あらすじ
“とにかく薬剤師が欲しい。…
岩淵は、思わず病院の外に並んでいたテレビの中継車の窓をたたき、
「薬剤師が足りないと報道してくれ」と叫んで回った。
全国放送のアナウンサーが
「現地では、おむつと……、薬剤師が足りないそうです」と伝えた。”
(第1章「ドキュメント石巻」より)
震災直後から被災地に留まり医療支援を続けた薬剤師と、遠隔地から手弁当で支援に駆けつけたボランティア薬剤師。医薬品供給が医療提供の重要な位置を占めた今震災では、彼ら薬剤師が果たした役割は大きい。
被災地で活動した薬剤師と、その活躍ぶりを間近に見た医師・看護師など、20余人の医療者に独自インタビュー。現地で撮影した数々の写真とともに、被災から約1カ月間の薬剤師の奮闘ぶりをまとめました。
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Posted by ブクログ
この本が出たのが、震災から3ヶ月後の2011年6月。まだ震災直後ともいえるそんな時期に、現地で活動しておられた医師、看護師、そして薬剤師の方々からこれだけの数のヒアリングをし、ひとつの本にまとめあげた時点でまず拍手。ただ、「あの頃」の生々しさが蘇るので、ちょっと一気に読むのは無理。つらい。
取り上げている地域に結構偏りがみられているのがちょっと残念。具体的には宮城が全体の8割近く、福島が1割ちょい、残りの1割弱で岩手と千葉を紹介している感じ。震災から1年以上経った今の時点で、もし同じ本を企画したなら、ウェイトはずいぶん変わったのかな。
薬剤師でないとできなかったことが、当の薬剤師だけでなく、医師や看護師の視点からも証言されており、チーム医療とはどうあるべきかを改めて考えさせられる本になっています。
薬科大に通う学生さんは、学校での課題図書にしても好いぐらいだと思う。