あらすじ
【集英社オレンジ文庫創刊!】三姉妹とその家族をめぐる、温かな物語。竜田メグムは高校一年生。大学生の姉と、小学生の妹がいる三人姉妹。穏やかな父としっかり者の母の五人家族は、明るく平凡に暮らしている。だが、近頃メグムの心は晴れない。理由は進路に関わることなのだが……。そんな時、長いこと空き家だった近所の洋館に、不思議な人物が引っ越してくる。そしてそれは、思いもかけない形で、メグムの「家族」と関わってきて…!?
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Posted by ブクログ
集英社が2015年一月に創刊した新レーベル、集英社オレンジ文庫の第一回目の配本。路線としては、コバルト文庫を挿絵をなくして少しだけ一般よりにした感じでしょうか。
マリア様がみてるで有名な、今野緒雪さんの新作です。
竜田メグムは両親に内緒で美大進学を志望している高校一年生。大学生の姉カスミと、10歳の妹キリとの3人姉妹5人家族だ。
進路希望を打ち明けられずに悶々と過ごすメグムの日常は、近所の「お化け屋敷」に新しい住人が引っ越してきたことをきっかけに、少しづつ色を変えていく……。
16歳という今だけの青春の一瞬を瑞々しく描いた素敵な少女小説です。
マリみても読んでいたけれど、個人的にはマリみてよりこちらのほうが好きかも! ってくらい面白かったです。メグムちゃんの語り口は少しピリっとしていて、ユーモアにあふれ、思わずくすっと笑ってしまいます。この語り口が、本当に面白かったです。
3姉妹という姉妹ならではの、リアルな距離感の書き方や、10代の頃の友情の描き方、心の機微なども繊細にリアルに描かれています。
ただ、メグムを取り巻く環境は複雑というか、なかなかない状況だとは思うので、そこはあまりリアルではないのですが。
16歳の少女の、多分一般的には遅い初恋の様子が、甘くて、少し苦くて、微笑ましくて。
ああ、姉妹って、家族っていいなと思える、そんな小説になっています。
連作短編にする意味は正直あまりよくわからなかったけど、そのおかげで読みやすくなっていて、さらりと軽く読めます。今野緒雪さんらしい読みやすい文章は健在で、面白い本なので、あっという間に読み終えてしまいました。
なにより、タイトルである「雨のティアラ」の意味が美しいです。
この本はぜひメグムちゃんと同じ年頃の女の子に読んで欲しいなあと思いました。
正直なんとなく買った一冊でしたが、とても面白かったので買ってよかったです。
続編も出るならそれも読みたいな、なんて思わせる素敵な一冊でした。
Posted by ブクログ
目の前の洋館に人が入って出入りするようになって、知らなかった母親の家族の事情にぶち当たってしまった高校生がヒロイン。三人姉妹でも、下はまだ小学生、上は大学生。家族問題で悩むには上はトウが立ち過ぎてるし、小学三年生には理解できまい。でもそれが無理がなくて、ストーリーにうまくはまり込んでいるのがうまいな、と思いました。
Posted by ブクログ
マリみて「私の巣」と似た雰囲気。
食べ物の描写とか、家系図のややこしい感じとか。
実らない恋じゃないことを説明するにしても、「ノッポとチビ」以降の流れは陳腐な気が。
表題の意味が分かるシーン(一番の見せ場でしょう)はきれいで、高校1年生の主人公がときめく姿がよかったです。
Posted by ブクログ
「マリみて」でお馴染みの今野緒雪さんが2015年に発表した作品。高校一年生の竜田メグムを中心にした家族の物語です。三姉妹を中心にした物語かと思ったら、壮大な家族の物語でちょっと驚きました。とはいえ、なにか大きな事件も起きないし、異世界にも行かないリアルな作品です。家族構成が複雑で何度か道を見失いましたが、読後は爽やかです。サラッとタイトルも回収してて素晴らしい。続編で長女カスミの物語もあるようなのでチェックしないと。
Posted by ブクログ
夏の雨上がりみたいにしっとりとして瑞々しい雰囲気だった。姉に妹に発酵友にサバサバしたお祖母ちゃん他、メグムとそれぞれの登場人物の関係性が自然体で染み入る。隠し味がラム酒のフレンチトーストや素麺が美味しそうだった。
Posted by ブクログ
マリア様がみてるシリーズで有名な著者の新作。
表紙にある三姉妹を中心としたファミリーものかと思いきや、どちらかといえば、主軸は真ん中主人公メグムとその想い人の青年をめぐる因果のお話。
タイトルのネタバレについてはすでに知っていたのであまり感慨はなかった。全体的によくまとまっていて、さらりとした読後感が残る。
ただ「異人館画廊」もそうだったが、この大人レーベルとしてのオレンジ文庫、やはりティーンズ向けなのではないだろうか。
主人公の恋ごころが一方通行であまりドキドキ感もなく、どちらかといえば、発酵友との関係のほうが濃密な感じがする。石膏像に似てるというそれだけの理由で好きになってよいものか…。
構成にもうひとひねりあっても良かった。惜しいので★3つ。
ちなみにこれの続編として「Friends」が刊行されたが、これも実はこうなんじゃないか、というネタバレが読む前から当たっていたりして。
作者はTSに関心があるのだろうか…。