【感想・ネタバレ】水の迷宮のレビュー

あらすじ

3年前に不慮の死を遂げた水族館職員の命日に、事件は起きた。羽田国際環境水族館に届いた一通のメールは、展示生物への攻撃を予告するものだった。姿なき犯人の狙いは何か。そして、自衛策を講じる職員たちの努力を嘲笑うかのように、殺人事件が起きた。すべての謎が解き明かされたとき、胸を打つ感動があなたを襲う。ミステリー界の旗手が放つ奇跡の傑作!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

石持さんの作品は、極端な設定を、理性的なヒーローが、論理的に解き明かすということが基本構造になる。
 近年の作品は、「設定」「論理」の方にちょっと傾きが大きくなりすぎていて、この作品のような人間味や作品全体の緊迫感が、ちょっと薄れている気がしていた。
 バランスの良さを、今後の作品には願いたい。

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2023年06月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

動機からしてこの人が犯人かなという人が犯人でなくてよかった。いつもながらよく練られていて楽しめた。今回は犯人探しが楽しくて、動機は共感できない。

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2018年11月20日

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ネタバレ

水族館で起きた男性の感電死から話は始まる。

三年の月日を経た男性の命日に水族館の生物たちは脅迫される。考えようによっては取るに足らない事件ではあるが、謎めいた事件は徐々に全体像を浮かび上がらせていく。

あまりの展開の巧みさについつい引き込まれて目的地まで連れ込まれてしまう。驚かされている印象は薄いものの重厚な世界観にどっぷりと満喫させられてしまうのだ。

ただ、最後の解決方法だけはどうしても好きになれない。そのことを置いておいても良作間違いなしであるが、★マイナス一してしまうのも人間のサガなのである。

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2015年08月27日

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ネタバレ

この人の本も好き嫌いがまっぷたつに分かれるんだけど、好きな部類の本。話は面白いんだけど、謎解きも面白いんだけど。いや、そんな理由で殺人をなかったことにして、好きな男を殺した相手を許して、一丸となって未来を目指す?いやいやいや、さすがにそれは無理があるでしょ、と思ってしまうラストがイマイチ。それでもこの本の構想を誰かそのまま実現してほしいと切に願います。

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2022年07月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

水族館に届けられた携帯電話。非通知で送られてくる謎のメッセージ。開館中の水族館で起こる悪質な悪戯。それは3年前に起こった職員の死と、不可解な設備異常を連想させるものだった。

犯人からの短いメッセージは、一見海洋汚染を訴える文章だが、悪戯を仕掛けたエリアと内容を巧みに盛り込んでいる。しかし目的が分からない。
中盤で職員が一人死に、悪戯が薄気味悪さを伴うようになった。
水族館という舞台設定もそれを助長したように思う。夏休み中の水族館は、騒々しくきらびやかな場所だが、裏側はそうではない。表には置けない飼育道具や予備水槽、パイプが並び、水槽を稼働させる装置音が常に鳴り響く。小説の読み手は、その裏側を見る者である。よく知るイメージとは異なる場所。もともとは薄暗く静謐で神秘的な雰囲気を持つ水族館である。薄気味悪さを自動的に演出してくれる効果があった。

ミステリーとして、先が気になる展開(犯人の目的は何か?なぜ一連の悪戯を計画したのか?)は非常に面白かった。
読み手は古賀という一職員の立場で犯人探しをしていくわけだが、分かりやすい伏線が多く、真犯人や死因の追及は良くも悪くも難しくはない。
また、賛否両論あるだろうエンディングだが、まさか本当に事件を隠蔽するとは思いもよらず、唖然としている間に大団円を迎えた印象だった。読者の意表を突くという意味では、良いんだろうか?
古賀の立場で物語を追ってはいたものの、登場人物たちに感情移入できるほどの親しみはなく、終盤に古賀の友人で探偵役となる深瀬が涙を流すシーンは、ドラマチックさの演出としか思えなかった。
結論。水族館という舞台設定も相まってミステリー展開は面白かったが、結末が近づくにつれ、読み手が置いてけぼりにされていった印象は否めない。身内で盛り上がっているのを傍目で見ている感覚。
エンディングの貴子女史はよかった。

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2021年08月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リニューアル間もない水族館で、ある職員が急死した。3年後、その命日に水族館に脅迫めいたメールが届く。そしてまた一人、職員の死亡が確認された。犯人は?
……みたいな話。

水族館が舞台の話を初めて読んだので、新鮮でそこだけでも面白かった。
ストーリーも、一日に畳み掛けるようにいろいろ起こって、はらはらドキドキの展開。
途中まで☆4つの感触で読み進めた。

しかし。最後が感心しない。
ヒトが二人も死んでるんだから、やっぱり事件は公にすべきじゃないか。しかも業務用過失致死じゃなくて立派な殺人じゃん。
それを組織的に隠蔽して実現した夢は、果たして本当に達成感のあるものになるの?
死んだヒトの立場は?
手にかけた人間だって、一生抱え込んで辛い想いをするじゃん。

それまで公正な目で事件を分析していた「部外者」深澤が隠蔽案を否定しないのも、いくら尊敬する先輩の叶わなかった夢を未来に繋げるためとはいえ、理解に苦しむ。あんなに頭脳明晰に(時には冷淡に)事件を解決しておいて。

「すべての謎が解き明かされた時、胸を打つ感動があなたを襲う……」とはいかなかった。
消化不良です。

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2017年04月25日

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ネタバレ

水族館を舞台にしたクローズドサークルミステリー。

相変わらず読みやすく、この作家らしい雰囲気も満載で面白いが、アイルランド同様出てくるキャラに感情移入はしずらい。

これもこの作家の個性なんだろうな。

今までと少し違う、というか違和感を感じるのは、殺人事件の真相があまりにも軽んじて描かれることだろうか。

人の死よりも夢の実現の方が大切なのだろうか?!という疑問が今でも消せないでいる。

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2015年04月21日

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ネタバレ

水族館の裏側で起きるある事件の話だが、
毎度人物と状況が限定的である点は石持作品らしい。


結末、そこんところ黙っていられる??と思ったけど、
満場一致なら仕方ない。

ボラは巻き添え食ったな〜

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2013年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

水族館の話、としか覚えてなかったので再読。
読み始めて、ほんとに全然覚えていなかったことにびっくり。
物語としての整合性はあるんだけど、やはりちょっと非現実的な展開でもあるので、現実に引きつけて感動するというタイプの作品ではなかったということかもしれない。
水族館の裏側が垣間見られたのは興味深かったけど、やはり「一人で全部背負い込む」というのが無理があったかなあ。その夢の継承という展開はしかし、物語としては美しいとも言える。
この作品は白石持浅海なんだろうなあ。ラストがなんとなく清々しい感じになっていたので。
人が何を許して何を許さないかは、千差万別。なにに価値を置くかも人それぞれだという潔さも感じられる。
どの作品もそうなんだけど、石持浅海さんの価値基準は「世間」てやつからちょっとずれたところにあるんだなあと再認識。

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2012年09月20日

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