【感想・ネタバレ】悪魔の羽根のレビュー

あらすじ

再読必至。誰にも真相は見抜けない!2002年、シエラレオネで5人の女性が殺害された。現地の元少年兵3人が起訴されるが、ロイター通信社の記者コニーだけはイギリス人のマッケンジーを疑っていた。2年後、バグダッドでマッケンジーに遭遇したコニーは、嗜虐趣味を持つ彼に拉致監禁されてしまう。3日後に解放されイギリスに戻った彼女は、マスコミを逃れて田舎町に隠れ住む。解放時にほぼ無傷だったうえに、あいまいな証言ばかりで監禁中の出来事を警察に話さないコニー。彼女はいったい何を隠しているのか? 圧巻の心理描写と謎解きの妙味を堪能できる英国ミステリの女王による渾身のサスペンス。/解説=松浦正人※紙書籍版とはカバー画像が異なります。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

やっぱりミネット・ウォルターズは面白い。どんなシチュエーションであっても、結局グイグイひきこまれる。そしてひとつだけではないんですよね。謎解きが。
さらに女として、頑張らなくちゃという気持ちにさせられる。
「幸せの秘訣は自由である…自由の秘訣は勇気である」
どこまでで似るかわからないけど、私はすごく勇気づけられた作品でした。

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2018年06月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2002年、シエラレオネで5人の女性が殺害され犯人も逮捕されたが、ロイター通信社の記者コニーはイギリス人のマッケンジーを疑っていた。
マッケンジーは女性に対して非常に暴力的な男だった。
コニーはシエラレオネを立ち去るが、去り際、マッケンジーに脅迫めいた言葉を告げられる。
そして2年後、バグダッドでマッケンジーと出会ったコニーは拉致監禁されてしまう。
3日後、一見無傷で解放されたコニーは、その間にあった事を黙して語らない。
コニーの狂言だったのではないかという見方も出る中で、コニーは行方を晦ます。
コニーがマッケンジーから逃れるように身を潜めたのはイギリスのとある谷あいの村だった。
そこでコニーが出会ったジェスという寡黙な女性、おしゃべりなピーターという医者、コニーが借りた家の持ち主であるリリー、リリーの娘のマデリーン。
マッケンジーによる拉致監禁事件と、閑静な村で過去にあった出来事の2つが絡み合いながら物語は進んでいく。

―――――――――
以下、ネタバレにつき注意


物語はコニーの視点で綴られて行く。
コニーの手記と「現在」の話、「過去」の話。
事件の詳細の記述と取り調べの様子。
様々な視点の話が交錯して進むので読みづらいかと思いきやそうでもない。
意外とあっさり読み進められる。
そしてミステリーと称しながらも全ての謎が解明される訳ではない。

①一つは、コニーの拉致監禁事件について。
マッケンジーに監禁されていた時、コニーの身に何があったのかは漠然と知ることができる。
だが、何故マッケンジーが一見無傷でコニーを解放したのかは不明だ。
マッケンジーがコニーに何かしらの同類意識を持っていたのか?
単なる気まぐれか?
それとも、マッケンジーはバグダッドを脱出しなければならなかったが、急を要した為にコニーを殺害する時間がなかったのか?
脅える獲物を一旦逃して、更に獲物の恐怖を煽った上で殺したかったのか?
あくまでも推論に過ぎないが、マッケンジーは「サイコパス」と形容されている為、恐らく「マッケンジーは殺す際の恐怖に歪んだ顔をもっと長く見たくて」コニーを逃したのではないかと思う。
恐怖を煽り、「再びこの男にコントロールされる屈辱と恐怖と絶望」に満ちたコニーの表情を見たかったのではないか?
幸いにも私はサイコパスではないので、マッケンジーの気持ちは分からない。

②二つ目は、マッケンジーの死についてだ。
マッケンジーは誰に殺されたのか?
切断された腕が見つかったのだから、恐らく何者かによって殺害されたに違いない。
私は恐らくコニーとジェスがマッケンジーを殺害したのではないかと思っているが、その方法は全く見当もつかない。
コニーが父親と電話をしたとき、父親が「われわれは買ったか? 悪魔は死んだ?」と訊いた。
それにコニーは「完璧に死んだ」と答えた。
この会話は解釈に悩むところだ。
仮にコニーとジェスがマッケンジーを殺害していないとすれば、単に「悪魔」=「恐怖心」と捉えることができる。
つまり、恐怖の対象に果敢に立ち向かう勇気を取り戻したという意味だ。
一方、二人がマッケンジーを殺害したとすると、悪魔はマッケンジーとなる。
父親がその後嬉しそうだったというコニーの母親の言葉から、警戒するべき相手が死んだことに対する安堵とも受け取れる。

最後まで楽しく読めたし、読後感も悪くない。
残った謎を完全に解き明かせないことは歯痒いが、決してそのこと自体が作品の質を損なう訳ではない。
読み応えのある作品だった。

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2016年07月30日

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