あらすじ
ぼくには連続殺人犯の血が流れている。ぼくには殺人者の心がわかる――ジャズは高校三年生。田舎町ロボズ・ノッドではちょっとした有名人だ。ある日町で衝撃的な事件が起きた。指を切りとられた女性の死体が発見されたのだ。連続殺人だとジャズは訴えたが、保安官はとりあわない。だが事件はそれだけでは終わらなかった。なぜジャズには確信があったのか。それは彼が21世紀最悪といわれる連続殺人犯の息子で、幼い頃から殺人鬼としての英才教育を受けてきたからだった。親友を大切に思い、恋人を愛するジャズは、内なる怪物に苦悩しつつも、自らの手で犯人を捕まえようとする。全米で評判の異色の青春ミステリ。
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Posted by ブクログ
現在服役中の連続殺人鬼の父にその英才教育を受けて育ったジャズ。町で殺人事件が起こり、それはジャズの予想通り連続殺人となる。幼い頃より教え込まれた、様々な猟奇的な殺人のための知識で犯人をつきとめる。自分も父のようになるのかと恐怖する日々、血友病だが明るい親友や恋人との日常のサイドストーリーも抜群に良かった。事件はドロドロしているけど、YA向けとあって軽いタッチで楽しめるミステリだった。
Posted by ブクログ
「償いの雪が降る」の後ろの広告で見て。
主人公ジャズはシリアルキラーの息子であるだけではなく、
継承者として育てられていた。
町で女性の死体が発見され、連続殺人の始まりだと判ったジャズは、
犯人探しを始める。
手始めに親友ハウイーと死体安置所に忍び込んで。
そのハウイーが血友病と読んで、
何気なくページをめくったところで、はたと気がついた。
はたしてハウイーは最後まで無事なのだろうかと。
もし親友を失ってしまったら、
ジャズはシリアルキラーとして暴走してしまうのではないかと。
比較的最近読んだ、高校生探偵の3部作が悲惨な結末になってしまったことが
脳裏によみがえった。
結論から言えば、ハウイーも恋人のコニーも無事だった、一応。
良かった。
人を見抜き人を操るジャズが、刑務所で父親に面会し、
互いに騙し探り合う場面が面白かった。
そして面会で父親に頼まれたこと、庭のバードバスを動かすことが、
父親の脱走の合図で良かった。
てっきり、バードバスの下に母親の遺体が埋まってるのかと思った。
いろいろと勝手に妄想して迷走したが、
途中で「コニーは安全だ」とジャズが思っていることが、
コニーが黒人女性であり、父親の「被害者たち」に該当しなかったからということも気がついたし、
父親の模倣犯が現れた理由も想像がついたので、
予想が外れてばかりだったわけではない。
小さな町で次々と人が殺されるが、
ハウイーはどこまでも親友だし、コニーはジャズを支える素晴らしい恋人だし、
青春物としては良かったと思う。
シリアルキラーが逮捕はされたが、
父親は刑務所を脱走し、ジャズは殺人犯を捕まえる人間になることを誓う。
次の作品が楽しみだ。
Posted by ブクログ
タイトル買いした本書。本屋さんって、こういう出会いがあるから大好きです。
私は中身が少年なので、とても面白く読みました。読みました というより、まるで映画を観ているようでした。ものすごく読みやすい。
親友がとびきり楽しいやつで、一緒に悪さをしたり軽口をたたいたり、かわいい恋人がいて、癒されたり不安になったり。冒険あり、アクションあり、これはもう青春映画です。犯人が分かっても(年の功かな?)それ以上に楽しみました。
突然狂気に支配されてしまうかもしれないという恐怖と、殺人犯から学んだことを武器にして戦う優越感。不安と自己肯定の狭間を行き来するジャズは、少年特有の危うさがあって目が離せません。
Posted by ブクログ
自分が何者なのかどうなってしまうのか自分でわからないのが思春期。しかも連続殺人鬼の息子なら尚更。
父から殺人の知識と技術を教えられたジャズ。町で起こる殺人事件。自分が殺人鬼にならないために犯人を捕らえようとする。
自分の中に父と同じ殺人者の心があるのではと怯えるジャズ。これは怖い。自分の感情や思考が父からの洗脳によるものではないかという恐怖。親の呪縛からの脱却というYAの王道テーマをシリアルキラー絡みのミステリ仕立てにする快挙。
親友と恋人がジャズを信じる姿にもしびれる。
Posted by ブクログ
