【感想・ネタバレ】ビッグクエスチョンズ 倫理 Ethicsのレビュー

あらすじ

『ビッグクエスチョンズ』は、人類の歴史を通して、
探究心旺盛な人々を悩ませてきた科学や哲学の大疑問に対し、
一流の専門家が回答するシリーズです。
「親しみやすく簡潔に」という編集方針により、その分野を概観しつつ、
最新の知見を身につけることができます。


倫理(ethics)が扱うような正しいことと間違っていること(right or wrong)に関する問題は
人々や企業の行動の規範として近年ますますその重要性を増しており、
倫理について私たち一人一人がどのように考えるかは、
いまや避けては通れない問題であると言えます。

世界19カ国で刊行されたロングセラー『100の思考実験:あなたはどこまで考えられるか』
(紀伊國屋書店、2012)で知られる哲学者のジュリアン・バジーニは、
現代において倫理が抱える問題を、20のシンプルな問いにまとめています。
バジーニは、それらの問いに対してどのように答え得るかを最初に検討した上で、
それらの問いが私たちにとってどのような意味を持つのか、そしてそれらが
私たちの人生における選択にどのように影響しているのかについて、
様々な知見の紹介を交えつつ、平易な言葉遣いで考察していきます。

本書で問われている問いには次のようなものがあります。
「テロは正当化できるのか?」
「弱者の救済は必要なことか?」
「セックスは道徳的なことか?」
「どうして差別してはいけないのか?」
「自由市場は公正(フェア)か?」
「責任を持つとはどういうことか?」
「正しい戦争はあるか?」

本書は徹底的に読みやすさを重視し、専門的な記述は可能な限り避けて作られています。
したがって読者は、本書の説明を理解するために難解な専門用語を
あらかじめ知っておく必要はありません。

必要なのは、「当たり前だ」と思っている自らの価値観を一度疑ってみること。
するとそこに多種多様な考えるべき問題が姿を現し、世界は謎に満ちた存在として
あなたの前に立ち現れてくるでしょう。
そのとき、正しいことと間違っていること(right or wrong)を巡る目眩く探求の旅は、すでに始まっているのです。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

手段と目的、テロ、近親者優遇、弱者救済、法と道徳、動物の権利、妊娠中絶、安楽死、カジュアルセックス、差別、市場・フェアトレード、環境保護、自由と責任、正しい先生、拷問、進化と倫理、相対主義、宗教と道徳、多元主義。内容的には普通で訳も読みやすい。しかし注というか文献とかもとからぜんぜんついてないのかな

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2020年06月15日

Posted by ブクログ

本書においても争点や議論のポイントについては説明されているが、「これこそが正しい」という結論などはほとんど提示されていない。それは答えを早急に求める読者にとっては受け入れられないことだろう。しかし、だからといってこのような議論が無駄なものであると結論づけるのは誤りである。本書の最後の部分で著者は次のように述べている。

「しかし、明瞭に考え、本当に正しいと評価しているものに注意を向けることでより善い道徳的な選択、純粋により良い結果をもたらす道徳的な選択をする可能性が芽生えるのであれば、そこに、哲学的倫理学につながる点がある。
 最終的な選択は、常にあなた自身が決めることであり、あなたしかその選択の責任を負うことはできない。しかも、責任を取るためには、それにふさわしい厳粛な時間と考えを、倫理醸成に与えることが欠かせないのである。」

つまり、最終的に判断するのは私たち自身なのである。しかし、その判断をするときに何も知らない状態で判断することと、論点を整理し熟慮した上で判断することでは、その意味合いは全く異なる。そのよりよい判断をするうえで助けとなるのが、「倫理」という学問なのであり、本書はその大まかなアウトラインを理解する上で大いに役に立つだろう。

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2015年04月13日

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