【感想・ネタバレ】夢声戦中日記のレビュー

徳川夢声

活動写真の弁士を皮切りに、子役時代の高峰秀子らと映画で共演するなど昭和を代表する芸能人であり、文筆家としても知られた著者が、真珠湾攻撃から東京大空襲にいたる約三年半の日々を克明に綴った記録。終戦までの四ヵ月を収録した既刊『夢声戦争日記 抄 敗戦の記』の姉妹篇。 〈解説〉濱田研吾

[ブクログ · ★★★★☆]

真珠湾攻撃を知った日本人のほとんどが大いに留飲を下げたといわれるが、本著でも日米開戦の報に触れた著者の喝采ぶりが滑稽なほど直截だ。当時の世相が伺われる貴重な資料であると同時に綺羅星のごとく登場する芸能人や文人の顔ぶれも興味深い。慰問先のシンガポールで観た「ファンタジア」と「風と共に去りぬ」に敵国の底力を感じる箇所が雄弁だ。