あらすじ
拉致事件を契機として、徐々にその真実の姿が日本人の前に明らかにされてきた北朝鮮。しかしまだまだ、その真実に迫りきっているとは言い難い。なぜ彼らは、このような体制を保持し、何をしようとしているのか。彼らの行動の背景にあるものは何か。中国との関係は? 長年朝鮮半島を注視しつづけてきた著者が、北朝鮮誕生の背景から、現在の中国の路線転換まで俯瞰しつつ描き切る、渾身の分析である。さらに、著者は「単なる『金正日個人独裁体制』の崩壊がいつ頃か、というようなごく限られた範囲内での議論は、もはや許されない」と語る。北朝鮮の崩壊によりもたらされるものこそ、東アジアにおける冷戦の終結である。欧州方面ではベルリンの壁の崩壊とともに、冷戦は終結を迎えた。いよいよ東アジアの冷戦も終結しようとしている。その流れを見据えた時に、日本がすべきことは何かが問われるのである。歴史は再び激動する! 覚悟を決めよ、日本!
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Posted by ブクログ
本書の刊行は2003年なので、書いてあることはかなり古い。
著者の予測では、2008年の北京オリンピックまでに中国の一党独裁は終焉を迎え、孤立無援となった北朝鮮は崩壊する…はずだった。
中国は一党独裁のまま自由経済社会になり、北朝鮮という国は相変わらず存在する。
金正日が金正恩に代わったところで、国家のシステムは変わらなかった。
より得体が知れなくなったと言える。
ではこの本は読む価値がないのかというと、そうではない。
2002年の日朝首脳会談で、なぜ金正日が拉致問題を認め謝罪したのか。
そして5人の日本人の一時帰国を認めたのか。
“金正日は、帰国した五名の拉致被害者が自らの決意に基づいて再び北朝鮮に帰国するという状況を前提にしていたことは間違いがない。そして、五名の拉致被害者が北朝鮮に帰国したとき、
金将軍のおかげで日本に二週間行ってまいりましたが、やはり日本より故国(北朝鮮)のほうが、はるかに私たちには住み心地のよい国であると確信して帰ってまいりました」とテレビの記者会見で公言させ、これによって自らの威信と権威を高める一方で、拉致問題が解決したと国際社会に認知させる。”
実際のところはわからないが、さもありなんと思った。
ただし、北朝鮮は中国の支援を失ったら孤立無援とこの本は書いているが、実際は日本が思っているほど北朝鮮は孤独ではない。
欧米に比べたら小国ばかりだが、結構な数の国や地方が北朝鮮と友好関係にある。
反米というつながり。
最近はウクライナと反露で繋がっているらしい。
元々北朝鮮は、地下資源に恵まれた工業地帯だったのだ。
国民の大半が食うや食わずでも、特権階級の人たちが贅沢な暮しをするだけの資産はある。
貧乏を装ってロシアや中国や日本から支援を受けていたのは過去の話。
エリート階級の人たちは海外に留学もしているし、世界の状況くらいちゃんとわかったうえでかけひきを仕掛けてくる。
北朝鮮が見せようとする姿ではなく、見せないどこかに視線を向けないと、きっと真実は見えてこない。
そんなことを考えながら読んだ。