以前続編が平積みになってるのを見かけて惹かれたのだが、一巻目が見当たらなかったので買うのを断念したシリーズ。
書店は最新刊だけ並べるのでなく、既刊もそろえていてほしい……(何十冊とでてるなら別だが、当時はまだ二冊目だったし)
今回は漫画家が帯と表紙を描くフェアに便乗して購入。リボーンの天野明さんのジャズ、ワルっぽくてかっこいいですね。ニヒルな表情がイイ感じ。
三桁の犠牲者を出した全米ナンバー1のスーパーシリアルキラーを父にもつ主人公ジャスパー。
彼が住む田舎町ロボズノットで殺人事件が起こり……
という話。
ミステリーと青春要素でいうなら、後者の比重の方が大きい印象。ジャスパーは生い立ちこそ特異だが、「親に刷り込まれた自分像からの脱却」という普遍的な自立のテーマは、現代を生きる全てのティーンエイジャーに通底しているのではないか。
口が達者で冗談好きな血友病の親友・ハウイーに、善良で活発な黒人ガールフレンド・͡コニ―など、人間関係は恵まれている。
恋に友情に将来に悩むジャスの姿は、青春の王道ともいえる。
三人で集まり作戦会議を開いたり隠れ家でいちゃついたりと、ヤングアダルト小説ではある意味お約束といえるエピソードが盛り込まれている。
ジャズを見守り導く保安官や認知症の祖母にゲスな記者など、周囲の大人も個性的。
父親を超える殺人鬼となるため幼少時から英才教育を受けてきたジャスパーは、常に自分の中の父親の部分と戦っている。
自分にできることを理解し、それをしないでいるために常に誘惑を律し続ける彼の葛藤が身に迫ってくる。
父親であるビリー・デントの不気味な存在感や人を操る巧みさも必見。
ブラフと嘘をまじえた父子の駆け引きには緊迫感がある。
ジャズの良心を代表するハウイーとコニ―は、ともすると暗く重くなりがちなストーリーに日常的な明るさを添えてくれる。
ジャズをシリアルキラーの息子やその父親のコピーではなく、ジャスパー・デント個人として愛し尊重する二人の存在には救われる。
真犯人っぽい人物は序盤で何人か登場するが、その真相は見抜けなかった。
今後ジャズが父の呪縛を断ち切って未来を掴み取れるのか、コニ―との関係はどうなるのか楽しみ。
Posted by ブクログ
『青春ミステリー』なんて言う生易しいもんじゃないなぁ。連続殺人犯の息子として生きるジャズ。それも、シリアルキラーとして洗脳されて。僕は殺さない……葛藤と苦悩のジャズを支える恋人と、親友。殺人鬼にならないように何度も何度も自分に問いかけるジャズ。父親ビリーとの対面の時は、ジャズがビリーに飲まれてしまう!てハラハラした。最後のタトゥーでジャズがグッと大人になったような気がした。三部作の序章。次が楽しみです。負けるな!ジャズ!
Posted by ブクログ
海外ミステリーを読んだのはほぼ初めて(シャーロックホームズくらい)なので緊張しましたが案外入り込めました。
私には犯人が意外でびっくりしました。
そして主人公のジャズに心情も物語の主軸になっていて胸を締め付けられました。
父が連続殺人犯で幼少期から教え込まれたためにその呪縛から逃げられない。
父とは違うと思いながらもその思考に落ちそうになる。
町の人たちからも遠ざけられ普通の生活が送れない。
毎日が必死だなぁ、と思いました。
そんな彼に正気を保たせてくれる親友のハウイーと恋人のコニー。
どちらもいい子ですね。
ハウイーはあやうく死にそうだったのに絶交どころか責めもしない。
コニーは喧嘩してでも傍にいる宣言。
なんだかんだ言いつつジャズもいい子だからなんだろうなぁ。
3部作らしいので次があれば読みたいです。
Posted by ブクログ
ジャズが父親から逃れる日はくるのか。
そして父親を捕らえることは出来るのか。
でもこれって確執のある親子の物語だと思う。
父親が最悪の殺人鬼であり、ジャズがその教え子であるという違いはあるけれど。
ジャズには幸せになって欲しい…
Posted by ブクログ
アメリカの田舎町で起きた連続殺人事件を独自の立場で追う17才のジャズ。獄中の父親は全米を震撼とさせたシリアルキラー。
殺人の手ほどきを受けながら育ったジャズは父の血が流れている自分を常に恐れている。悩みを抱えながらも事件解明に突っ走る彼に寄り添う友人と恋人。3人の会話が生き生きしていてホッとする。父親を逮捕した保安官の視線も温かくて、見守れながら成長する彼らを応援したくなる。
Posted by ブクログ
誰が犯人?
