【感想・ネタバレ】獣の記憶のレビュー

あらすじ

首のない死体。野獣に噛みさかれたような傷跡。ジェヴォーダン地方では、謎の人死にが続いていた。犠牲者は既に30人を超え、ほとんどが若い女や子どもだった。狼か未知の獣の仕業なのか。獣の正体に興味を抱いた博物学者の卵トマは、ヴェルサイユから派遣される狩人に無理矢理同行する。襲撃のあった現場付近の領主の城で、トマは“野獣”に襲われて生き延びたらしい美しい少女に出会う。だが貴族の娘である彼女は襲われたときの記憶を失っていた。18世紀のフランスを舞台に、謎に包まれたままの怪事件の真相に迫る、ゴシックミステリ決定版!

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Posted by ブクログ

過去の未解決事件の中でも18世紀フランスで起きたジェヴォーダンの獣事件は好きなモチーフだ。狼のような未知の獣に100人以上の女、子供が惨殺された。この事件に博物学者の卵トマが挑む、スロヴェニアが生んだ歴史ミステリ&ロマンスの傑作。犯人は本当に狼か未知の生物か、それとも狼男なのか。トマはジェヴォーダンの領主の城で獣に襲われたが生き延びた貴族の娘イザベルに出会う。立場が違うからこそ焦れったいまでに静かに燃え上がる2人のロマンスは鉄板。犯人(獣)の正体も恋の行方もどうなるのか、ページをめくる手が止まらない。どんな結末を用意してるのかと思ったら裏の裏をかく予想外の結末。読後も興奮して眠れず今朝は内臓が気持ち悪い(≧∀≦)

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2022年06月07日

Posted by ブクログ

予想外に面白かった。未だに謎のジェヴォーダンの獣事件を、若き博物学者を主人公にした物語にして、ひとつの解に結びつけている。やっぱ獣の正体はそうなのかなぁ?

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2018年05月17日

Posted by ブクログ

かつてあった獣の殺戮事件。それをもとにつくられているのだけど、これはもう一気読み。獣をめぐっての作者の想像力はこちらにもどんどん伝わってくる。結末は予想できるもののそれを上回るワクワク感。よかったです。

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2016年05月30日

Posted by ブクログ

18世紀フランスのジェヴォーダン地方で実際に起きた謎の獣による連続惨殺事件を扱った作品。
ルイ15世の指示により謎の獣を捕獲するべくジェヴォーダンへ向かう銃士らに同行する博物学者の卵トマ。

ジェヴォーダンの獣事件は当然ながら当時のフランスのひとびとを恐怖に陥れた。見たこともない獣に女子供が何人も惨殺されては恐怖しかないだろう。
しかし、残念なことに都であるパリから遠く離れた田舎であり、国王他主要なひとびとの命に関わる問題ではないために、それらしき獣を捕獲した後は、事件は解決したとして幕引きを図ってしまう。
こういうところは現代でも変わらないのではないだろうか。
首都のような被害が国家の存亡に関わる場所での事件なら徹底的に解決するだろうが、地方で首都からは見えなく実害がないようなことについては無かったことにする。
地方は国の歪みが最も寄る場所だ。

「ジェヴォーダンの獣」というヴァン・サン・カッセルも出演した映画を観ており、その原作かと読んでみたのだが、事件と若い博物学者が事件を解決するという設定は同じだが、物語としては全く別物だった。
映画でヴァン・サン・カッセルの演じた役は本作では余り登場しない。

時代がルイ15世の頃で物語の中心人物トマはパリに暮らしているため、ルイ15世の寵姫となる未来のデュ・バリー夫人であるジャンヌも登場する。
事件自体には関わりはないが、トマの友人として魅力溢れるジャンヌという女性として描かれている。歴史ではマリー・アントワネットの敵役のような位置になりがちなデュ・バリー夫人も、きっと天国で悦んでいるだろう。

カトリック教会の司教がジェヴォーダンの獣事件の犠牲者について、彼らの不幸は彼らの罪から生じているといったことを教書で述べていることは、非常に残念なことだと感じた。
年端もいかない子供たちに、獣によって蹂躙されることも止むを得ない程の罪があるわけがない。被害者と被害者遺族の哀しみに背を向け泥をかけるような発言だと思う。

物語はゴシックミステリーとして大変面白く仕上がっており、登場人物も魅力のあるひとが多い。特に女性は強く、生きることに真摯でとても好感が持てる。
ジェヴォーダンの獣事件は不幸にも未解決の謎として終わってしまったが、本作はトマの恋も幸福な終わり方をしており読後感も良い一冊だった。

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2016年05月04日

Posted by ブクログ

ジェヴォーダンの獣って映画も作られたし有名。実際にフランスで起こった出来事。事実は犬と狼のミックスが「野獣」だったということに。今作はフィクション。17歳の若き生物学者の見習いが主人公。まだ自分の足で勉強してる時期。なぜ野生の動物が短期間に人を襲うのか?腹がへらない限り狩りはしないはず。。。この鋭利な斬れ方は刃物でしかありえない。。。謎に向かいます。当時は穏便にかたが付くように隠蔽されたようだが、本物の「野獣」は人間なのに、無垢な動物達が利用されて可哀想。結構読ませる、読みやすい本だった。

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2020年04月25日

Posted by ブクログ

18世紀フランスの「ジェヴォーダンの獣」事件で謎のままとなっている野獣の正体は何であったのか、博物学者を志すトマの目で事件を追う。ゴシックに傾くのかと思いきや、人間が人間ではなくなる闇を突きつけてくる。

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2016年01月25日

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