あらすじ
郷田亮二は駆け出しの刑事。小学生の頃に同級生・佐智絵が殺され、その事件が時効を迎えたのをきっかけに、刑事の道を歩む決意をした。しかし二十年の時を経て、死んだはずの佐智絵が亮二の前に現れて……。
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Posted by ブクログ
印象に残る度 ★☆☆☆☆
読み易さ度 ★★★★☆
都合の良さ度 ★★★★★
上司に勧められて読み始めた。可もなく不可もなく、それなりに楽しんで読める作品だった。
小学四年生の葛城佐智絵は、ある日誘拐され絞殺死体で見つかった。佐智絵に恋心を抱いていたクラスメイト郷田亮二と、クラス担任だった藤崎敏子は、佐智絵を救えなかった後悔を抱えて生きている。そこに、「葛城サチ」を名乗る女性が現れる。
物語は、10歳を祝う「二分の一成人式」と、その際に書いた「二十歳の自分に向けた手紙」を介して語られる。
* * *
総じて、都合の良い展開だったように思う。あるいは、現実感の乏しい展開というか…。
亮二は亡き兄と両親のために「渋々」医者になったが、すぐにインターポールに転職する。日本での研修の最初に手がけた強盗事件の被害者である人物が、「事件当時のクラスメイト」だった。再開した「葛城サチ」も亮二のことを好く思っている。時効を迎えたものの、佐智絵誘拐殺人の真犯人を捜そうとする亮二と、なぜか協力的な先輩刑事。自分を責め続け、挙げくに養子を迎えようとする敏子…等々。
ただし、都合は良いながらも、人物の心理描写(特に担任の藤崎敏子)は緻密で好感が持てる。サチの元に届いた佐智絵からの手紙が、物語の鍵になるのも良い。
それぞれのシーンは良いのに、良いシーンばかりを集めすぎて、展開が御都合主義になってしまったような気がする。
ドラマ版の小説は、結末が異なるらしく(しかもそちらの方が面白いらしく)。機会があれば手にとってみたい。