気になるすぎて読み進めてしまった。
連続殺人犯の息子のジャズが、主人公。
連続殺人犯の父を持つジャズの内面が丁寧に描かれていて、いちいち共感してしまった。
父のようにはなりなくない、自分は母を殺してしまったかもしれない、、、いろいろな内面をかかえている。
コニーと、ハウイーが、最高!
この2人がいる限り、ジャズが闇落ちすることはないはず!
続きもあるようなので、そちらも楽しみ!
Posted by ブクログ
連続殺人鬼の息子として、「あっち側」に行きそうになる自分を必死で抑える主人公ジャズ。人を騙す技とか普通に使っちゃってるから、半分足突っ込んでるんでは?とは思うけど…。
友人であるハウイーもコニーも、ジャズのこと本気で心配してくれて本気で力になろうとしてくれる。そこが救い。
殺人の方法はグロいけど、翻訳文だからかドロドロ感あんまり感じられなかった。ハウイー達もいるし。
ハウイーのおかげで鬱々としない。ハウイーの功績が大きい…。
主人公グループが17歳という若さだからか読みやすいなと思ったら、そもそもYAだった。
Posted by ブクログ
面白かった!YAだからとたかをくくっていたら、なかなかに凄惨な場面もあり…。 "普通"であろうとするためにもがくジャズの姿が印象に残って、それがこの物語の核なんだと思った。彼女であるコニーの優しさと、友達であるハウイーの明るさにジャズは支えられているんだなとホッとした。
Posted by ブクログ
英才教育ならぬ殺人の英才教育を受けて育ったジャズ.連続殺人犯の息子という特殊な立場から,新たに起こった殺人事件が連続殺人事件だと確信する.犯人の思考を先回りすることで犯人を捕まえようと親友や恋人と共に調べるところ,ハラハラドキドキする.殺人方法がかなりショックなもので,気持ち悪くなったりもするが.血友病のハウイーやコニーの存在が何か青春ものの明るさを届けて,読後感は案外スッキリしている.
Posted by ブクログ
高校生のジャスパー(ジャズ)は祖母と二人暮らし。友人も血友病患者のハウィーと、恋人のコニーだけ。彼の住む街 ロボス・ノッドの人たちはジャズには近づかない。なぜなら、ジャスの父親のビリーは100人以上を殺したシリアルキラーで、ジャズは幼いながらもその手伝いをさせられていた、シリアルキラーの息子だからだ。
そんなジャズの暮らしに大きな異変が起きる。ロボス・ノッドで女性の他殺死体が発見された。
ジャズは生まれた時から父に仕込まれたシリアルキラーとしての感覚から、これは連続殺人事件の始まりだと直感する…
設定が秀逸である上に、ストーリー展開もうまく、読み始めるとどんどん読ませる。
しかも主人公のジャズは、単なるシリアルキラーの息子というだけでなく、彼自身も自分はシリアルキラーとしての思考プロセス、行動原理を父親から受け継いでおり、時にそのように行動してしまう(秩序型のシリアルキラーは外交的で人付き合いもよく、周囲からは善人として慕われていたというケースが多い。これは当人が人の心理を読み、行動できる才能に恵まれているからだと言われている)自分自身の身についた素質に苦悩しつつも、時にはそれを使って親友や恋人さえも欺いてしまう不安定さを持つキャラクターとして描かれているため、読者の共感を得やすいからだろう。
この作者はいわゆるヤングアダルト小説でヒットを出した作家で、これもYA系として扱われているらしいが、通常のミステリーとして充分面白い。
Posted by ブクログ
連続殺人鬼を父親に持つジャズの住む街で起きる凄惨な殺人事件。
父親は既に逮捕済みだけれど、幼少期の本人の自覚すらない頃から人を殺すノウハウを叩き込まれていたジャズはその知識を使って犯人の行動をトレースし、その目的と次の被害者を予測する。
自然と『殺人鬼の思考』が出来てしまうジャズの過去と彼を縛る呪いはどこまでもずっしりと重い。
意外な人物が犯人とかではなかったし事件そのものよりはジャズの苦悩がメインで、青春物という前評判も納得。
恋人と親友を縁に必死に足掻くジャズが早く解放されて欲しいと思いながら読み進めたのに、最後に飛び込んで来るニュースが衝撃的。
これは三部作全部読まねば。
Posted by ブクログ
すごくよかった…
先の読めないストーリーに加えて、殺人鬼に育てられた主人公が殺人鬼としての思考と1人の人間としての感情の間で葛藤しているシーンが他とはまた違った視点も味わえるのが楽しい!
