あらすじ
三国志の英雄、曹操孟徳。彼が生きた乱世は、現代の先の見えない時代に似ている。当時の戦争を、現代のビジネスに当てはめれば、先の見えなさという意味ではそっくりである。しかも、三国志の時代は、現代日本と同じく極端な人口減少と二極化の時代だった。曹操は、家柄が悪く、特に背の高さが求められた時代にあって背も低かった。手のつけられない悪童として知られ、チーマーのように振る舞った。親友に裏切られ、死にかけた。失敗も数知れず……。それでも、中国統一の基盤となる「魏」という国をつくることができたのはなぜか。また曹操は軍人、政治家としてだけでなく、詩人、書道家、音楽家、建築家、博物学者、調理法発明者、囲碁の名人、戦略家(『孫子』に注釈を添えて現代にまで残した)としても後世に大きな影響を与えたが、一人の人物がこれほど多岐にわたって活躍できたのはなぜか。曹操の生き方の中に、乱世となるであろう、これからの時代を生き抜くヒントを探る。『はじめての課長の教科書』などで知られる著者が、長年あたためてきたテーマに挑んだ、渾身の1冊。
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Posted by ブクログ
著者の曹操愛が余すことなく詰まった本書。
人口減少・貧困拡大が加速度的に進む今の日本を、後漢末期以降に準え、時代を制した英雄・曹操から学ぼうというのが基本スタンス。
そもそも、蜀義兄弟や諸葛亮孔明などと比べると得てして悪魔的なイメージで語られやすい曹操だけれども、それが脚色されたイメージである(一部悪魔みたいな顔もあるんだけどそれだけでは決してない)ことを証明しつつ、真の曹操像…軍略家、政治家、経営者、文筆家、芸術家など、マルチに一流として活躍した天才…を紹介している。
一部伝えられている残虐非道なエピソードに関しても、曹操ならそうすることのデメリットまでわかった上でやってそう。
それくらいの器量と大局的視野を持ち合わせた逸材であることがよくわかる。
乱世という意味で現代も同じだと捉えたとき、いわゆる経済的エリート(袁紹)以上に時代が求めるのは、天下の行く末を真剣に論じ、発信し、型にはまるのではなく破っていくことの出来る人材(曹操)なんだろうね。