あらすじ
現場から、渾身の提言!
憲法第9条の下、専守防衛の軍として戦後、一発も実戦で撃たなかった自衛隊。集団的自衛権行使と国連PKOでの武器使用拡大路線で、自衛隊の役割はどう変わるのか。日米同盟と憲法のはざまで、悩みながら海外派兵の実務を仕切ってきた元防衛官僚が、発足以来60年の矛盾に向き合い、拙速な法改正に異を唱える。どんな大義のために殺し殺されるリスクを負わせるのか、国民の覚悟を問う一書。
[内容]
第一章 自衛隊を取り巻く矛盾
1 自衛隊と「国民」をつなぐ
2 変わりゆく時代のなかで
3 矛盾の限界
第二章 鼎談・前線からの問題提起
1 政治の論理と現場の乖離
2 好戦的に変わったPKOと、自衛隊員のリスク
3 憲法と集団的自衛権
4 誰が責任をとるのか
5 日本はどう貢献するのか
第三章 いまこそ自衛隊から平和を問い直す
1 国民の期待と自衛隊内の不満
2 リスクを理解しているか
3 日米同盟を考え直す
4 イラク派遣の成果
5 海外派遣の課題
6 政治と自衛隊、憲法の論点
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
法学会では「自衛隊は違憲」が主流なのであろうが、現実社会において国民の支持を得ている自衛隊の地位を憲法上明確にし、安定させなければならないとまず痛感した。
「国民が理解も支持もしていないことは自衛隊にはできない」、「派遣される『大義』は何か」、「一旦出た以上、易々と引き上げることは住民を見捨てることになる。引き際をどう考えるのか」
単に「国際貢献」「日米同盟強化」のためだけに日夜訓練に励みいざというときには生命をなげうつ宣誓をした自衛官たちを危険には晒せない。
Posted by ブクログ
武器の使用をせずに済んできたが、新しい法制で質的に違うリスクが自衛隊に課せられる。それでも武器使用は個人の責任。現場の現実に即した法整備が必要。
冨澤さん伊勢﨑さんとの鼎談。
日本政府は自衛隊を出さなきゃとの強迫観念を持っていて、自衛隊を出すことが自己目的化している。日米同盟は日本の持ち出しが多いくらい。
イラク戦争が示すように、シビリアンだからいつも正しいわけではない。政治家が軍事のリテラシーをいかに磨くか。軍事のプロが政治の暴走をいかに止めるかは一つの課題。