【感想・ネタバレ】高校生にも読んでほしい安全保障の授業のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年04月02日

借りたもの。
2015年の平和安全法制定のバックボーンに何があるのかを解説。
‘これまでのように戦争放棄をアピールするだけでは、日本の平和と安全を保障することができなくなっているのが実情(p.4)’と、明言している。
2000年代に入ってからの国際テロ、ホルムズ海峡の機雷掃海などを受け、法律の整備が...続きを読む曖昧な今の自衛隊では国際平和に貢献できない、自国民を守れないという危機意識があることを丁寧に解説。

理由は、自衛隊はかなりの制限をかけられた法律に基づいて動くため。
武器使用権限に関する正当防衛の範囲を越える活動に該当するため、駆けつけ警護ができないという衝撃の事実。東ティモールでは妙な理屈をこじつけて日本食レストランの調理人を救助した例(p.38)まで……
‘有事になってから慌てても遅い(p.21)’のだ。

国民の危機意識の無さを懸念している。
まず第一に日本人が領土問題に疎い(無知・無関心)こと。
実は同盟国(アメリカ)とでさえ、(小笠原諸島周辺海域)排他的経済水域が曖昧らしい。
さらに領土問題は一度譲歩してしまうと後は際限が無いことを訴える。

日本の身近にある脅威についても紹介。
地政学的な話にもなるが、日本地図を逆さにすると、日本列島は中国やロシアにとって太平洋進出にフタをしている邪魔な存在であること。

それらを踏まえ、日本の安全はどのように守られているのかを解説。
国防とは、自国だけで守っているのではなく「アメリカと相互に守り合っている」ことで成り立っている。それか集団的自衛権。

NATOに加盟していなかったウクライナがクリミア危機を招いてしまったこと(結果、ロシア占領)、フィリピンが米軍から返還されたミスチーフ礁を自助努力を怠った隙
に中国に奪取されたこと…これらは集団的自衛権を持っていなかったから起こった事態でもあった。

集団的自衛権があることで大国へのけん制になり、‘戦わずに国を守る方法’となる。
日米同盟、安保の本来の意味はそこだった。
一方的にアメリカの傘下で抑圧されているわけでは無い。「守られているから相互に守り合う」ことが求められている。

中国は明らかにアメリカの抑止力低下を狙っている……ランドパワーの中国が、2015年に陸軍偏重から海軍重視への切り替えを表明したことは、シーパワーの日本にとって衝突、主権侵害の脅威に他ならない。
中国の軍事予算の上昇、無人航空機(UAV)運用とその対策の必要性がある。
中国の2015年の『国防白書』の方針から、中国が作戦範囲を広げ先制攻撃をかける可能性を指摘している。

現行の法律上での定義・解釈をQ&A形式で解説している箇所が読みやすい。有識者という、右左双方片寄った論者の持論と妄想の意見ではなく、定義の解説だった。

集団的自衛権が認められる≠徴兵制
集団的自衛権≠戦争がしやすくなる
集団的自衛権≠侵略の武力行使
日本の平和憲法≠他国は日本を攻撃しない

……冷静に考えれば別物なのに(定義されている法律が無かったり、違ったり)感情論ばかりが大きく、また私自身が知識をもっていなかったことで、それらにモヤモヤしていた。
世界にあるのは戦争を“予防”する法律であり、法律があるから戦争が起こる/起こらないのではない。
紛争解決は対話だが、対話のための対等な関係は、“対等な軍事力があって成り立つ”ということがグローバルスタンダードであることを認識する。

外国からの脅威を防ぐのは国民の意識。
竹島問題を報道機関が大きく取り上げたことで、韓国のり自国の主張を一方的に押し付ける外交が明らかになった。

沖縄の基地問題。
国外に移すとなれば調査・建設に莫大な時間とお金がかかること、他国の軍事戦略にも影響があること……
それをまるっと無視して沖縄に口約束した民主党の鳩山。おかげでこじれてる。

沖縄に基地があることで、自衛隊が持てない以上の軍備と米軍の後ろ楯がある。
正確に言うと沖縄の防衛力は米軍ありきで、自衛隊だけでは補てんできないのではないか?

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