あらすじ
「だったら、チョコでも食べてろ!」
修学旅行から戻った清一を待っていたのは、聖美お手製のバレンタインチョコによる、過激な試食テロ!?
「仲直りしろ。可及的速やかに!!」
古都子たちは、清一と聖美の不仲を見かねて、関係改善の協力を約束。清一も聖美の本心を探るのだが――
「もう、昔に戻れないの……?」
天女は、聖美の本心を聞き出すための賭けにのり、イメチェンし清一を誘惑!! 負けじと古都子と優佳も奮闘する!?
そして、断片情報から聖美の本心を突き止めた清一は……。
「兄としての威厳を見せてやろう」
妹・幼馴染ルートも開放され『実は一途な純情乙女?』系ラブコメ、清一がMAXに主人公する第11弾!!
※電子版は紙書籍版と一部異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください
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Posted by ブクログ
明かされる聖美(きよみ)の思い。
いつも優秀な「兄の妹」としか見られず、アイデンティティーを見失っていった。
社交的で、どれだけ優秀な成績をとっても、「あのお兄ちゃんの、、、」と
言われてしまう。
兄が優秀で、スポーツ万能、成績優秀、周りから一目置かれる状態の時は、
付属に見られても、兄への憧れもあり納得できた。
だが、イブに騙されエロゲに逃げたオタク兄では、嫌悪感しかない。
そもそもアイデンティティー復活のためには、「優秀な兄に認められること」
だと思っていた聖美には、今の兄ではどんなに自分をアピールしても
意味のない存在に。
アイデンティティーを取り戻す機会を奪ってしまった兄への嫌悪。
これが憧れが憎しみに変わった経緯だった。
誰も察することができなかった聖美の思いを、
同じように優秀な姉へのコンプレックスを抱えたことがある古都子だけが
唯一たどり着くことができた。
どうやって兄妹の関係を修復するか。
なぜバレンタインになると凶悪なチョコレートを作るのか。
過去をリセットしたい、という共通の思いがあったイブが出した提案。
バレンタイン・チョコレート対決。
なかなか乗ってこない聖美に、負けたら家を出て転校すると宣言する精一。
聖美&古都子、精一&優佳。それぞれアドバイザーを得て練習に次ぐ練習。
そして対決本番日。
難しいチョコケーキで攻める聖美、2種類のチョコで攻める精一。
結果は、、、引き分け。
納得いかない聖美に精一から「また今度、勝負だ!」
悔しいながらも、一瞬だけ優秀になった兄から認められたことと、
まだ関係が続くことをうれしく思う聖美。
いつもの憎まれ口も、なぜか今日は少し暖かく感じた。
この巻、聖美回だがもう一人、イブの巻でもあった。
聖美を勝負に向かわせたきっかけにもなった、
イブと精一との関係をリセットする行為。
黒髪に戻し、あの公園であらためて「精一が好き」と、告白シーンをやり直す。
精一が本当に好き、本当にやり直したい、という思いが伝わってくる。
精一もイブのことを真剣に考えなざるを得ない状況に。
そして回答は「昔のイブなら付き合えない。今のイブとなら関係を考えたい」。
イブ、優佳、古都子。
そろそろ精一も、きちんと関係を考えるべき時期にきたのかもしれない。
ここまで引っ張ってきた、妹の聖美がなぜ精一を毛嫌いするかの回答が出た巻だった。
正直、話題を引っ張ってきた割には、理由としては微妙だった。
私はあまり共感できなかった。
むしろ、モテる兄への嫉妬、の方が面白いと思ったが、そうなると
精一よりも古都子を憎むようにならないとおかしいから、
話がつながらないか。
今回珍しいのは、古都子が精一よりも聖美を優先する回でもあった。
同じように優秀な姉に対するコンプレックスを抱いていた古都子が
聖美に共感し、精一の聖美に対する言葉に言い返したりして、
チョコレート対決では、精一の反対陣営に加わった。
ただ、それは勝手な想像だが、精一なら敵対しても
きっと上手くまとめてくれるだろうという信頼感があったからだと思った。
このことで二人の関係がさらに一歩前進したと感じた。
あと、イブ。
やっぱりイブちゃんは良い娘だと思う。
アプローチは下手だけど、本当に精一が好きなんだ。
聖美を勝負に向かわせるためでもあるが、精一への真剣な思いが伝わる行為だった。
だから、精一も今回はきちんと「もう一度関係を考え直す」気になってくれたんだ。
チョコレート対決で可愛く?サポートしてくれた優佳。
ラブレター事件をリセットしたイブ。
そして、聖美との関係を少し良くしてくれた古都子。
精一は誰を選ぶのか。
いや、答えはもう(多分)わかっているのだが、ほかの二人に対してどう答えを出すのか。残り2巻、楽しみだ。