付す。(注・解説=松村友視)

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Posted by ブクログ

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ずっと愛読していたのに未登録だったので。いまは「泉鏡花集成」を読んでいるが、その前は(いや、もしかしたらいまでも)鏡花作品の中で1冊しか持てないならこの本と決めていた。『化鳥』の生物観、『三尺角』や『木霊』の幽幻と悲しみと神秘、『清心庵』にあらわれる一種の納得と驚き、『第二蒟蒻本』のせつないいとしさは、どれも身が締まって胸が透き通る。『朱日記』では現代知に支配されきらない、強い、ほかの理の存在が示されてどきどきする。『皮鞄の怪』の、どこか潔くすっきりした様子にははっとさせられる。『茸の舞姫』は、まだわからない部分もあるが、怖い中にもある種の理があるのは窺える。などといろいろ書いたが、鏡花作品は共通するとおり「画のごとく」描かれる情景を「吞み干す」のがいちばんいいと思う。奥底に深く染み渡る寂しさと、いわゆる常識と異なる、けれど間違いにはできない理は飲んだ胃から吸収される。理屈でむりに解釈するのは野暮だと思う。

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2018年10月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鏡花短編集。面白いものが多かった。最後に急展開が待っているのはいつもながらのこと、それでもワンパターンを思わせない内容の豊富さ。この本には好きな話が多かった。化鳥はちょっとシンプルすぎるきらいがあるように感じたが、三尺角の拾遺の、女の霊が現れる水際の、読んでいてその冷気が伝わってくるような冷ややかな感覚はまさに身の毛もよだつというもの。最後の茸の舞姫も、題名からはかわいい御伽の印象を受けるも実際は恐ろしい話でぞくりとする。時間がたったらいずれ再読したい一冊だった。

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2015年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鏡花の短編集。
「化鳥」:山奥に母と2人で暮らす男児。その母親に似た「羽の生えたうつくしい姉さん」を見る話。
「清心庵」:良家の人妻と、18になる少年の性的ではない逢引き。
「三尺角」:
「木精」:三尺角の別視点。お柳の魂が男に一目まみえる。
「朱日記」:不思議な女性に火事が起こることを予言される少年と、その小学校の教師たち。
「第二蒟蒻本」:芸者の霊が男の元に現れる。
「革鞄の怪」:電車の中で出くわした公務員が乗り合わせた花嫁に仕掛けたこと・・・。
「茸の舞姫」:神隠しがえりの青年(少年)が町や神主、集落全体を巻き込む・・・。

いつもながらの怪異がよろしい。「革鞄の怪」と「茸の舞姫」が好きかも。

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2015年01月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「化鳥」だけ。子どもの純粋な問いと教師の答えにモヤモヤする。人間はどの動物よりも偉い、なぜならば言葉を話せるからという事に対して、動物だって囀ったりして会話をしていると言う。それを全否定出来ない。とてもいい感性だから。
お母様はただ笑っているだけではあるけど、いろいろな思いを抱えてるに違いない。それでも、子どもの前では美しいお母様。美しい女性はすぐそばに。

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2018年07月21日

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