あらすじ
タレントを集めてバカ騒ぎ、「答えはCMの後で」の連発、どっちを向いても「韓流」……。このワンパターンは本当に視聴者の要望か? 薄っぺらな「笑い」や「感動」の押し売りは、もうウンザリ! 本書では、元NHKチーフプロデューサーが、テレビが抱える病理に鋭く斬り込む。たしかに、お笑い番組も報道番組も盛況である。ハイビジョンもきれいだ。それでも視聴者の不満と不信が高まっているのはなぜか。なりふり構わず視聴率を追いかける制作者、制度に護られた既得権益への依存、公共性への認識不足などがその背景にある。この国の文化をファースト・フード化させたのは誰か。今こそテレビ文化に対する「慣れと諦め」を超えるべきではないのか。著者はその具体策として、番組審議会の透明化や市民によるメディア・リテラシー活動を紹介する。インターネットが浸透する昨今、果たしてテレビの復権はあるのか。メディアの使命を真摯に捉え直した好著である。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
この年はTVに関しては象徴的な年になったように思います。NHKの不祥事。NHKへの政治圧力問題と朝日新聞との対決。NHKによるラグビー試合中継のどたばた。巨人のTV放映低視聴率と放送延長中止問題。ホリエモンとフジTVの対決。そして今度は楽天とTBSの対決?総選挙における「小泉劇場」の政治影響。この中でTVが文化として成熟しているばかりか、危機に立っていることをNHK元プロデューサーが力説しているのです。「公共性のあるTV」をホリエモンに任せるわけにはいかないといいながら、皮肉なことにどれだけ番組の質が低下しているのか!公共性とは何かを考えさせてくれます。そしてTVの休日。休テレビ・デーのアイディアで締めくくっています。確かに面白い実験だと思いますが、筆者もそれが実現するはずのないことを知っていることは読んでいく中で明らかです。このようなTVが廃れる日が果たしてあるのか? もしかすると三木谷氏はそのあたりも視野に入れているのであれば凄いです。確かにTVの質が劣れば、TV離れにより、ネットへの屈服、映画への回帰も十分に起こりうることを読みながら感じました。