あらすじ
北関東のド真ん中、「ライブハウスもクラブもレコード屋もない」埼玉県・深谷市。この片田舎で結成されたヒップホップ・グループ“SHO‐GUNG(ショーグン)”は、自分たちの曲での初ライブを計画中。しかし、世界に言葉を届けるラッパーになりたいと思いながら仕事もせず実家暮らしの“イック”と彼の仲間たちは、周囲から完全に馬鹿にされていた。そんな時、東京でAV女優として活躍していた高校時代の同級生・千夏が地元に帰ってくる。仲間たちに生じる微妙なすれ違い。ほんとにライブはできるのか?ここから東京、そしてアメリカまでって、いったいどれだけ離れてるんだろう?全編に溢れるおかしさとせつなさで’09年度邦画界を席巻した伝説的インディーズ・ムービーに、劇中では描かれなかった背景やサイドストーリーを大幅に加え、監督自ら、魂の小説化。
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Posted by ブクログ
まったく新しい青春小説。
イトーヨーカドー、ガスト、ドリンクバー。舞台となっている埼玉の深谷市に行ったことはないけれど、その雰囲気は日本の地方都市ならどこも似たりよったりで、ありありと想像できる。
そんな中でラッパーの夢を追いかけるイタさ、やるせなさが行間にあふれたオモシロ悲しい傑作。泣ける。
Posted by ブクログ
評価の高いインディーズ映画の監督自身によるノベライズ。
映画本編は素晴らしい出来だったがSHO-GUNGのメンバー構成をはじめとする舞台背景の説明不足が目立ち、人によっては消化不良な映画かと思うが、本作を読めばその不満も解消される。
著者は本作が初の小説とは思えない程文体がなめらかで非常に読みやすく、映画で笑えるシーンも巧みな比喩表現で文としても笑わせているのがスゴイ。同じ映画監督が手掛けたノベライズと比べるのなら、僕の好きな新海誠監督よりも面白い文だと感じた。
内容も映画では語りきれていないSHO-GUNG結成の経緯や、高校の頃のイックとみひろ演じる千夏とのサイドストーリー、各キャラクターの人となりも事細かに描写していてこの小説だけで世界観が完成されている。単純な小説として楽しめるのだ。
カバーイラストは『デトロイトメタルシティ』の作者。彼もまた入江監督同様「ミュージシャンワナビーの愚かさ」と同時に「そこに宿る表現の尊さ」を描きそれをエンタメに消化した素晴らしい表現者の一人。
作り手の愛が伝わる素晴らしい一冊。
Posted by ブクログ
版元の営業さんから進められて読んでみた。田舎の閉塞感の中でグダグダしていた「イック」。ヒップホップに出会い、仲間が集まって、色んな事が回りだす。前半は「ただのオモシロ小説」かと思った、後半に入ると色々な事が起きて、含みのある感じに…。ラスト20ページは、うってかわってなんだかメッセージ性が極めて強くなる。 ”ブンガク”っぽいし。 ラストまで読むと、印象がかなり変わる。面白い。
Posted by ブクログ
中村とうようさんが読んだら迷うことなく-10点であろう、グズグズ感満載の青春小説。あ、今日街でモヒカン頭をグリーンに染めた男子が赤信号をひとり堂々と横断歩道を歩いてるのを見て、何だか胸がキュンとしました。どんなスタイルであれ、実家が農業であれおじさんはあなたたちを応援します。