あらすじ
テーラー見習いで「背中フェチ」の速水名生は、祖父の店の顧客で大企業のCEO・紀籐の背中を見た瞬間、触りたいという強い衝動に駆られてしまう。そんな己の気持ちを持て余しながらも、紀籐のスーツを仕立てることになった名生。紀籐に次第に惹かれていくが、祖父の店の経営状況が思わしくないことから、告白すら援助目的だと誤解されてしまい――!? 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
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Posted by ブクログ
ファッション会社CEO×服飾学生テーラー見習い
またも出来る男の溺愛物の大好物を堪能。
しかし、何よりも名生(受)の強くしなやかな向上心がキラッキラしてて読んでて楽しかった。
こういった職人を目指す話って好きだ!
親代わりで尊敬する祖父が倒れて、留学先のミラノから戻り立ち行かなくなったお店を保ちたい一心でどうにか策を考える名生。
お店に用事で顔を出したときに、得意客の紀藤が現れて流れで採寸することに。
彼のスーツを仕立てることになって色々あるんだけど、ぶつかったり傷ついたり落ち込んだりしながら、それでも「紀藤さんのためだけのスーツを仕立てる」と心に決める。
幼いころの父の背中のぬくもりを忘れられず、背中フェチになった名生は採寸の時に紀藤の背中に父の面影をみつける。
これが、父の背中だと思っていたのが実は若いころの紀藤だったという。(紀藤の父の代から祖父のお店の得意客)
なんか、すごくいい話で。
小説だからうまくいきすぎなのは当たり前で、それをどう受け止めるかは読んでる方の意識の違い。
私にはすごく好印象。
祖父の店の融資のために「自分を好きにしてくれ」と誤解から始まった物語も、途中また銀行の書類がきっかけで紀藤がシャッターを下ろしたけど、それでも仕立てることを投げずにやり遂げた名生はそれを紀藤へ渡して分かってもらえるわけで。
そこからはもう紀藤も何も隠さずダダ漏れな愛情w
その後の話はミラノに戻った名生と本拠地パリにもどった紀藤のお話。
3か月ぶりに会って幸せな時間を過ごして甘い!!
でも、それで終わるんじゃなくて、パリで一緒に暮らそうと持ちかける紀藤に名生は悩む。
お土産で持ってきた課題で作ったシャツを着て仕事をする紀藤を目の当たりにして、自分の目指すものを見つめ直す。
卒業までミラノで頑張るという名生。
ちゃんと地に足を付け頑張る名生を応援する紀藤。
あぁ、なんていいお話だったんだろう。
ベタかもしれないしそんなにアップダウンあるわけじゃないけど、その分気持ちの伝わる読んでて甘さとパワーを貰える本でした!