あらすじ
結婚して間もなく新種の難病にかかり妻が倒れた。昏睡状態に陥った妻を連れ出した俺は、とある農園に愛する妻を埋めた。それが彼女の遺言だった――。選考委員が驚愕した第9回『幽』文学賞短篇部門大賞受賞作。
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Posted by ブクログ
「幽」文学賞受賞作品。不思議で幻想的な連作短編。ジャンルとしてはホラーと言ってもいいかもしれないし、怖いと思える部分はたしかにあるのですが。怖いとか綺麗とか不思議とかいうよりもまず出てしまう感想は……「美味しそう」なのかもしれません。
一歩間違えればグロテスクになってしまいそうな描写がとても美麗。そして香り立つような雰囲気に満ち溢れていて、こんな果実があるのなら口にしてみたい、と思わざるを得ません。でも果実になりたいかどうかと聞かれたら……それはちょっと悩むな。
Posted by ブクログ
「愛する人を食べたい」が「愛する人に食べられたい」より強く感じられました。
食欲と恍惚。「食べたい」も「食べられたい」も業が深いです。
読む前は、皮膚が果実の皮として実って、身体の中身が全てみかんの果実とかりんごの果実なのか?と思ってたのですが、いろんな果物がゴロゴロ入ってるんですね……不思議です。パイナップルは輪切りになってるとか書いてあるし。食べやすさ重視なのかな。
アップルパイの話と、食べに行っては皮もらって帰ってくる話が印象的でした。