【感想・ネタバレ】僕とおじさんの朝ごはんのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終えて、ふうと息をつく。

表紙とタイトルから、
坂木司さんのホリデーシリーズ(大好き♪)をイメージしてました。

誰とも深くかかわらず、面倒くさがりでやる気のない健一。
ケータリングサービスを生業としながら、
その仕事ぶりは、どれだけ手抜きをして、出来あいの物を見栄え良く盛り付けられるか。

その健一が遭遇した事故現場で、寛子を助けたことから少しずつ変わっていく。
というか、妹と親友の死にまつわる後悔のようなものから無気力になってしまっただけなのかもしれない…。

そして、”僕”、英樹との出逢い。
生まれた時から、その人生のほとんどを病院で過ごしてきた英樹。

もうね、ここからの健一と英樹と、その両親の関係がとてもいいんですよ。
健一のお弁当が、いつしか英樹のためのものに変化していったり、
英樹が美味しそうに食べるのを見て喜ぶ母親の姿とかね。

「もう疲れた」と尊厳死を望んだ英樹。
残される両親の気持ちを思うと、胸が締め付けられるようです。
「生きてさえいてくれればそれでいい」
それが結果として、子供を苦しめるだけだとわかっていても、
そう願わずにいられないのが親なんでしょうね。

後悔のない別れなんて、たぶんない。
どの道を選択してもずっと後悔はつきまとう。
あのときこうしていれば、こうしなければって…ね。

できればこのまま、奇跡が起こって欲しいと願ったのですが…。


一心不乱に鰹節を削り、だしを採る健一。

この食事が最後の晩餐になっても後悔しないようにと、
食べてくれる人のために、心を込めて料理する。
その姿をキッチンの傍らで見つめる、息子の司。

この世に生まれた価値のない命なんて、絶対にない。
英樹と出逢えたから、今の健一の姿がある。

本を閉じ、表紙のトーストと目玉焼きとオレンジジュースを見た途端、
せつないけど、温かなものが胸の中に広がりました。

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2016年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面倒くさいことが苦手なケータリング業者の水島と息子、ふと出会った病気の少年とその家族、謎の薬の噂、いろんな状況が交差しながら進む物語。

「僕とおじさんの朝ごはん」
タイトルの理由がわかる時、悲しくて寂しいけれどあたたかい料理の美味しさが想われて、心が穏やかになるお話でよかった。
美味しそうなごはんのお話はやっぱり好き。

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2022年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

子の題名は いつ出てくるんだろう。
やっと 後半に出てきましたね。
僕によって おじさんが 変わっていく。
この作家の 他の本も 読んでみたくなりました。

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2019年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ケータリングの仕事にやる気もなく、人に気遣いもできず、無気力に生きるおじさんと、ケータリング業者が持っていると、ネットで都市伝説化している「死ねる薬」をほしがる、いろいろな職業の人達の話が淡々すすむので、始めは思ったより期待感がかなり下がったのだすが・・・

難病の子「英樹君」と関わったことによって、おじさんが本来の自分の姿を思い出して、その少年の為とはいえ一生懸命になってる姿に、優しさと不器用さが見えてきて、そこからは段々と話しに引き込まれました。

作中の中で気になった 『僕の命は僕のものだ』 の言葉・・・

英樹君の決断とも取れるその言葉は、それは病気で苦しんでる英樹君、それを支えてきた両親、そのどちらも見ている友達としてのおじさん。
それぞれが立つ位置にによって感じ方が違うので、その言葉のとらえ方も誰が正しいとかじゃなく、それぞれが私はこうあってほしいと言う願望があるから、出てくる答えも違うものになるんですね。でもそれは相手を本当に思ってるからこそ...

最後に英樹君がお願いした、トーストしたパンと目玉焼きの意味を知ったときも涙がホロッと出てきました。

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2018年09月02日

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ネタバレ

*いかに手抜きをするかが最優先の、無気力に生きるケータリング業者の水島健一。腰痛治療先の病院で難病の少年と出会い、少しづつ大切な何かを取り戻していく健一だったが、少年が最後に下した決断に、水島はどう向き合うのかー「生きるということ」「残されたものの哀しみ」を描いた感動作*
色々なものを抱えて生きるということ。他人を想って丁寧に料理をすること。この二点がベースに書かれているが、重すぎず、心にしんと染みる作品に仕上がっている。「最高の最後の晩餐」のくだりは涙なくして読めないけれど、哀しさだけでは終わらない、やさしくあたたかな読後感。

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2016年04月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

適当に脱力して生きてきた調理師のおっさんが、一人の難病の男の子と出会う事によって人生をやり直す気力を得ていく物語です。いい話になるであろうことがあらかじめ分かっているので安心。最近惨い話が胸にぐさぐさ刺さって疲れるので、こういう初めから安心できる本って助かります。
でも内容としてはなかなか重めで、自分の生き方を決めるのは誰なのか、生きていて欲しいと望む人の気持ちだけで決めてしまってよいのか。病気には徹底的に戦っていかないと人として間違っているのかという事を読みながら考えていました。












ここからは感想ではないのですが、視点移動を多用すると小説としての趣きが削がれるため個人的には好きではありません。この小説はそのへんが雑に感じました。題材はとてもいいと思うのでそこだけ残念。

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2018年05月28日

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ネタバレ

何をきっかけにしたのか水島が唐突に人間変わったように見えた。元に戻ったのかな?出てくる人の中でショートカットドラックを使うに一番相応しいのはやっぱり英樹だと思うけど使わない選択をしたのは本当に立派だと。私なら使う。

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2017年07月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

序盤に淡々と書かれている文体は面倒くさがりの主人公を表しているよう。本の紹介にあるようにある少年に出会ったところから主人公は変わっていく。それとともに文体も熱を含んで人間らしくなっていく。

どのキャラクターもちゃんと描かれていて憎むべきキャラクターはいない。個人的には司が好きだった。

林さんの作品はコメディしか読んだことなかったので新鮮だった。

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2016年07月31日

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