実在する殺人鬼の名前や行動が描写としてあったりするので、知ってる人はおっ、と思うかもしれない。
Posted by ブクログ
こういうジャンルでは初めて接するYAテイスト。面白かったです。主人公が少年なので、陰惨な事件がこれでもか、と続いても、軽いタッチで読めてしまいます。ビリーとの監獄での対面シーンは「羊たちの沈黙」を思い出しました。展開は濃かったのに、ラストは割とあっけなかったです。続編も、もちろん読みます!
Posted by ブクログ
面白かった。
猟奇大量殺人だけど、王道の青春小説。
自分は何者で、何を為し、何になれるのか。
アメリカでも日本でも青春の描き方に大きな違いはないらしい(…と言えるほどこの手の本は読まないけど)。
ユーモア溢れるちょっとヘタレな親友と、真っ直ぐでしっかり者の恋人が主人公を支える様子は、眩しくて暖かい。
でも、文庫で1200円って高い…。
Posted by ブクログ
お父さんの呪縛から逃れようと苦悩する主人公が新鮮だった。友達や恋人の存在が心の拠り所になっていて、それが凄く真摯に伝わってきた。続きが楽しみ!頑張れ٩(ˊᗜˋ*)وジャズ!!
Posted by ブクログ
あらすじ見てぱっと思い浮かんだのはドラマのデクスター。デクスターではシリアルキラーなのは主人公で父親がそれをいい方向へもっていこうと教育する立場だったのに対して、これは父親がシリアルキラーで息子は幼い頃にその英才教育を受けたという設定。
三部作だし最初に風呂敷を広げすぎると登場人物が多くなってしまって読み手の視線がぶれがちになるけど、人物も絞られているし、読者が題材を目にした時に当然興味惹かれる方向にうまく話を収束させてる。ストーリー構成もうまくて、早く続編読みたくてたまらなくさせる。
Posted by ブクログ
レクターが父ちゃん設定の主人公が巻き込まれるミステリーぞ。
(⌐■-■)まずまず楽しめる。父ちゃんの巻末脱獄のクダリをちゃんと書けよ
Posted by ブクログ
・あらすじ
全米最悪のシリアルキラーを父親に持ち、その父親から殺人の英才教育をうけた少年が主人公のサスペンス、ミステリー。
・感想
特異な環境で育った主人公だから仕方無いけど、思春期の少年特有の青臭さと万能感が読んでて少し恥ずかしくなってしまったw
俺ツエー感ある主人公であんまり好きになれなかったけど話的には面白かった。
育ってきた環境とうけてきた教育が悲惨。
父親から呪いを刷り込まれてるからそれを修正し拒否しようと必死な主人公の心の葛藤がメインなのかな。
Posted by ブクログ
全米を震撼させた連続殺人犯の息子が主人公。
彼はジャズという名前の田舎町の高校に通う高校生。血友病を患う親友とガールフレンドと楽しく暮らす普通の高校生だが、父親が四年前連続殺人の罪で逮捕されたことが、普通と少し違う点だ。
しかも父親は二十年間で百人以上を殺したという。さすがアメリカ様、桁が違うとしか言いようがない。
そしてその父親は自分の息子に殺人方法の教育を施し、実際に殺しを手伝わせたと思わせる節もある。この辺りはジャズが子供で記憶が曖昧、というふうにぼかしてはあるが、ジャズ自身は自分も「やったこと」があると信じている。
物語はその田舎町の公園で一人の女性の死体が発見されたことから始まる。警察が調べている場所をジャズはそっと覗き、死体を確認し、そして保安官のG・ウィリアムに捜査に加わらせてくれと頼む。
G・ウィリアムはジャズの父親、ビリー・デントを逮捕した本人で、ジャズのことをいつも気にかけてくれている心優しい男だ。
あれは連続殺人犯のデントを模倣した殺人だ、また殺人が行われる可能性が高い、俺なら犯人の気持ちがわかる、なぜなら連続殺人犯のビリー・デントは俺の父親だからだ、と、ジャズは主張。もちろんG・ウィリアムはだめだ、とシャットアウト。ジャズは親友のハウイーを誘って独自で操作することにする。
