【感想・ネタバレ】新版 空海と密教 「情報」と「癒し」の扉をひらくのレビュー

あらすじ

巷に「お大師さん」として愛されている弘法大師・空海は平安初期の大思想家であり、日本文化に深く溶け込むその存在は密教の奥義を究め、聖なるエネルギーを広く行き渡らせるものであった。本書では、その思想と行動における二極を「情報」と「癒し」の二つの視点から取り上げている。「情報」とは、七から八世紀のアジアは国際化の時代であり、その代表的国際人、文化人として空海が東寺を中心に発信し続けたことを意味する。「癒し」とは、高野山での修禅、入定に関する空海の考えや、仏教の智恵、単に治すとか治療するだけではなく、より前向きに積極的に生きる「仏の救い」である。山林修行し、命がけの入唐、恵果阿闍梨との師弟関係、ライバル・最澄との交流と決別……。数々の伝記資料を用いながら、聖と俗の両界を自由に往来した空海の実像に迫りつつ、単なる「知識」ではなく、身体で覚える「智恵」とは何か――空海の思想と行動を通して、現代人に「さとり」の意味を問いかける。高野山・開創千二百年を迎え、人間空海の実像に迫った本格的評伝。

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Posted by ブクログ

「情報」と「癒し」の扉をひらく~空海の思想と行動の中に,積極的に活動して次々と種々の情報を発信し,相手に影響を与えていく時期と,逆に外界との接触よりも,むしろ大自然・大宇宙の懐に帰っていく時期の二極・二軸があったことを勘案すれば,(中略)高野山が即身成仏と癒しの寺,東寺が密厳国土と情報発信の寺と対比することも決して無理ではないだろう。<巻末年表より>1(774)讃岐国に父佐伯氏・母阿刀氏に生まれる。15(788)外舅阿刀大足に論語・孝経を学ぶ。18(791)大学明経科に入学するが,一沙門から「虚空蔵菩薩求聞持法」を受け,阿波・土佐で修行す。24(797)「三教指帰」を著す。31(804)4月出家得度,空海を名乗る。東大寺戒壇院にて受戒。5月遣唐大使藤原葛野麻呂と同船し入唐の途につく。7月肥前田浦を発し,8月福州に至る。12月長安。32(805)2月般若・牟尼室利のインド僧に梵語梵字を学ぶ。6月青龍寺・恵果和尚について三昧耶戒・胎蔵の灌頂を受ける。7月金剛戒の灌頂。8月伝法阿闍梨の灌頂。12月恵果和尚入寂。33(806)高階遠成と明州を発し,帰国。34(807)太宰府に留め置かれて2年を過ごす。36(809)和泉より平安京に入住。38(811)山城国乙訓寺の別当に補せられる。39(812)高尾山寺で金剛戒結縁灌頂を開壇。42(815)勧縁疏を著す。43(816)修禅の道場建立のため上表して高野山の下賜を請い,勅許を得る。45(818)高野山で禅院を経営。48(821)讃岐・万濃池修築別当に補せられる。49(822)東大寺に真言院を建立。50(923)東寺を給預競られ,曼荼羅等を収蔵。51(824)造東寺別当に補せられる。55(828)摂津大輪田造船所別当に補せられる。綜芸種智院を創立。62(835)3月21日高野山において入定。921(没後86年)弘法大師の諡号を賜う~十住心:1異生羝羊心(本能・食欲と性欲)2愚童持斎心(倫理・儒教)3嬰童無畏心(他宗教・道教・ヒンドゥー教)4唯蘊無我心(声聞乗)6抜業因種心(縁覚乗)6他縁大乗心(法相宗)7覚心不生心(三論宗)8一道無為心(天台宗)9極無自性心(華厳宗)10秘密荘厳心(真言宗)

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2015年12月12日

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