あらすじ
「日本」という国と「日本人」への、心からのエールの本。人間の脳は、何歳になっても変わることができる。そのためには、今の自分にダメ出しをする必要がある。現状に満足してしまうには、日本も、日本人も、あまりにもったいなさすぎる。象徴的なのは、「東大」という存在。東大なんて関係ない、東大にこだわる必要はないという人もいるだろうが、一方で、日本という国のあり方が、東京大学という学術機関の現状に集約されているのも事実である。こうした現状を打破すること。自分自身の限りある一度だけの人生を、もっと輝かしいものにするために、最初の一歩を踏み出しませんか?
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Posted by ブクログ
直前まで宮台真司の動画を見ていたので、偏差値教育の問題についてその動画と関連づけて考えさせられる内容だった。日本は先進国において、幸福度の低い民族である。これは、日本人の自己肯定感が低い事と関係する。自己肯定感が低いために、変革を起こそうと言う行動力が削がれ、雇用の流動性も上がらず、組合による労働者保護に依存する社会構造になる。そうすると生産性の低い会社の淘汰が進まず、労働生産性も上がらない。この元凶が、偏差値教育にあるのだと。具体的には、日本特有の高校受験の制度にあるという事だ。茂木健一郎は、高校受験が多くの学生に対し、生涯に渡る劣等感を与えるとしている。さらに、この偏差値制度により自分が行きたい学部ではなくて偏差値の高低で学部を選ぶ、本末転倒な現象も起きている。もっと言えば、就職活動さえも偏差値に影響される。つまり、自らの適性や希望よりも、偏差値によって人生を選択させられているのだ。
偏差値よりも大事なものは、リベラルアーツ、ツールとしての国際語、専門性である。国際語は英語にだが、日本のようにガラパゴス化した国の中で日本語の論文を読んだり、日本人相手に日本語のアウトプットをしているだけでは規模が小さい。世界を相手にするにはやはり英語が必要だ。英語習得法について、「一万時間の法則」と言うジャーナリストであるマルコム・グラッドウェルが提唱した概念を推奨する。
茂木健一郎の論説は、時々、言葉足らずで論理が荒く感じるが、本著は極めて本質的な問いと考察であり、多いに共感する所だった。