あらすじ
弁護士パトリック・バトラーはテイラー夫人殺害の容疑で捕われた娘ジョイスの弁護を引き受けた。夫人はジョイスと二人きりの邸内で毒殺されたのだ。絶対不利な状況にもかかわらず、バトラーは見事に無罪判決を勝ち取る。だがその直後、今度は夫人の甥が毒殺された。当地に滞在中のフェル博士とバトラー、二人の名探偵が突き止めた真相とは? 巧妙きわまる心理トリックを駆使したバトラー初登場作。改訳決定版。
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Posted by ブクログ
フェル博士シリーズ
雇い主であるミルドレット・テイラー夫人を毒殺したとして裁判にかけられる被害者の秘書ジョイス・エリス。彼女の弁護を請け負ったパトリック・バトラー。使用されたアンチモンの出所の謎。バトラーの弁護で無罪判決を受けたジョイス。リチャード・レンショーの毒殺事件。容疑をかけられた妻のルシア。ルシアの依頼で事件の真相を探るバトラー。離婚の為にルシアが雇った探偵が襲われる事件に注目し探偵社を訪れるバトラー。バトラーに証言をした直後に何者かに絞殺された探偵社社長ルーク・パースンズ。バトラーの周囲で動く金歯の男の謎。レンショーがボスとなっていた悪魔崇拝教団内部の権力闘争。フェル博士の導きで事件の真相に迫るバトラー。
Posted by ブクログ
序盤は毒殺の罪で逮捕された無実の女性を救う王道の法廷ミステリー。弁護士である冷笑系・ナルシスト・自己中心的で自惚れの激しい弁護士・バトラー(情にアツい一面もある!)が主人公である。その女性にしか機会のなかった殺人事件を、バトラーの機転で無罪判決を勝ち取る。
ここまでは文句なしに面白い。二つ目の事件でもバトラーは第一容疑者の別の女性の潔白を証明しようとする。フェル博士が登場し、なにやら事件の背景には悪魔崇拝教団が深く関わっているという展開に…ごろつきや教団達とのバトル描写で露骨に失速。
典型的な竜頭蛇尾作品で星2が妥当だと思っていたところ、終盤に物語は急展開を迎えて、竜頭蛇体竜尾となる。
【完全にネタバレ】
最初に疑われた(投獄された)者が結局は黒幕で、時間差によるアリバイトリックという展開。これはアレですよねアレ。共犯者によるアリバイトリックなのでいくらでも貶すことはできる…が、バトラーの「ぼくは決して間違わない」というセリフの信憑性が"彼女は無実である"という地の文を上回るというミスリードが最終盤まで効果的であった。犯人とバトラーの二人だけのオトナな世界でアクセル全開、劇的なクライマックスを迎える…好み。