あらすじ
「何のために医師になったのか。瀕死の患者を救うためだろう。目の前の患者に全力を尽くせ。」「劇的救命」とは、絶体絶命の患者を救う意味で、今氏のチームポリシー。救命救急の専門医である著者は、ドクターヘリ、ドクターカーを同時に現場に急行させる八戸独自の「サンダーバード作戦」で、医療過疎地の重傷患者を次々と救う。どちらか無駄になっても、救える可能性があれば手を尽くすのが信条だ。八戸ERでは、「奇跡はよく起こる」という。本書は、いま日本の救命救急分野の先駆者の一人、今氏のこれまでの人生とERスタッフたちとの日常を追う迫真のドキュメントである
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Posted by ブクログ
本書は青森県のドクターヘリ体制をゼロから築き上げた八戸市立救急病院救急救命センター所長今明秀の日々を書き起こしたものである(帯より)。地域の救命救急の最前線で携わってきた著者自身が青森県におけるドクターヘリ導入前後の奮闘記を語っている。
私が青森に進学したときには既にドクターヘリについて大々的に報道されるようになっていた。そして4年間の在学中に著者・県民が望んでいた2機体制が実現した。しかしドクターヘリ実現の背景には著者の功労あってのことだということがよくわかった。
その一方で、若手時代には未熟さゆえに数々の命を見送ったことを告白している。現在では訴訟に発展しかねないことだが、こうした経験を積んできたからこその今であることがよく伝わってきた。
また東日本大震災時の救命救急についても綴られていた。青森県では他の被災地に比べて比較的、震災の被害や負傷者は少なかった。しかし長期間の停電により不便な状態続いたことを後に聞いた。その間にも県内外の救急要請に応じ、突発的なアクシデントに柔軟に対応し、被災地支援のために縦横無尽に駆け回ったというリアルな体験は必読である。
救急・医療関係者のみならず、地域をよくしたいと考える全ての人に読んで欲しい作品。