あらすじ
神様に守られた場所にある、
アトリエ「ぱらいそ」で絵画を学ぶ少女たち。戦況が悪化していく中で、厳しい現実に絡め取られないように、それぞれの天国を探し求める。『cocoon』『アノネ、』に続く、少女×戦争×ファンタジーシリーズ三部作完結編。
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Posted by ブクログ
今日マチ子さんの『ぱらいそ』、読みました。
私が罪を犯すように、世界のひとたちも罪を犯す。そして、世界が罪を抱えていることのように、私は贖罪を抱えるしかないのかな、と思いました。だから、世界も天国も灰色なのかもしれないけど、私たちは濁った身体かもしれないけど、人々に色を重ねて黒に塗りつぶしてしまうことに抗って、人と人との間に白い光を見つけないといけないと思いました。
そして、神様に守られた場所である教会の上に落とされた原爆が最初「白い光」だったことが...そしてそれは人を限りのない黒に塗りつぶして、世界も人も白と黒の混ざった灰色にしてしまう...なんとも言えない気持ちになりました。きっと、それはユーカリが盗んだ「白」と同じように、白い光を見つけることはただ白く塗りつぶすことではないという事なのかなと思いました。「罪をもつこと、それが強さ」というあとがきがそれを強く感じさせました。
Posted by ブクログ
白と黒のコントラストの凄まじさ。
たぶんずっと戦時下の長崎という舞台で描くこともできたはずなのに、原爆投下を境に、あえて「現在と地続き」として描く。
リアリティラインを少しずらすというよりは「浮かせる」。
ここがこの作者の批評性の高さでもあり弱点でもあり、つまりは作家性。
数年おいて読み直して、きっとはじめて落ち着いて評価できるようになるのだろう。