あらすじ
考古学教授の妻と弟子が殺され、双方の現場には謎めいた古代文字ペトログリフが残されていた。捜査一課の碓氷弘一警部補は、外国人研究者・アルトマン教授を相棒に連続殺人の真相を追う。シリーズ第5弾
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Posted by ブクログ
シリーズ5作目、今回は2つの殺人事件とその現場に残された古代文字を巡る物語です。毎度おなじみ、今回の碓氷の相棒は大学教授で考古学を研究するアルトマン教授。
現場に残された古代文字・ペトログリフそのものは前作、前々作ほどの興味はわきませんでしたが、それでも事件の裏に潜んでいたいきさつにはもの悲しさを覚えます。
大学の研究室という閉鎖的なコミュニティに巣食う複雑な人間関係が事件の引き金の一つになっているわけですが、と同時に研究者であればこその「事実の確認と検証」という本来とるべき行動の欠如ももう一つの引き金になってしまった。事象があまりにも身近すぎて、研究者といえども適切な距離感を保った態度で物事に接することができなかった結果ということでしょうか、なんとも皮肉な事件だったものよのう、と思ってしまいます。
事件解決後、去り際にアルトマン教授が残した言葉、「あなたは触媒のような人だ」の一言は本シリーズを象徴するかのような言葉ですね。どの作品でも碓氷が相棒の力を引き出し、事件を解決に導いたことは間違いありません。
それと、個人的にはアルトマン教授が浅井に対して指摘した「学者としての事実の確認と検証を怠った」というセリフが印象深かったですね、学者に限らず、こうしたある種、淡々とした態度はとても重要なものではないかと感じました。