あらすじ
その農場に旅の男が迷い込んだのは偶然だった。獣を取る罠が足に食い込んで重症を負う中、優しい謎めいた未亡人が彼を看護する。だが、農場には小悪魔的な誘いをかけるその妹、そして常に銃を持ち歩く凶暴な姉妹の父親がいた。一家には何か秘密があるらしく、世間からは後ろ指をさされており……超絶不穏なサスペンス。
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Posted by ブクログ
法人類学者デイヴィッド・ハンターと同じ作者だったので。
秘密を抱えて逃げてきた男と、
秘密を抱えて逃げることのできない女。
読んだことはないはずなのに、
映画化もされていないのに、
こんな映画を見たことがあるような気がした。
いや、映画ではなく、アメリカのドラマ、
異常心理の犯罪を追うFBI行動分析班「クリミナル・マインド」で
似たような話を見たのかもしれない。
パリで英語教師をしていたイギリス陣の男性は、田舎に逃げてきて足に怪我をしたため、
とある農場に留まることになってしまった。
助けてくれた女性は、息子、父、妹とともに暮らしているが、
町の人々とは付き合いをしていないらしい。
女性の夫がいないが、どこへ行ってしまったのか。
法人類学者デイヴィッド・ハンターとは
同じ作者だとは思えないぐらい、
雰囲気のちがう、心理サスペンスといった作品。
自ら選んでは読まないタイプのミステリーだったが、
一応、面白かった。
Posted by ブクログ
評価もジャンル分けすらも難しい。確かにハヤカワミステリという括りで出版されてはいるが…。
そもそも怪我を負った主人公が農場から出れない、という掴みがある意味違う。いつでも出れるし、街に買い物に行ったりする。出れないのではなく出ない、でありこの農場で暮らすことによって曲がりなりにも”家族”を体感するひと夏の出来事が、この家族に隠された忌まわしい過去によってついに崩壊するまでを描く。
そのため、ストーリーにはさほど起伏は無いので、そういう意味でサスペンスを期待すると大外れとなる。しかし、緻密な人物描写と濃厚な背景描写で読んでいて主人公の心情に共感できるので全く退屈しない。
同時進行で主人公の逃亡?に至る過去もリアルに描かれるのもうまい構成。
エピローグにも余韻が残る。
この作家の他のシリーズも読んでみよう。