あらすじ
つつましく暮らす若い女性が殺害された。犯人は目撃されていたが、巧妙に身元を隠し正体を掴ませない。鬱病とパニック障害に悩む刑事・倉沢は、傷ついた魂を抱えながら犯人へ迫っていく。ついに辿り着いた犯人の背後に浮かび上がったのは、戦後日本が未だ清算していない「現実」だった。社会に翻弄される名もなき人たちの悲劇を、哀感を込めて描く社会派ミステリー。
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Posted by ブクログ
久し振りに読んだ社会派ミステリー。
今は忘れつつある、中国残留孤児の苦悩と、現代の社会の闇が描かれています。
殺人の容疑者は残留孤児2世。戸籍を買って他人になりすまして暮らしている。
それを追う刑事二人。
容疑者を追っていくうちに次々と新しい事実が判明していって…。
最後まで気が抜けずに読めました。この作者の他の作品も読みたくなったわ。
Posted by ブクログ
単行本の広告では、「平成版『砂の器』」と紹介されていたのを記憶していた。
中国残留孤児二世の辛い生涯をベースに、愛するものと守るべきもののため、そして自らの成功のため罪を犯す男が描かれているが、多分に詰め込みすぎたきらいがある。
結局は、男の個性が薄められてしまって、憎悪にも同情にもはまらない中途半端な存在になってしまったのが残念。でも、この著者の書きっぷりは力強い。しばらく追ってみたくなる。