という形で物語は進んでいく。まるで凄惨な連続殺人とそれを追う少年探偵の知恵くらべの物語、のような印象を持つ。ゴリゴリのホラーかミステリーかハードボイルドか。
が、実はそんなことはなくて、もちろん殺人のシーンなどはちょっと心の弱い人は読まない方がいい描写だったりはするが、どちらかというと、ジャズとハウイー、ガールフレンドのコニーの三人の友情物語でありジャズの成長物語という側面が強い。
ジャンルで言えばジュブナイル、ヤングアダルト、あたりだろうか。
捜査にのめり込むジャズを心配しながらも一緒に戦うハウイーとコニーのキャラクターがとてもよい。アメリカ小説の主人公のガールフレンド役の少女というのは、なぜこうもたくましく、優しく、強いのか。微笑みながら主人公を見守るだけの日本のヒロインみたいなのは未だかつて見たことがない気がする。
ジャズたちがどうやって殺人犯を見つけ、追い詰めていくか。殺人犯とジャズの父との間に関係はあるのかといったミステリーの一面も楽しめ、一方で父親の「教育」に飲み込まれまいとするジャズの苦悩やそんなジャズを支えるハウイーとコニーとのやりとりなど、青春小説としても楽しめる作品である。
「俺は殺人犯の息子なんだ!」というジャズの斜に構えた口調は、厨二か?と思うようなウザさはあるものの、まだ高校生だし若い頃ってそういう特殊性をひたすら自分の中で強調したい年頃だし、などと思いながら読むのが良いのかも。実際、百人殺した殺人犯の息子、などという特殊性は相当特殊だし本当ならもっとひねたり病んだりしてもいいくらいだと思う。
行方不明の母親、いつの間にかいなくなった愛犬などのエピソードを読むと、よくまあそれでこんなに「普通」を保てているなと感心するレベルである。
その彼の「普通」「良心」を保とうと努力してきたのがG・ウィリアム、ハウイー、コニーといった周囲の人間たち。特にG・ウィリアムの親父力には感服する。
読みやすい(殺人のシーンは割としっかりリアルに書かれているので、ホラー・スプラッタ的描写が無理な人はスキップおすすめ)文章で、少年たちがイキイキと動くのでテンポよく読める。
ヤングアダルトなので、少々強引な展開などもあるが、気軽に読みたいミステリーをお探しの方にはおすすめできる、かもしれない。
とはいえ、ミステリーを読みたければ他を読めばいいし、青春小説を読みたければそれこそ他を読めばいい。日本のラノベは優秀だと思う。シリアルキラーの心理に興味がある人は、読み進めた方がいい。この1冊目では真のシリアルキラーには焦点が当たっていないので。
この続きが気にはなるが、続けて読もうとは思えてないので、私個人としては⭐︎はそんなに高くはない。なんとなく、ジャンル的に中途半端だったかなという印象。
【追記】日本語タイトルはちょっとイマイチかなと思う。「さよなら」という決別を彷彿とさせる言葉ではなく、ジャズからは「追い詰める」という強い意志を感じる。
とはいえこれ、日本語タイトルは難しいわな。とも思う。
Posted by ブクログ
カテゴリは〝ヤングアダルト小説〟という私自身は食指が動かない分野に属しているが、散々使い古された題材「サイコキラーもの」に挑んだ本作は、停滞したミステリ界に幾ばくかの新風を吹き込んで話題となったようだ。
主人公ジャズ・デントは17歳の高校生で、実の父親ビリーは123人を殺害した「21世紀最悪の連続殺人犯」という設定。少年は己に流れる汚れた血を憎みつつ恐れている。いつか狂気に陥り、大量殺人者である父親と同じ轍を踏むのではないか。行方不明となった母親は父親が殺したと信じ、包丁を見る度に自分自身もそれに加担していたのではないかという悪夢に襲われる。実質124人を殺し終身刑となった男と、その息子の関係性は屈折しており、ジャズが時に応じて父親の教えに従う部分もある。本作は良くも悪くも、この枠組みの中で展開する。
