【感想・ネタバレ】中国との付き合い方はベトナムに学べのレビュー

あらすじ

久米宏氏絶賛!

ベトナムという国は大国相手にひるまず、外交戦略に長けていて、ベトナム戦争でも国際社会を味方につけて終結に導いたことで知られる。中越戦争でも中国の侵略軍を撃退。最近でも中国によるパラセル諸島近海での侵奪についても、国際世論をうまく導いている。

ベトナムとの交渉ごとは、外交にしてもビジネスにしても、中国よりもずっと複雑だ。ひとことでいえば、相手から妥協案を勝ち得るためには粘り強く二枚腰で、となる。

このベトナムの粘り腰には、地政学的に見れば北から南まで何千キロもある半島国家ゆえに、北からも南からも攻められやすい運命にあった背景がある。
攻められれば攻められるほど柔構造の守りを得意とするようになった。外交的には敵の弱みと脅威を読み切って、うまくかわすような術も身につけたと考えられている。

そのようなベトナムに、日本も学ぶことは多い。「ベトナム的発想」を持ち込めば、日本も個人レベルからビジネス商談レベル、外交レベルで「お人好し」などと呼ばれることが少なくなるかもしれない。さらには中国とのつきあいを考えるうえで非常に示唆に富むのは間違いない。

「山師」「レアメタル王」として著者は中国やベトナムなどアジア各地で交渉事を行い、ときには失敗をしながらもタフな交渉術を見つけると同時に、交渉という局面における日本人に足りないことを日々痛感。

日本人に必要なのは、多様性のある見方や考え方を受け入れ、「蛸壺状態」にならないようにすることだ。異質を排除せず、安易な妥協文化とは決別する。それが中国人、ベトナム人云々よりも、日本人が、交渉に強くなる第一歩ではないか。
国際社会でサバイバルすることを肝に銘じて、中国人に負けないように、したたかに日本人魂を発揮していくべきである。

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Posted by ブクログ

ベトナムについて知りたくて読書。

ベトナムについて知りたかったが、著者はベトナムより中国との関わりのほうが深く中国を中心に展開する。

日本は、稽古していた合氣道の根本の1つであった孫子の兵法「戦わずして勝つ」を交渉や外交で実践していくためにも、もっとベトナムのしたたかな交渉術をから学べるのではにかと主張している。

日本にとってベトナムはネクストチャイナの側面よりも中国へ対抗するために組む異質なパートナーに近いようだ。

個人的にはベトナム人の人的資源の低さが気になる。本書では、識字率が高く勤勉だと紹介するにとどまっている。

日本人は人がいい点、長期的な視野に立てない点、性善説に立ちがちな点が欠点だという。

京都出身の著者だからこそ書けるのが、「京都中華思想」。この発想、考えは面白い。確かに頷くことができる。

現実的に中国で長く生活できる、適応力が高い日本人は、圧倒的に関西人だった。京都人へ関西人と聞くと激しく怒るので、京都人はさらに別格に中国とのシンクロ率が高いのかもしれない。

今後は、訪日ベトナム人、ベトナムビジネスは増えていくだろうが、その時に賢く利用し、協同して、中国とのバランスが取れるようにする戦略を描く必要がありそうだ。

おそらく、数年後には日本におけるベトナム人の犯罪の多さが社会問題になっていると思われる。今から先を見越して対策を考えておく必要がるのでは。

読書時間:約1時間

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2016年07月24日

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