あらすじ
パニック仲間から執筆をすすめられ、作家になることを決心した繭子。ウエイター・和樹との恋物語を書き始め、症状もおさまるが、和樹に家庭があると知ってパニック障害が再発してしまう。どこにも居場所がなくなり、実家へ帰る繭子。そして地元で純情な男の同窓生が医者として成功しているのを知る……。果たして繭子の魂は救われるのだろうか。
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男性とは遊びでいい。誰かに束縛されるなんてダサい。主人公・繭子はそう考えていた。
しかしそんな彼女の身体に異変が起こる。突如として襲ってくる、死の予兆のような発作。けれど、身体には異常がない。
彼女は発作のことを相談した望に、少しずつ特別な感情を抱くようになる。唯一、自分を受け止めてくれるように思える彼といるときだけ、発作は起きなかった。
望と一緒にいれば発作は起きないと思い込んだ彼女は、自分が最も嫌っていた“結婚”を彼に迫る。
発作は、彼女が周囲に見せていた“強い自分”の仮面を崩し始めていた。混乱の中、繭子は医者にも恋人にも嘘をつき始め、もう止められない。そして、男に希望を求めてしまう。
読むにつれ彼女の錯乱と混乱が極まっていき、苦しくなる。読んでいて苦しくなるのは、この物語が決して他人事ではないからだ。どこかで私たちも、彼女と似た不安や矛盾を抱えて生きている。私たちの抱えた矛盾が、肥大化したものが繭子なのではないか。
彼女の望んだ行く末はタイトルにずっと提示されていた。
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