死体に様々なポーズをとらせたことから、ビリーは初期に〝アーティスト〟と称されていた。その殺人現場を模した自称「ものまね師」の殺戮が、ジャズの生まれ育った田舎町で再現されていく。父親を逮捕した後に懇意となった保安官を通じて捜査状況を掴んだジャズは、友人と恋人の助けを借りつつ、「ものまね師」の正体を探るために奔走する。本作の肝は、父親の陰惨な凶行を辿らなければ、殺人者に近づけないということであり、主人公の葛藤と抑制、その克服の描き方に力を入れている。
読者層を踏まえて文章や構成は平明でストレート。
ジャズを支える友人と恋人、保安官の存在は、軸となる凄惨な事件を浄化する役目を担っている。ただ、光と闇の狭間で揺れ動く少年の孤独と焦燥を、敢えて重くせずに、ティーンエイジの苦悩と同様のレベルで描いているのは、〝青春小説〟でもある本作の限界点を示し、やや物足りない。さらにいえば、百人以上を殺したビリーの凄まじい闇に触れる心理的な掘り下げがないという欠落も大きい。また、殺人者の息子を捜査に介入させることなど現実にはあり得ないし、第2部へと向けた終盤での警察の無能ぶりなどに、物語としての甘さが際立つのだが、著者はあくまでもジャズの成長を描くことに主眼を置いているため、大方の読者には許容範囲であろう。
本作は三部作の第1弾。終盤で次作に繋がる展開があり、完結していない。
Posted by ブクログ
今世紀最悪と言われたシリアルキラーの息子。彼は小さい頃から、父親に殺人者としての「教育」をうけていた…。
そんなとき、同じ小さな町で再び殺人事件が起こる。
望まずに犯人としての思考が見えてしまい、それと戦いながら犯人を捜す、というのが斬新だった。
3部作なんだなー。続きが気になってしまう。
久しぶりに翻訳ものを読んだ。この翻訳特有の「原文の言い回しを日本語に訳しました」感がつっかかる。
Posted by ブクログ
ハウイーとジャズの熱い友情は良かった
コニーの存在はいるのか? ジャズにこんなステキな恋人がいるのは中途半端なキャラ設定な感じがする ハウイーにも彼女できる日はくるのかな なんか、病気のある彼女ができそう
これが、YA小説ってことに戸惑う 向うの10代は、こんなん読むんか 自分が10代の頃だったら、ぜったい無理だったと思う シリーズ③まであるが、読まないな
Posted by ブクログ
シリアルキラーを父に持ち、さらに幼い頃から殺人の手ほどきを受けてきたという少年が探偵役という設定が斬新だった。
だからこそ、殺人犯が次に何をしようとしているのか予測できる。
Posted by ブクログ
どこかちょっとウィンズロウの「ストリートキッズ」を思わせる筆致で、楽しく読み進めていって、最後でのけぞる。これって続くのか!解説を読んだら三部作だそうな。それならそうと知って読みたかったなあ。途中折々にはさまれる思わせぶりなほのめかしも、全部スッキリするものだと思っていたので、肩すかし感が半端ではなかった。いや、面白かったんですけどね
Posted by ブクログ
アメリカの田舎町ロボズ・ノッドで起きた変死事件。
町でちょっとした有名人の高校生ジャズは、それが連続殺人だと気付く。
何故ジャズがそれに気づくのか?
何故ならジャズは殺人鬼の息子で、父から殺人鬼の英才教育を受けていたから。
保安官はジャズの言い分を信じてくれないので、ジャズは独自に捜査を進めていくのだが…。
殺人鬼の息子として生まれた17才のジャズの友情、恋、葛藤が中心の青春小説。
なので殺人事件は凄惨なんだけど、どこか軽い印象を受けます。
アメリカのTVドラマにありそうな感じです。
3部作で完全に続きますよーという終わり方をしています。