あらすじ
相模湾沖で発生したM7.9の巨大地震は、日本の首都機能を一瞬にして崩壊させた。内務大臣に就任した後藤新平は、未来を見据えた都市計画をもとに、帝都復興への壮大な構想を描いた。高額な復興資金、利権にこだわる各省庁の思惑、土地所有者からの反対。幾多の困難が立ちはだかるなか、後藤は高邁な理想に向かい突き進む。「真の政治家」の姿を問う著者渾身の傑作。
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Posted by ブクログ
本作は、なかなかの苦労人で不屈の男であり、啓蒙家、理想家、実務者、指導者としてなかなかに魅力溢れる後藤新平について、一定の距離を取って客観性を護ろうとしながらも、身近に擦り寄って観察している田山という“第3者目線”を主体に綴っている小説ということになる。面白かった!!
大きな災害が発生すると、「関東大震災からの復興の指揮を執ったという後藤新平」が何かと引き合いに出される…しかし…彼は自らが掲げた理想に向かって、思う存分に邁進出来たのだろうか?その辺りに踏み込んだのが本作の興味深さであろう…
Posted by ブクログ
2020/10/09 後藤新平◎ 江上剛
前半の歴史は面白い 関東大震災と政治の空白 日本の宿命か
後半、復興の権限を巡る暗闘史はいささか辟易 読み飛ばしてしまった
1923年9月1日12時関東大震災 死亡14万人 罹災者340万人
この時、日本に内閣は無かった 山本権兵衛が組閣を目指したが、ならず
翌日、「戦時内閣」として組閣 内務大臣に後藤新平 「帝都復興大臣」へ
都市計画は 台湾の台北市、中国の大連市で経験済み
政治の構想=都市計画 明治維新の賊軍-医師としての気概もあり
伊藤博文に見出される 帰還兵の検疫
しかし伊藤博文をロシアに送る途中、暗殺事件に巻き込まれる 痛恨
「戒厳令」は無法を広め、朝鮮人・社会主義者への弾圧を勧めた
東京は「江戸」のまま 渦巻き状の道路 家屋の密集 火事に弱い
予算が乏しい 40億円 国家予算は13億円 大蔵大臣 井上準之助 軍事予算は削れない
伊東巳代治元老院の暗躍 男の嫉妬 帝都復興審議会会長 高橋是清政友会党首もメンバー
ビスマルクは「金、金、金」 後藤新平は「人、人、人」
東京大改造の大きな構想 後藤新平は独裁者になった 上に然るべきトップが不可欠 摂政?