あらすじ
新宿駅の中央線ホーム。看護師の女がタクシー運転手を尾行している。一方、タクシー運転手は別の男を尾行していた。パドックを周回する競走馬のように互いを尾行し命を狙う4人の人間。ゲームの支配者は何者なのか。
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Posted by ブクログ
山田正紀の本が角川ホラー文庫から出ていたので、驚きと嬉しさでつい買ってしまった。
ガーゴイルの出てくるシーンなどは、SFの世界で、妖しく幻想的な世界をさんざん書いてきた著者のお手の物という感じでいいのだが、おまけという感じがする(メイン設定でもあるのだが)。
物語には4人の登場人物が登場する。それぞれの特殊能力を生かし、それぞれの目的に向かって生きていくが、意外なところでその人生は交錯し殺意を抱く。著者がミステリの世界などでよく使う書き方で流石である。視点が次々に変わる話は好みだ。が、いささか読むのが辛かった。メインとなる老人の殺害自体があまり面白くなく、真相がわかっても「うーん」と微妙。そんなに悪くは無いが。
このまま終わるのかなと思っていたらクライマックスでやってくれた。4人のうちの一人の能力によって○○が起こる(本当にそうなるかどうかは甚だ疑問だが)。これには新鮮な驚きと興奮があった。もしかしたら、このシーンがこの小説の発想の発端だったのかもしれない。
買って良かった。