【感想・ネタバレ】賭けるゆえに我あり(森巣博 ギャンブル叢書2)のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年06月17日

カジノの中での修羅場が繰り返されている。その中を泳いでいる著者のものだけに、刺激的である。
大口の賭金を張る賭人たちのことを、カジノの世界では、「ハイローラー」と呼ぶ、さらに大口の賭人は「鯨」と呼ばれる。世界で、クジラと言われるのは、300頭がいる。昔は、アラブ系であったが、いまは中国系が多い。日本...続きを読む人は、柏木昭男、もう一人は消費者金融のT、その二人は、鬼籍に入っている。そして少し小さいクジラ 井川意高ぐらいなものだと言われる。

①カジノ賭博の基本原則 その1
「勝てば幸運、負ければ実力」「勝てば極楽、負ければ地獄」

カジノで行われるゲーム賭博は、確率計算から導かれた「ハウスアドヴァンテージ」が必ず組み込まれて成立している。「必勝法は存在しないのだが、必敗法は存在する」こうすれば、確実に負けるということを、どう徹底的に避けるのか。
「不可測の未来」「不可測を予測して、賭する」
賭博は、暴力を介在させない。合意の略奪闘争である。
賭博は、科学で説明できない。科学は信じないが、非科学はもっと信じない。
賭博は、科学ではない。理不尽で、不条理なものである。
賭博は、自己責任。負ける奴が悪い。

②カジノ賭博の基本原則 その2
「勝ち逃げだけが、賭博の極意」

「波が押し寄せてきたのが見えたら、逡巡を振り切り、恐怖を忘れ去って、それに身をまかせる。大波もある、小波もある。波にうまく身を委ね、水面上に顔が出た時にうちとめる。席を立つ。これが勝ち逃げだ。波や潮目を正しく見切る。」経験により形を記憶する。
同じような文章がある。
「賭博は流れである。波だ。小波もあれば、大波もある。ベタ凪の時だってある。流れを読む。塩を見極める。そして潮目を見切る。あとは小波に身をまかせる。(それが勘である)虚勢を張らない。無理をしない」

③カジノ賭博の基本原則 その3
勝負の機微は、駒(賭金)の上げ下げ。

「打たれ、打たれ続けて、打たれ越す」
行き越をする。受身ができるか?

④カジノ賭博の基本原則 その4
勝ち気には、大きく張り、負け手には小さく張る。
「確率の劣位」を「確率の優位」に変える。

⑤カジノ賭博の基本原則 その5
勝ち逃げは難しいが、負け逃げはもっと難しい。
「人間は、必ず間違える」

「今晩の1000万円より、いま握っている100万円の方が大切である」

負けるという言葉は、「ガシル、沈む、腐る、走る、クスボル、転がる、すべる、死ぬ」と多いが、勝つ言葉は、「浮く、ウカル」とわずかだ。負けても立ち向かうのは、負け勝負が続くだけ。
「ズブズブにはまっていく自分に愉悦を覚える。堕ちていく自分に快感を感じる。落ち続けながら見る地獄の道程ってやつは、結構楽しい。」NO GUTS、NO GLORY
熱くなければ、大勝できない。(ホットロール状態)
また、同時に 熱くなりすぎれば、勝負に負ける。

賭場では、目に血がはいるという。賭場の肥やしになるしかない。
「弱い打ち手は喰われる。その屍肉をくらい、強い打ち手は生き残る」
器量は、負けた時にこそ示されるのである。

一度 到達した高みから、自分の現在の位置を見下ろす。
それは、勝つという満足感から ほど遠くなるだけなのだ。

今まで負け続けたので、これから、勝つかもしれないと思うのが誤り。
今の勝利は雀の涙、焼け石に水だ。それゆえに、コツコツと小さな勝ちを積み上げられない。
勝ち分をすべて叩き込んで、大きな勝負をかけ、大きな勝利をもぎ取ろうとする。
一発逆転なんかないのだ。

⑤カジノ賭博の基本原則 その6
「運、勘、見」
「賭博は、矛盾でできている。矛盾の大海を泳ぎ切れる知力、体力、財力、運のすべてを携えたもののみが生き残れる」

賭博は、緊張、集中、高揚、分裂、放出、収縮、解放、弛緩、放心のすべてを味わえる。
だから、やめられない。
実に、賭博の行動心理と基本原則をきちんと説明していて、好感がもてる。

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