あらすじ
わたしはアヤンナ。醜い娘。 「おまえのような娘を妻にする男はいないよ。年頃になったら、市場で夫を買ってこなきゃなるまいね」 亡き祖母はわたしに向かってよくこういったものだ。 だからいまでもわたしは市場が大嫌い。家畜を買うように夫を買わなければ、だれも愛してくれないほど醜いといわれたことを思い出すから。けれど、魔女のわたしが見つけた美しいひとは、奴隷市場で出会った“彼”だった――神の呪い子として忌み嫌われて、誇り高くも孤独に生きる醜い魔女の娘と、美しい奴隷の王子。瓦解する帝国の辺境で二人は数多(あまた)の物語を紡ぐ。
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Posted by ブクログ
醜い傷があるから疎まれる魔女と、奴隷市場から助け出した男の子との恋愛話。全体的に悲壮感漂いますが、お互いが静かに暮らして小さな幸せに喜ぶのがまたいじらしいです。
主人公が周囲の反応に憤りを覚えつつも、その分だけ優しさを忘れないピュアさで、それが余計に悲しさに拍車をかけますね。。それがまた面白いのですが。
Posted by ブクログ
泣いた。なんて美しい物語なんだろう。おとぎ話ではなく、酷い描写も多いのにそれでもお互いを思いやるふたりに涙がこぼれた。めでたし、めでたし、で終わるハッピーエンドではないけれどアヤンナの美しい鳥は最後にきっと幸せを感じていたはずだから。
Posted by ブクログ
とある国が中南米の国々を制圧しつつあった頃、ワカの国も武力で侵略されつつあった。
そのワカの国で「雷神イリャパの忌み子」と呼ばれ蔑まれて生きてきた、顔に醜い火傷の跡を持つ少女アヤンナと、奴隷市場で売られていた金髪碧眼の、美しいが足悪く身体も弱いリリエンの二人の物語。
美しく哀しい御伽噺。しかしなにもかにもが御都合主義で運ぶ現在日本で多く流通しているような甘ったるい御伽噺ではなく、現実の痛みと憎しみと醜悪さもきちんと描かれている。
Posted by ブクログ
インカ帝国風ファンタジー。
顔に火傷のある魔女と、奴隷として売られた美しい男(王子)の話。
全体的に物悲しい雰囲気が漂うが、二人が寄り添う感じはよい。
Posted by ブクログ
美しく悲しい物語だった。インカ帝国のような世界観で、そこに暮らす人々の情景も目に浮かぶ。美しい王子と呪われた魔女。虐げられた二人がであったことで、彼らは互いにやっと羽を休める場所を見つけることができたのだろう。呪術の生きた世界はファンタジーそのものだけれど、人間の醜さや美しさは、すごく現実的だった。
Posted by ブクログ
金で夫を買わなければ、誰も愛してくれないほど醜いといわれた神の呪い子・アヤンナ。けれど、アヤンナが見つけた美しいひとは、奴隷市場で出会った“彼”だった。二人は物語を紡ぎながら細々と生活をし始める。
美しくもない、都合よくもない世界のファンタジー。
高地でのアヤンナの生活は素朴で過酷ですが、その中でのはっとするような風景と、リリエンの存在が彼女の中で増していく過程がなんともよかったです。
毎夜物語を紡ぐというのも素敵で、童話みたいでした。
終わり方は切なかったですが、物語の雰囲気を壊さず、最後まで透明感のある物語でした。
Posted by ブクログ
人に疎まれている魔女の女の子。女の子が助けた奴隷の男の人。美しいのだけれど、最初から最後までなんだか悲しい空気が流れている。
2015/8/19