あらすじ
彼なしでは生きていけない。でも彼といると、ひとりのときよりも寂しい。■ゴージャスなペントハウス、男らしくハンサムな夫。ジーク・ブキャナンと結婚して二年、マリアンは幸せだった。だが、ペントハウスのインテリアをデザインしたのが、夫の昔の恋人だと知ったときから幸せに陰りが生まれた。しかもその女性はジークに請われて、彼とともに仕事をしている。夫の元恋人がデザインした家に住むのはいやだ。夫がその女性と一日の多くの時間を共有するのはもっといやだ。ジークに訴えたが、彼はヒステリーだと言って片づけた。彼は妻の心を知りたいとも、妻に自分の心を知ってほしいとも思わない。このまま一緒にいては二人の結婚は本当にだめになってしまう。家を出よう……。
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Posted by ブクログ
この小説を読んで思い浮かんだのは「イクメン」という言葉でした。恐らくですが、この作品が出た頃はまだ、この言葉がそこまで一般的ではなかったと思われます。
主人公のマリアンは二年前に劇的な恋愛結婚をして、社長夫人として幸せに暮らしていました。しかし、若くして大学進学の夢を諦め家庭に入った彼女は、一度は諦めた夢をもう一度追い求めたい、叶えたいという強い希望があります。
しかし、夫のジークは妻の気持ちを理解するどころか、マリアンがその話を持ち出すと話をそらしてしまいます。
―私は夫の作った綺麗な鳥籠に閉じ込められて、彼の帰りを待つだけの存在にはなりくたない。
その想いが高じ、ついに彼女は家を出てしまいました。
―僕はどんなことがあっても君とは別れない。
執拗に追ってくる夫、ですが、実はマリアンも夫を愛しています。
―愛しているからこそ、本当の私を見て欲しい、理解して欲しい。
自分は綺麗なだけの人形ではないとジークに訴えるヒロイン。
実はジークは幼くして孤児院に預けられ、各家庭を転々として過去を持ち、そのために自分を他人にさらけ出すことができず、また逆に他人を全面的に信用すこともできなくなっていました。
そのために、妻を家庭に閉じ込めて自分を裏切らせないようにしていたのです。
夫の真実を理解したマリアンは
―私はけして、あなたを裏切らない。
ジークに告げるのですが、、、
この物語りはハーレクインによくあるように、「愛を失いかけた夫婦の再生の物語り」であるといえます。最初の「イクメン」については、きっとこの作品を最後まで読み通したら、お判りいただけることと思います。ハラハラしながらも、ホロリとさせられる良い作品でした。