あらすじ
人生のほとんどを洞窟で過ごした男の物語。
加村一馬、昭和21年8月31日生まれ。群馬県大間々町(現:さくら市)出身。68才。
昭和35年、当時13才だった少年は「両親から逃げたくて」愛犬シロを連れて家出した。以来、彼はたったひとりで誰にも知られることなく、足尾鉱山の洞窟、富士の樹海などの山野で暮らし、イノシシやシカ、ヘビにネズミ、コウモリ、野ウサギなどを食らい命をつないできた。発見された時、少年は57才になっていた--
2004年5月に刊行され、大きな話題を呼んだ『洞窟オジさん 荒野の43年』(小社刊)。あれから11年、社会復帰を果たした「オジさん」は、群馬県の障害者支援施設に住み込みで働いていた(2015年9月発表作品)。彼はなぜそこで生きることになったのか。そして、「自分のため」ではなく「他人のため」に生きる喜びを知った「オジさん」は何を語るのか。
トラブル続きの集団生活、「天使のような」女性との出会い、ブルーベリー栽培への挑戦、初めての入院生活…。12万字を越える加筆された奇跡の文庫版を電子化!!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ちょうど他の洞窟関連の本に夢中になっていた時に、たまたま目にとまり読んだ本。
洞窟で半生を生きてきた人と聞いただけで、やはり生い立ちは普通ではないと予測はついたが、実際ひどい内容だった。親からの愛情に飢え、人間不信になってしまった加村さん。山へ逃げる気持ちもよく分かった。
富士の樹海のエピソードは、かなり強烈だった。
自殺のメッカだとは聞いていたが、実際そうなんだな。
愛犬シロが何度も命を救ってくれたシーンは感動して思わず涙が出た。これだけ心を通わせていた犬の最期は本当に心が締め付けられる程辛かっただろうと思う。
波乱万丈な半生ではあったが、加村さんのお人柄からだろうか、出会った人達から慕われ今は施設で幸せに暮らされているという事なので、安心して本を閉じる事が出来た。
こんな生き方の人もいるんだ、と本当に勉強になる本だった。巻末に獣の食べ方やサバイバル術が絵付きで載っており、シュールで面白かった。(実際自分もサバイバルせざるを得ない状況の時は役に立つ内容だと思う)
Posted by ブクログ
「激レアさん」を見てすごく読みたくなって購入しました。愛犬シロとの場面で、ピンク色の蘭の花畑で、人生で一番信頼して大好きだった相棒とお別れするシーンが1番泣けました。来世でもぜひ一緒になってほしいと心から思います。虐待とか孤独とか、想像を絶する苦労に耐えてきた強い方なのだと実感しました。
Posted by ブクログ
激レアさんで、洞窟オジさんを知り、早速読みました!
とても面白かったです。
加村さんの人が良いんだろうなぁ。
悪い人もいたのかもしれませんが、周りの人にも恵まれて、またその人たちにも様々な形で感謝を返してる姿が素晴らしかったです。
高齢になってもなお、夢を持ち続けている姿にも、見習わなくてはと思いました。
シロとのことを語る場面は、うるっときてしまいました。
今まで読んだ本の中で、一番好きです。
Posted by ブクログ
題名がソフトだからもっとポップな内容かと思っていたが、思っていたより全然壮絶だった。少年は、苛酷な環境から逃れるために、山の中へと逃げた。家族に虐げられる世界から逃れるために。それから生きる為に、壮絶なサバイバルの中、ずっと孤独を抱えて生きてきた。そして、ふとしたきっかけで、少年の頃の記憶からは想像もできない程に発達した人間社会に戻ってきた。
少年時代の家庭での孤独、山の中での孤独、全く様変わりした人間社会での孤独と、彼はいつも壮絶に孤独だった。それでも最後に、彼が辿り着いた場所とは?彼はどこにいることが幸せなのか?彼の本当の居場所は?
色々と考えさせられた。とても、面白かった。
Posted by ブクログ
兄弟の中で一人だけ疎まれ虐待を受けて育った理由はもちろん知る由もないが、もしかしたら、我が子ながら恐くなるほどの、他を駆逐してしまうほどの強烈な力を持っていたから、無意識に抑えつけずにはいられなかったのではないかと思った。
とにかくすごい生命力だ。この人が社会から見捨てられずところどころで世話を焼いてくれる友人ができたり支えようとする人々が出現するのは、犬のシロを思う情愛の濃さがあり実はコミュニケーション力が高いこと、サバイバルスキルが高く憧れを抱かせてくれること、建前がなくても人間どうとでも生きられるという安心感をくれるからなのかもしれない。
加村氏が途中で一度死のうと思ったことがあるというのが意外だった。この本の前に「ハイパーハードボイルドグルメリポート」で、極限下にあって生き延びること以外の正しさを持たないリベリアの青年の話を読んだばかりだが、そう考えると人を殺す凶器は孤独感だけなのかもしれないと改めて思った。