あらすじ
大学院生の隆一郎と、見た目は少女だが猫又のお双。奇妙で平穏な生活を送るふたりの元に、誘拐予告事件の相談が舞い込む。予告現場に出向くふたりだったが、標的となった令嬢は忽然と姿を消してしまい!?
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Posted by ブクログ
いつの間にか懐いた野良猫が猫又だったというので、ファンタジーぽい話が始まると思ったら、洋館を巡る本格的なミステリーになってしまう。あれれという感じ。うーん、猫又が出てくる意味があまりないよねえ。トリックもちょっと古臭いかな。
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★すべて見越していたのでないかしら。(p.283)
【感想】
・猫又が人語を解し話せる猫の姿ままの方が楽しかったような気がします。二本足で歩く姿がキュートらしいし。で、猫として懐いたり嫉妬したりとか。
・短編集だとばかり思っていましたが長編でした。
・ちょっと江戸川乱歩っぽい表現があったり。シンプルさと大仰さと他愛のなさ。
・謎は提示された瞬間に解けるでしょうからミステリでなく猫又を愛でる気持ちと、ちょっとレトロな探偵小説を楽しもうとするしかないんではなかろうかと思ったりします。
【内容】
・元子爵の長命寺是清さんの娘、麗しの桜さんが「魔術師」なる怪人物に横恋慕され狙われています。大家さんの頼みで誘拐を防ぐための用心棒として長命寺家に赴いた隆一郎とお双。
【一行目】「リューイチロー、ねえ、リューイチロー」
▼猫又についての簡単なメモ
【梅】長命寺是清の次女。肉付きのいい女。厚化粧だが十代後半と思われる。結婚相手を探してる感じ。
【お双/おそう】猫又。元は鯖虎猫。尻尾は二本。百歳を越えている。人語を解し、二本足で歩け、鳥獣虫魚と話ができる(魚はまだわからないけど)。二本足で歩く姿はとてもキュートだが人間に変身もできるのであまり見せてくれないかもしれない。
【時代背景】戦後すぐくらいと思われる。
【大福義満/おおふく・よしみつ】あくどい実業家。長命寺家の乗っ取りを考えている。
【大福誠/おおふく・まこと】義満の息子。桜の婚約者。顔はいいらしい。
【大家さん】→千牧近衛
【柏良平/かしわ・りょうへい】長命寺家の書生。武骨な南方系の顔立ち。二十四歳。
【葛切隆一郎/くずきり・りゅういちろう】→隆一郎
【桜】長命寺是清の長女。深窓の令嬢。
【竹蔵】長命寺是清の長男。二十歳そこそこに思われる。女好きな感じ。
【千牧近衛/ちまき・このえ】隆一郎が暮らす長屋の大家さん。お茶目な好好爺。もともとはこの辺の大地主だったようだがあれこれ騙されたりして今は玩具屋である自宅と長屋だけを持つ。手品が得意。今は隆一郎しかいないが店子を家に招き夕食会を開くのが好き。
【長命寺是清/ちょうめいじ・これきよ】大家さんの知人。元子爵さま。
【月平長安/つきひら・ながやす】警視庁刑事課警部補。台形の顔。
【萩かの子】長命寺家の使用人。
【隆一郎】葛切隆一郎(くずきり・りゅういちろう)。帝都大の学生。湯川秀樹に憧れ物理学者を目指している。核物理学で主に中間子(メソトロン)の研究をしている。実家は仙台の商家で両親は家を継いでもらいたがっている。
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「魔術師」を名乗る怪人から、名家へ令嬢を誘拐すると時刻まで指定した予告状が届く。しかも予告状は閉ざされた室内にどこからともなく現れて――という如何にも乱歩テイストなお話で、ほとんどのミステリ好きなら、乱歩だったら事の真相はこうと考えてしまうはずで、その通りというのはやっぱり困る。ただ密室から令嬢が消え失せるトリックは目新しくはなく、見え見えながら、乱歩は苦手そうな緻密なもので面白かった。あとヒロインが猫又という設定がまるでいかされていないが、彼女の猫っぽい仕草が可愛いので、これはもうこれ良いんだと思う。
