【感想・ネタバレ】日本の風俗嬢のレビュー

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ネタバレ

日本の風俗嬢(新潮新書)2014/8/9

安全な環境下で風俗嬢が働けるようにするべきだ
2016年2月13日記述

1972年生まれの団塊ジュニア世代、フリーライターの
中村淳彦氏による著作。
中村淳彦は、日本のノンフィクション作家,ノンフィクションライター。
東京都目黒区生まれ。 明治学院中学校・明治学院東村山高等学校、専修大学経済学部卒業。
編集プロダクション、出版社を経て、フリーライターとなる。

本の題名にあるように風俗嬢の労働、その実態、1990年代と比較した現在の性風俗の状況について解説している。

性風俗というのは重要な問題ではある。しかし普段のニュース、新聞でも報道される機会は少なく、実態が殆ど知られていない。
ドキュメンタリーもやはり地上波では報道しにくいのかこういったテーマを見る機会はまず無い。
その意味で本書は貴重である。

本書のP35より警察白書から風俗店の数を推測している。
それによるとずばり1万3千店はあるのだそうだ。
(セブン-イレブンが1万6千店 マクドナルドが約3300店 スターバックスが約1000店)

暴力団からの嫌がらせ(空指名による営業妨害)を回避する為にみかじめ料を払ったりというのは現在も続いている。

月100万円以上稼ぐような嬢は相変わらず存在するが
全体で見ると収入減となっている。
それにも関わらず、応募者は増えている。
女性のレベルが90年代と比べると上がっている。
現在は裸になると決意しても誰でも風俗嬢になれる時代ではない。
⇒これには驚いた。青木雄二氏の描いたナニワ金融道の世界はやはりもう過去のものなのだ。

地方出身、一人暮らし、親の仕送りに頼れないような女子大学生が風俗で働いているケースの紹介には驚いた。
また学費が昔より上がっていること。地方経済の衰退、
日本人の所得が若い世代ほど昇給出来ていない現実を考えると納得感もあった。
むしろ本書で登場した女子学生はまだ一部だろうが、増えてしまう可能性も高い。
今の20~30代で大学に進学させる学費をまともに賄える人がどれだけいるだろう。
本書で反響があったのか著者もこの部分を更に調べて本を出しているようだ。

介護職からの風俗への転職が多いというのも驚いた。著者の言うように低収入で仕事内容的に親和性、共通項があるという指摘には納得できる。
⇒共通項(一対一の会話や肉体を使ったサービス、相手が高齢者から男性限定に変わるだけ)
男性客が求める明るさ、コミュニケーション能力の高さ、気がきく、優しさ等は介護職員に求められる適性と一致する。

本書最終部分では性風俗は社会にとって必要であり、あることを前提に現実的な議論、安全な環境下で風俗嬢が働けるようにするべきという指摘はその通りである。
その取り組みとしてNPOの働きを紹介している。
ホワイトハンズ
Grow As People
SWASH

著者も指摘するように高収入が得れる可能性が無い女性は風俗ではなく別の道を探すべきであるという指摘も納得だ。
ただ今の性風俗がそういった容姿がそこまで優れないプア層の女性のセーフティネットになっておらず社会問題化している事も踏まえた対策が求められる。

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2021年12月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

チェック項目9箇所。売春婦の意味を調べると、「性的サービスを提供することによって金銭を得る女性を指す」とされている、とすれば、風俗嬢との境界線はきわめて曖昧だ、様々な種類がある性風俗店で働く風俗嬢や、自分で客を見つけて個人売春する女性、AV女優やストリッパーなどエンターテイメント関係の仕事も、お金をもらい裸になって「性的サービスを提供する」仕事である。「日本の風俗嬢の人数=1万3000店(各種性風俗総店舗数)×25~30人=32万5千~39万人」ということになる、つまり日本に正風俗嬢は推定で32万5千人から39万人程度いると言うことができる。「求人で面接に来た女の子で採用するのは10人中、せいぜい3人くらい。外見で売り物になりそうなのが10人中4人、外見はよくてもコミュニケーション能力が低かったり、精神的に病んでいそうな女性は落とすから、それで3人。稼げる人気店はもっと厳しい」(池袋のデリヘル店長)。性風俗店で働くことには、わかりやすいメリットがある、一般的な仕事より単価が高くて時間の融通が利く、そして日払い制度ですぐにお金になることにある、経済的理由が八割以上を占めるのは当然として、空いている時間に働けることで、学生や社会人、主婦を含めた女性のあらゆる層を取り込むことに成功している、また、採用から給与支払までがスピーディなことも、緊急を要する金銭的事情に対応できるため魅力的だろう。「本当にありがたいし、風俗嬢になってよかったとしか思えない。風俗がなかったら大学生を続けることは不可能だったと思う」。兼業女性の中で、これまで目立っていた職業は、看護師、飲食店員、アパレル店員、美容師だった、また六割が貧困レベルの生活を強いられていると言われるシングルマザーが多いのも特徴である。介護職員は、シフト制で時間が不規則な仕事である、資格試験の受験に三年以上の実務経験が必要な介護福祉士以外は、時給計算の非正規雇用が一般的で、フルタイムで働いても月収は15万~16万円にしかならない、親が低収入で仕送りの少ない地方出身の女子学生と同じく、普通に生活するのも厳しい金額である。介護職員は、安月給で生活できない悩みから副収入の手段を探り、風俗の世界に足を踏み入れることが多い、全国的に人で不足の介護施設は、国家資格である介護福祉士を取得していれば、いつでもどこでも採用される、性風俗がだめになっても介護があるから大丈夫という保険があるので、大胆な行動がとれる、ダメになったら介護に戻ればいいという安心感が、性風俗の世界に積極的に向かわせるのである、この場合、介護業界のほうが「セーフティネット」として機能しているということになる。高いコミュニケーション能力が求められるという点では、SMクラブの女王様は高齢者相手の介護と類似点が多いという、経験が活かせることもあり、介護職からの転職が多いようである。介護職員として優秀な女性ほど、性風俗でも活躍できる能力がある可能性が高い、国家資格である介護福祉士を取得している女性ほど、性風俗に流れて成功しやすいのだ。ワーキングプアを次々と生みだしている悲惨な状況でも、介護施設側は「介護は熱い思いを伝えられる素晴らしい仕事、夢がある」などと必死に訴えている、しかし、介護職は蓋をあければ豊かさの欠片もない貧困女性の巣窟というのが現状だ。(採用偏差値67 高級ソープランド)日給=4万円(一人の単価)×二人(120分×2)=八万円 月収=八万円(日給)×16日(週四日)=128万円。

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2014年12月23日

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