あらすじ
中国共産党総書記になって間もなく、習近平はこう発言した。「このままでは党も国も亡びる」――。本書は、この発言の後、習近平が取り組んだ改革について解説する。
中国では、官僚が私利私欲をむさぼり、それが経済格差を助長し、それに対して庶民の不満が爆発寸前に達している。習近平が「党も国も亡びる」と言ったのは、この不満の爆発を恐れてのものだった。
そして、この危機を脱するために習近平が行ったのが「虎も蠅も処罰する!」の宣告であり、それを実行にうつしたのが「贅沢禁止令」であり、「周永康事件」だった。
習近平の改革により中国では1日に500人もの官僚や役人(蠅)が処分され、中国共産党のトップの一人であった周永康も逮捕された。庶民はこれに快哉を叫んだが、それでもまだ、中国社会は浄化されていない。今では居眠りをする役人を見つけると、すぐに「腐敗だ」と通報するような監視社会になっている。また、将来に希望を持てない庶民が社会への「報復」として飛行機や長距離バスへの爆破予告が頻発するなど異常事態に陥っている。
こうしたなか、習近平はいかに改革を推し進めるべきなのか。転換期に差し掛かった中国に起きている現実、そして習近平の対応策を、現地取材をもとに描き出す。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
自国で推し進める反腐敗キャンペーンの裏に見え隠れする、習近平の考えを考察してる。
周永康、令計画、徐才厚3人の捕り物劇は、どうしても中国の内情に明るくないので内容や前後関係が難しかった。
官僚の腐敗にメスを入れると同時に、格差や国内環境問題などへの対処を平行して行っていくことの難しさがよく描かれていた。
中央集権的で一党独裁なので上が決めればすぐ変わる、反日は政権へのガス抜き、といった単純な構造ではないんだというのを知れた。
人民が党に対して自省を促す、統制を受けてるマスコミが出来る範囲の汚職を見つけることで使命感を燃やす、と言うのは考えたことのない見方だった。