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ミステリーとしては浅いが、ちょっとした空き時間にサクッと読めるライトミステリー。
周期律さんの作品は好きな作品が多いため、この評価だが別の作者だともう少し評価は低いかもしれない。
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ヒロインが化け猫なんだけど、効果的かというとどうだろう?(^^;
ワトソン役が無知であることの理由付けとしては有りだった気もしますが。
推理小説としては、ちょっとありがちなトリックなので、推理小説を読み慣れている人にとっては物足りないかもしれませんね。
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帝都大学の大学院生隆一郎と、その家に居着いた猫又の少女。
大家から頼まれた二人は、令嬢の誘拐予告があった名家に誘拐阻止のために赴くのだが…
キャラが立っていてたいへんに読みやすいライトミステリ。
しかし事件の内容や真相はわりとありがちで、他の動物と意思疎通できるからという理由で情報収集が楽な他は、猫又の存在意義がいまいち薄いかも。
Posted by ブクログ
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<あらすじ>
古長屋に住む大学院生の隆一郎。
彼は懐いた野良猫の尻尾がふたつに分かれているのを見てしまう。
驚く間もなく猫は喋り、少女へと姿を変えた。
猫は妖怪・猫又だったのだ。
それから猫又は隆一郎の部屋で共に生活することになり、
隆一郎は『お双』と名付けた。
そんなふたりの元に、ある名家の令嬢に誘拐予告が届いたので助けてくれと相談を持ちかけられた。
2人はその屋敷に出向く。
誘拐すると予告状を送ってきたのは魔術師と名乗る者で、
予告状が届くまで数々の不可思議なことを名家の家族たちに遠隔で披露していたという。
そして誘拐予告の日時となったその時、停電が発生!
家族や隆一郎が見守る中、密室にいた令嬢は忽然と姿を消してしまう。
魔術師はどうやって密室から令嬢を誘拐したのか?
<オチ>
お双は妖怪の能力で耳が良く、動物とも会話が出来るので、その能力で犯人の言動の矛盾点を隆一郎に話し、隆一郎が密室トリックを見破る。
真相は、家族の中の男性と令嬢の2人の共犯で、愛し合った2人が家から出たいがために仕掛けた自作自演だった。
Posted by ブクログ
大学院生の隆一郎と、この世に長く生き、猫又となったお双のコンビが、令嬢誘拐事件に挑むライトミステリ。
ちょうどこの本を購入、読んでいる時に猫(♀)を飼い始めたので、感情移入して読んでしまった。無論、我が家の猫は猫又ではないけれど(笑)
事件自体のカラクリは非常にシンプルというか、あってないようなもので勘のいい読者ならば、途中で犯人がわかってしまうかもしれない。
その分、人物描写が丁寧に書かれており、そちらで読ませる作品と言えよう。帯にはシリーズと銘打ってあったので、続編があるならばまた、読んでみたいとおもう。
Posted by ブクログ
妖怪+推理モノ。最近の本屋の書棚は推理モノばかりと言っても過言ではない。
建築物を中心に置いた推理小説、殺人シリーズの周木律の新作は猫又娘と苦学生のコンビだ。
学問のために実家から飛び出し長屋に暮らす隆一郎はある日、長屋の軒先を歩く野良猫に餌をやった。
そのうちに、その野良猫は隆一郎の部屋に何度も顔を見せるようになった。
そして気づく。この猫の尾は二つに割れている。
野良猫は人の言葉を話し、人間にも化けた。名前が無く、龍一郎はお双と名付けた。
ある日、大家から協力してほしいと頼まれた。さる華族に怪文書が続いて届くようになったと。
魔術師を名乗る回文書には、娘を連れ去ってみせると書かれていた。
立派な屋敷に招かれる隆一郎とお双、一人と一匹は短時間の間に密室から人が消える謎に遭遇する。
と、いうわけであらすじ書いてたら非常にオーソドックス。
そして、犯人は確定的にこの人だろうと途中で分かってしまえば簡単トリック。
あ~んまり面白くなかったなぁ。シリーズ化してもこれは買わなさそう。